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耳が不自由でも楽しめる、字幕付きの『ライオンキング』▼人権TODAY(2017年11月18日放送分)

人権TODAY

毎週土曜日「蓮見孝之 まとめて!土曜日」内で放送している「人権トゥデイ」。様々な人権をめぐるホットな話題をお伝えしています。

今回のテーマは・・・
“耳が不自由でも楽しめる、字幕付きの『ライオンキング』” です。

人権トゥデイ

1998年からロングラン公演を続ける、劇団四季のミュージカル『ライオンキング』(劇団四季ホームページより)

★『ライオンキング』鑑賞直後の、参加者の喜びの声

まずは、観劇直後の参加者の感想を、手話通訳の小川加代子さんに通訳していただきました。

50代・女性
すごく楽しかった!久しぶりに主人とデートして楽しめた。視覚的に、悲しみ・喜びなど感じた。『ライオンキング』とは無縁な世界だと思っていたけど、私たちも一人の人間として、一緒に笑いたい・一緒に泣きたい。一緒に観て一緒に楽しむことが、良かったです。

★劇団四季を説得!ついに実現した『ライオンキング』観劇会

「耳が不自由でも楽しめる」、ミュージカル『ライオンキング』とはどういうことか。この公演を企画した、NPO法人シアター・アクセシビリティー・ネットワークの代表、廣川麻子さんにお話を伺いました(尚、廣川さんの手話は、通訳の瀬戸口裕子さんが読み取り、音声にしていただきました)」

NPO法人シアター・アクセシビリティー・ネットワーク 代表 廣川麻子さん
今回は、『ポータブルの字幕』を手で持って『ライオンキング』を観た。聴覚障害者など、全部で150人参加していただいた。やはり、劇団四季さんにこの企画を受け入れていただけるかどうか、交渉がなかなか難しかった。機械関係に影響があるのではないか、他のお客様に対してどう影響するのかということを心配されていたが、今回下見でテストを何回も繰り返し行い、無事成功することができた。
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ポータブル字幕を手に舞台を観る様子

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登場人物の名前・台詞・歌詞・状況説明まで、事細かに情報が表示されます

今回の観劇会は、年に一度開催されている難聴者の交流を目的としたイベント「全国中途失聴者・難聴者福祉大会」の一環として実現したものです。
一般のお客さんも、他に約1,000人いる中、普段と同じ劇場・同じ台詞・同じ演出で、1階席後方に座っている150人の聴覚障害者らが、タブレット型の字幕を見ながら観劇しました。

★聞こえる人と同じように楽しめる字幕。その工夫とは?

今度は、字幕の内容について、製作を行った株式会社イヤホンガイドの佐川芽生さんにお聞きしました。

株式会社イヤホンガイド 佐川芽生さん
基本的には台詞をそのまま表示しているが、今回はミュージカルなので、アンサンブルと合唱する場面や、ライオンキングの特徴でもある“ズールー語”などの表示も必要になる。また、雰囲気が伝わるような表示を心がけているので、風の音などの効果音や、どういう音楽が流れているか、『寂しげな音楽』『楽しそうな音楽』といった情報も流している。画面に文字数が多くなることもあるが、演者の口が動いていると、耳の聞こえない方は気にするので、省略せずに、全て表記している。

ライオンキングの冒頭で歌われる、ズールー語の歌詞の一部をご紹介します。

♪ライオンキング『サークル・オブ・ライフ』
(ラフィキ) ンナァー ツィーゴンニャー マバクィーズィババー
(コーラス) スチホォーン ゴンニャーマー ンゴニャーマゴンツィーゲーネボー・・・

この「ズールー語」が、手もとの字幕モニターにそのままカタカナで記載されているのですが、音のない世界でこの言葉を読んでも意味が分からないかもしれません…。でも、役者さんの口が動いている限り、全て表示するそうです。もちろん、場面の説明にも工夫があって、例えば、「大草原の大きさを表現する伸びやかな曲」、「ハイエナたちの悪意に満ちた笑い」など、かなり細かい解説が頻繁に出ていました。

★参加者の感想

では、実際に観ている人たちは、この字幕についてどう感じたのか?感想を聞いてみました。

30代・女性
タイミングもぴったり合っていて、観ながら読めて分かりやすかった。そして、いま明るい曲だとか、暗い曲とか悲しい曲、が書いてあったので、理解して楽しむことができた。
52歳・女性
難聴同士で一緒に来た。なかなか、言葉の分からない歌とかもあるので、それを見ながら舞台を観るのは大変は大変だった。だけど、ぜんぜんないよりはマシ。例えば笑いが起こるような楽しい場面も、一緒にリアルタイムに喜べない。字幕があれば、他の人たちとリアルタイムに一緒に笑って楽しめるので、すごく良いと思う。

参加者の方は、ズールー語が分からなくても、字幕があることに満足しているようでした。

★5歳の娘を持つ母親の想い

そしてもう一人、お話伺った女性がいます。この方は、ご本人と5歳の娘さんのどちらも耳が聞こえないということで、舞台を観た感想を、先ほどと同じく、手話通訳の小川加代子さんに通訳してしていただいています。

お子さん連れの女性
私は子供が3人いて、2人は聞こえるんだけど、3番目の子は聞こえないので、こういう場所に行く機会そのものがない。たまたま自分のクラスの名前が“ライオン組”なので、気になってはいた。でも、『字幕ないからどうしようか』と言っていたところ、今回このような機会があったので良かった。
とにかく連れてきてみたら、最初はつまらないような顔をしていたんです。字幕は、漢字があると読み切れないけど、だんだんだんだん、『今何言ってるの?』と聞かれて、説明しながら観ていたら、ものすごく喜んで、顔も明るくなってとても良かった。

念願のライオンキングだったようで、お母さんもとっても喜んでいました。

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劇団四季【夏】劇場(大井町)。150名の参加者は、「ポータブル字幕」を手に、開場を心待ちにしていました

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「ポータブル字幕」を受け取る参加者

中でも、今回一番印象的だったのが、ライオンキングが終わった後のカーテンコールです。一般のお客さんが拍手する中、字幕付きで観ていた人たちは、頭の上に手を上げて役者さんに手を振っていたのですが、これは「拍手」を意味する手話で、目を輝かせて手を振っていた様子を見ていると、グッときてしまいました。
劇団四季の担当の方は、「是非、今回のような観劇を続けて行きたい」とお話していました。

(担当:TBSラジオキャスター 田中ひとみ)
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