お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

放送中

放送中


  • 放送ログ

大人の発達障害者のためのカフェ・イベントスペース▼人権TODAY(2017年11月25日放送分)

人権TODAY

毎週土曜日「蓮見孝之 まとめて!土曜日」内で8時15分頃から放送している「人権トゥデイ」。様々な人権をめぐるホットな話題をお伝えしています。

今回のテーマは…2017年11月25日放送「大人の発達障害当事者のためのカフェ・イベントスペース」です。

大人になって困難に直面し発達障害だと自覚

発達障害は医学的には脳機能障害の一種です。人付き合いが苦手、落ち着きがない、他人の気持ちが汲めない、頑固で融通が利かないなど様々なタイプ・症状があり、病名も付いていますが、これらを総称して発達障害と呼ばれています。
これらは誰もが持ち合わせている特性ですが、それがある部分では強く表に出るために平均的なタイプの人からみると、変わっていると思われがちです。
発達障害というと、子どもの発育過程をイメージする人も多いと思います。学生時代までは周りの配慮やデイサービスといった福祉サービスの利用で、その症状をカバーできることが少なくありません。しかし、自分の特性について、何となく自覚していたもののそのまま社会人となり、職場の業務や人間関係などで行き詰まり、精神科で受診して初めて発達障害と診断されるケースが近年増えていると言います。

当事者の憩いの場所を

東京・新宿区西早稲田。早稲田通り沿いの雑居ビル2階にある「NeccoCafe」は、そんな大人の発達障害当事者の居場所として活用されています。このスペースを運営する一般社団法人「発達・障害サポートネットワーク」前理事長の金子磨矢子さんに、このような場所を作った経緯について伺いました。

「発達・障害サポートネットワーク」前理事長の金子磨矢子さん
発達障害関連のSNSを立ち上げた人たちが何人かいて、オフ会なんかがありました。最初は居酒屋とかファミレスとかで集まっていたんですが、ザワザワして思うように話ができないからというので、地域センターの会議室を借りたりして…。まだその頃は、自分が発達障害だと気が付いている人が少なったので、何しろ自分と似たような人に会ってみたいという風に思いましたね。やっぱりいつでも行ける所が欲しいとみんなが思っていて、ずっと考えていましたね

金子さんは「発達障害」という言葉が世の中に浸透する前から、似たような生きづらさを感じていた人同士が集まる交流会に参加していたそうです。そして、当事者がいつでも通える場所を作りたいと、7年ほど前にこのNeccoCafeを作りました。
発達障害関連の書籍が並ぶカフェで、もちろん、誰でも利用できますが、当事者の利用が多いそうです。生豆から焙煎し、1杯ずつ丁寧にドリップしたブレンドコーヒーを提供しています。カフェのスタッフも全員、発達障害の当事者です。

1杯ずつ丁寧にドリップしているオリジナルコーヒー

NeccoCafe店長の加茂谷洋子さん
私はADHD・注意欠陥多動性障害です。勤め始めた会社でもほとんど毎日遅刻。片付けが苦手で家の中はグチャグチャでした。30歳の時にADHDのことを知って、これだったんだって分かり、診断を受けました。診断を受ける前からインターネットで調べて知ったADHDの自助グループでスタッフとして参加するようになったんです。今度は役に立ちたいと思って。初めて来たお客さんにはお声かけして、お話ししたりします。お客さんには同じ症状の仲間と交流したことがない方が多くて、そういう人たちと話をしたい、情報交換したい、病院を紹介して欲しいとか色々ですね

働いている人も、お客さんも当事者であれば、利用しやすい環境にあると言えます。「こんな症状は自分だけかなと思っていた」「自分と似たような人が世の中にいることは知っていたけれども実際に会って話して、情報を共有したかった」という人が来店するそうです。

NeccoCafe店長の加茂谷洋子さん(左)と運営責任者の金子磨矢子さん(右)

夕方以降はイベントスペースに

NeccoCafeは、毎日お昼12時から夕方6時までがカフェタイム。そして、夕方6時から夜10時まではイベントスペースの時間となり、年間100日以上は各種団体に貸し出されているそうです。主に、発達障害を中心とした勉強会、当事者同士の交流会、読書会、音楽会など様々です。なかにはボードゲームや人狼ゲームといった機械を使わないアナログゲームを通じてコミュニケーションを図るというユニークなイベントもあり、とても人気だそうです。

私が取材伺った日の夜、イベントを開催していた団体がありました。発達障害の大学生をサポートする活動をしている団体「BeU(ビー・ユー)」で活動する大学生スタッフの男性に、このスペースの利用について聞きました。

発達障害の大学生支援団体「BeU」の男性スタッフ
2週間に1回程度のペースで当事者会をやっているので、ここを利用しています。外で場所を借りると結構お金がかかったりするんですけど、ここだと安く使える。NeccoCafeは、発達障害の当事者向けにフリースペースを始めた最初の所で有名。ここでイベントをやるというと、拡散もされるのでやりやすい

この支援団体はこの日、「発達障害の大学生の就職活動の進め方」をテーマにイベントを行っていました。実際に就職活動を終えた発達障害当事者の何人かに声をかけて、自分の就職活動エピソードを語ってもらう形式でした。

就職活動では、面接という対人的スキルや咄嗟の判断力が要求されます。同時並行作業が苦手な人も多いので、複数の企業を受けるためのスケジュール管理をどうやったのか、体験談を聞くというような回となっていました。苦手を克服するためのテクニックでなく、避けるという選択もあるのではないか…発達障害の特性があることをあらかじめ企業側に開示して就職活動に臨むか、開示せずに一般の学生と同じように活動をするかといった、発達障害と仕事との関係についての根本を問うような話題も出ました。

イベントスペースとしても活用されるNeccoCafe。奥には発達障害関連書籍が並びます。

発達障害と就職・仕事との関係

社会に出るタイミングで困難にぶち当たって発達障害だと自覚したり、診断に至るというケースが多いと言います。NeccoCafe運営責任者の金子さんはこう話します。

金子磨矢子さん
今の大学生くらいからですね、子どもの頃から診断が付くようになったっていうのは。新卒で就職するのに就労支援事務所に行って、障害者就労をしたいという人が増えているそうです。小さい頃から支援をずっと受けているから、支援のない会社に飛び込む勇気がなくて。確かに理解してくれている会社・職場の中では疲れないでいられるんですけど。新卒ならば、障害者就労枠でない一般採用の枠でチャレンジしてみるのもいいんじゃないかなと思っているんですけども。難しい問題ですよね

子どもの頃からサポートが受けられる体制が整ってきている反面、大人になってから社会の中での生きづらさを解消する手段がまだまだ少ないのが現状です。そんな中で、活動を続ける支援団体と、その活動スペースを提供しているNeccoCafeは貴重な存在だと感じました。

Neccoカフェの外観。「みんなの居場所」ですのでお気軽に入店を!

一般社団法人「発達・精神サポートネットワーク」
発達障害者たちの憩いの場「Necco Cafe(ネッコカフェ)」
住所:〒169-0051 東京都新宿区西早稲田2-18-21 羽柴ビル202
TEL:03-6233-7456
URL:http://neccocafe.com
E-Mail:necco@live.jp

(担当:瀬尾崇信)