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あの高級食材がもう食べられない?秋の味覚が大ピンチ!

森本毅郎 スタンバイ!

秋といえば「食欲の秋」。秋の味覚の代表格であるサンマが、今年は中々獲れないというニュースがありましたが、きょうは、もう一つ秋の味覚の“あの魚”の異変について、10月26日TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で取材報告しました。

異変が起きている“あの魚”とは何か。さけます・内水面水産試験場 研究主幹の藤原真さんにお話を伺いました。

★北海道産の“秋サケ”が、記録的不漁!

さけます・内水面水産試験場・研究主幹 藤原真さん
今年の“サケ”の漁獲量が、今のところ昨年を下回る水準で推移してます。昨年の漁獲量自体、平成に入って最も少ない数で2579万尾でした。今年は、今のところこれを下回る漁獲になるだろうと考えられていて、漁業だけでなく関連産業含めて相当影響が出てるという風に感じています。文字通り私どもとしては、危機的な状態だと考えています。

“あの魚”とはサケのこと。サンマと並んで、今年はサケも不漁だそうで、秋鮭の最盛期であるはずの10月に全然獲れていないそうです。「24年ぶりの不漁」と言われた去年をも下回る、という予測も出ています。サケの漁獲量の8割以上を占める北海道では、漁業関係者が悲鳴を上げている状況です。

★サケ加工業者も悲鳴!休業状態のところも…

実際に、北海道でサーモンの加工を専門に行っている加工会社に、お話を聞くことができました。

北海道のサケ加工会社
北海道産秋鮭は昨年が数十年ぶりの不漁でしたが、今年は更に、昨年対比67%です。異常自体ですね。私もこの業界は30年くらいやってるんですけど、こんなの初めてです。当社は、おかげさまで年間の使用量は確保できていますが、他社さんに関しては、浜の値段も高いこともあって、中々買い付けできずに休業状況になっているところもありますね。みなさん『参ったね』という感じですね…。

今年のサケの大不漁は、漁業関係者はもちろん、加工業者にとっても大打撃となっているようです。本来この時期に工場はフル稼働のはずが、従業員を減らしたり早めに切り上げてしまう会社もあるとか…。浜値としては、去年の同時期が、キロ当たり1,000円前後だったのが、今年は2,000円近くに跳ね上がっているそうです。これからのお歳暮の時期、稼ぎ時ではありますが、企業努力でなんとか値段を据え置きにしているということでした。

★4~5年前の水温低下が要因の一つか

では、このサケの不漁にはどのような原因があるのか。再び、さけます・内水面水産試験場の藤原真さんのお話です。

さけます・内水面水産試験場・研究主幹 藤原真さん
サケの漁獲は、“4年魚”“5年魚”が主体として帰ってくるので、今年の不漁についてはこの“4年魚”や“5年魚”が昨年に比べて少ない。これに関しては理由の一つとして、海に下った春先の水温が低かったというのが考えられる。水温の低さは、魚の移動や成長に関与してくることが、これまでの研究結果で考えられているので、それが結果として、魚の歩留まりに影響した可能性がある。
森本毅郎スタンバイ!

サケの遡上。生まれてから4~5年後に、稚魚として放流された川に戻ってきます(大きさは、だいたい60センチほど)

森本毅郎スタンバイ!

サケの人工ふ化放流の工程図(「さけます・内水面水産試験場」ホームページより)

サケの「孵化放流事業」の流れとして、9月〜12月にかけて川に戻ってきたサケから卵を取り出し、それを孵化させ、稚魚になるまで育てたのちに川に放流します。そのサケが海で成長し、水揚げされたものが私たちの元に届くのですが、川に放流してから戻ってくるまでのサイクルが、4年〜5年。今年の不漁は4年〜5年前に稚魚として放流したサケが、水温の低下などでうまく成長出来なかったことが要因の一つと考えられているそうです。

★赤字覚悟でイクラを提供。お寿司屋さんの葛藤

そして、このサケの不漁は、私たちの大好きな“あの高級食材”に大きな影響を与えているようです。築地のお寿司屋さんに話を伺いました。

築地のお寿司屋さん
イクラがくるんですけどね、いつも7,000円くらいで入るのも、値上げして10,000円くらいになっちゃう。例年に比べて、1・5倍は高くなってますね。今年獲れないんで、来年も間違いなくイクラは高いですね。イクラはもう北海道のものです。うちは毎年、生イクラをメインで売ってるので、生イクラ食べたいっていうお客さんが多い。それでもうちは、赤字覚悟でウニとかイクラとか入れてます。高いのわざわざ安く出すのは赤字なので、イクラをやめちゃうのが一番利益にはつながると思うんですけど、でもやっぱりお客さんが望んでますんで…。春から生イクラを食べたいっていうお客さんがいて、お客さんの気持ちに応えて出してます。

東京都中央卸売市場によれば、イクラの取引価格は、今年8月時点で1キロ5,800円。これはおよそ30年前のバブル期並みの高騰…。イクラの高騰に苦しんでいる築地のおすし屋さんは、お客さんのために赤字覚悟で仕入れているのが現状でした(お店によっては、イクラの量を減らしたり他のネタを代わりに出すところも)。

★イクラ専門店は黒毛和牛専門店に転業?イクラ専門店のこだわり

最後に、「お客さんに美味しいイクラを提供したい」という思いから、苦渋の決断を迫られるお店もありました。自由が丘にあるイクラ丼専門店「波の」のオーナー・今野健二さんのお話です。

イクラ専門店「波の」オーナー 今野健二さん
イクラ丼専門店です。国産と外国産だと、見た目も味も全然違いますね。北海道産と、日によって三陸産や青森産が入ってきます。コンセプトが、『高級食材のイクラをラーメン屋さん感覚で』っていうことでやってるので、外国産になってしまうと本当に美味しいイクラの感動や高級感が薄れてしまう。だから国産にこだわってやってます。今、原価率が6割を超えてるんですけど、7割を超えてくるようだと、もう本当に業態を変更しようと思ってます。“黒毛和牛丼専門店”に変えようっていうので、美味しいのを作る準備もしています。これ以上高くなるとイクラは提供できなくなってしまいますね。
森本毅郎スタンバイ!

イクラ専門店「波の」のいくら丼(780円)。国産イクラにこだわっています

こちらのお店は、業態の変更も考えなければいけない事態になっていました(イクラ丼専門店が、黒毛和牛店に業態替ええとは唐突な気もしますが…)。国産のイクラ丼をお手頃価格(780円〜)で提供していることから人気のお店でしたが、今年の値上げで、いよいよイクラは庶民には手の届かない食材になるかもしれません。

田中ひとみ

田中ひとみが「現場にアタック」でリポートしました!