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透析患者も食べてOK!”低カリウムメロン”!!

森本毅郎 スタンバイ!

今日は、あまり耳なじみのないメロンが今年、相次いで発売されているというお話。そのメロンというのは、”低カリウムメロン”。低カロリーではないですよ。カリウムは、植物の生長に必要な”窒素、リン酸、カリ(塩化カリウム)”という3大栄養素のひとつなのですが、メロンは果物の中でも特にカリウムが多いそうなんです。そのカリウムの量を普通のおよそ半分に抑えたのが”低カリウムメロン”だそうなのです・・・。

そこで。「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)7時35分からは素朴な疑問、気になる現場にせまる「現場にアタック」!!今日11月21日(火)は、レポーター近堂かおりが『透析患者も食べてOK!”低カリウムメロン”』をテーマに取材しました!

★低カリウムの”しまね夢メロン”!

どうしてこんなメロンを作ったのか、開発した方にお聞きしました。島根大学の教授、浅尾俊樹さんのお話です。

浅尾俊樹さん
「これは透析患者さん用に作ったメロンです。透析患者さんは人工透析をしていまして、腎臓の機能が低下しておしっこができないので、カリウムを(体に)たくさん取り込んでしまうと排出できないので、心臓などに負担がかかって命とりになります。メロンみたいに特にカリウムが多い食品は食べてはいけないもののひとつなんです。お見舞いなどでメロンを持っていっても、持ってきてくれた人の気持ちは分かるんだけれども食べることができないというのは、患者さんにとっても残念なことですからね。」

透析患者でも食べられるように、カリウムを普通の半分にした、メロン。本来は植物の生長に必要なカリウムを、途中から与えずに育てる、という方法だそうです。

★メロンの育ち方と、相性抜群!!

こうしたやり方は、メロンの育ち方の特徴を利用することでうまくいったそうなのです。再び浅尾さんのお話。

浅尾俊樹さん
「メロンの作り方は独特で、初めは葉っぱや茎を大きくする”栄養生長”、花が咲いてからは、花や果実をぐーっと大きくする”生殖生長”と、切り替えた栽培をするんです。イチゴの場合は栄養生長と生殖生長が同時に行われているので、いつでもカリウムはしっかり必要。メロンは栄養生長と生殖生長が切り替わっていて、最初に葉っぱとか茎を大きくして、このときにはカリウムをしっかり与える。そして花が咲いてからカリウムを取り除いてやるというのは簡単なことなんです。果実が大きくなる時にカリウムがいらないかというと、必要なんですけど、メロンはいったん葉っぱに入ったカリウムを果実に送り込んでいるんです。だから自分の体の中で調整して、結果的に低カリウムのままで収穫を迎えるということなんです。」

浅尾さんは、もともと、土ではなく、養液栽培という方法でメロンを研究していた。だから、与えるカリウムの量を減らすことは出来るだろう、と思ったそう。その予想通り、低カリウムのメロンを作り出すことはできたのですが、カリウムの量をそろえたメロンを安定して大量に作るのが難しかったそうです。透析患者さん向けのメロンとなるとカリウムの量にばらつきがあっては大変ですからね。浅尾さんは、人工透析を受けているお祖父さんを持つ大学の同僚から、『お祖父さんにメロンを食べさせてあげたい。』という話を聞いたことから、9年間かけて開発しました。

★静岡では”ドクターメロン”!

実は、同じような低カリウムメロンが静岡でも開発されて、やはり今年から販売されています。開発したのは、静岡県にある、『ハッピークオリティ』という、農業ベンチャー企業の代表、宮地誠さんという方で、宮地さんも透析患者向けに開発したのですが、開発のきっかけは少し違う理由でした。

宮地誠さん
「前職は浜松の市場でメロンのセリ人をやっていたんです。静岡県のメロンは、マスクメロン、クラウンメロンを筆頭にすごく生産量が減っているんです。この15年間で4分の1ぐらいまで減っていて、なんとかしないといけないと市場時代から思っていて、市場でも農家の手取りをどう増やすかというのが課題だったので、では自分が作って売るというところまでやってみようと思って、3年前に独立しました。マスクメロンを食べられない人でもせめてハレの日には食べられるという商品を開発すれば、食のバリアフリー化になるのではないかと考えて、このメロンにチャレンジしました。」

静岡のメロンの生産量は全国で6位、ハウス栽培だけなら全国1位。ですが、生産量や作付面積はずっと減り続けていて、課題になっているそう。高級品というイメージは今でもありますが、実際には、昔ほど農家の収入は良くないというお話でした。それで生産者も減っているということなのです。そこで宮地さんは、付加価値の高いメロンを作ろうということで、静岡大学の協力も得て、低カリウムメロンの開発に取り組んだそうです。

★患者さん本人だけじゃないニーズ!

そして宮地さんは、このメロンが、予想以上にニーズがありそうだといいます。

宮地誠さん
「カリウムの量を下げたメロンは非常にニッチな市場かな思っていたんですけど、成人の8人に1人が今、慢性腎不全にかかっていて、糖尿病患者の4人に1人も慢性腎不全になりやすいという統計も出ているので、これからの時代、非常に重要視されるというところです。いろいろな話を聞いていると、患者さんがメロンを食べられないというストレスもそうですが、実はそのご家族も、隠れて食べるとか食べることをあきらめるという食のストレスがあるそうです。だからニッチではなかったんです。」

慢性腎不全の方や予備軍の方も結構多いので、当初の予想よりニーズがありそう。また、患者さん本人だけではなく、ご家族も、当然気を使いますものね。目の前で食べるようなことはもちろんしないでしょうから、みんなで我慢したり、隠れて食べる、というストレスから開放する手助けとしてのニーズもある、ということなのです。

実は、島根大学の浅尾さんも、予想外のニーズがありそうだと言います。

浅尾俊樹さん
「低カリウムメロンを作って分かったことは、実は私、メロンが大嫌いで食べられないです。というのは、メロンを食べると口の中がいがいがするんです。これはひとつのアレルギーで、口腔アレルギーというんです。食べると口の中がチクチクする方でも、低カリウムメロンは食べられる。結果的に、アレルギーが少ないメロンになっているみたいです。」

このいがいが、ちくちくする感じ、私もちょっと分かります!こういう刺激が無いのは嬉しい人も多いのではないでしょうか。低カリウムメロンは、味は普通のメロンと同じ、甘くておいしい、ということです。カリウムの量をコントロールする研究は、ほかの果物にも広がっているそうです。これからは”栄養分”を調整したサプリ的な果物や野菜も出てくるかもしれませんね。

「現場にアタック」近堂かおり

近堂かおりが
「現場にアタック」で取材リポートしました。