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食物アレルギー臨床研究で重症化/その治療法と注意点

森本毅郎 スタンバイ!

最近、臨床研究段階の「経口免疫療法」という治療をしていたこどもが重いアレルギー症状を発症するという事例がありました。ここ数年、こどもの食物アレルギーに悩む親御さん期待を集める治療です。治療中に何があったのか?そして、その治療法や注意点について。11月27日(月)、松井宏夫の「日本全国8時です」(TBSラジオ、月曜あさ8時~)で解説しました。

 

★似ているのは花粉症治療

今回ニュースになったのは、アレルギー治療の「経口免疫療法」という治療法です。イメージとしては、この番組でも何度か触れた、花粉症の治療に似ています。スギ花粉などのエキスを少量ずつ体内に入れることで花粉に過剰な反応をしなくなります。

経口免疫療法も同じ発想で、アレルギーの原因となっている食べ物を少しずつ口から摂取することで、その食べ物を、そのうち食べられるようにする、という治療です。まだ確立された治療ではないですが、食物アレルギー治療として、期待されていて、現在、多くの医療機関で、有効性・安全性を確かめる臨床研究がされていました。

★重症化の事例は・・・

まず明らかになったのは、今月14日、神奈川の医療機関で起きた事例です。その内容は、神奈川県立こども医療センターで、経口免疫療法の臨床研究に参加しているこどもが、重いアレルギー症状を発症。一時は心肺停止となり、救急搬送された・・・治療を受けたが脳に障害が出て今も治療中。このこどもは、喘息もちで、ぜんそくの発作があった2日後、135ミリリットルの牛乳を飲み、重いアレルギー症状を起こしたということです。

★最も多かったのは「牛乳」

この事例を重く受け止めた、日本小児アレルギー学会は、全国で同じような臨床研究を実施する、「344」の施設を対象に調査を実施しました。今月19日に発表されたその結果は、「16施設」で「18例」の重いアレルギー症状を発症していたことがわかりました。そのうち、経口免疫療法で、重いアレルギー症状となったこどもは、「4例」でした。小児アレルギー学会で重い症状が出たものも、最も多かったのは「牛乳」です。

★怖い「アナフィラキシー・ショック」

今回の調査では命を落とした事例はありませんでしたが、重いアレルギー症状は辛いもの。中でも、最も怖い症状は、「アナフィラキシー・ショック」。血圧が下がり、脈拍が弱くなり、全身が紫色になるチアノーゼが起きます。そして呼吸困難になり、この時点で治療ができないと意識障害を起こし、命に関わります。その場合、すぐに救急車で酸素設備のある病院へ運び、適切な治療をしないといけません。

実際そうしたリスクを踏まえたうえで、およそ8千人が、この臨床研究を受けています。2010年から続いている臨床研究なので、なにせ参加人数も多く、施設も多い。そのため、個々の参加者に合わせて、スピードや、入院・通院のいずれで行うかなど、やり方は、病院によって異なり、専任の医師に任せられているのが実状です。

★経口負荷試験

とはいえ、そのガイドラインは定められています。ここで改めて、経口免疫療法について、どんなことをするのか詳しく見ていきます。まず、免疫療法の前の段階で、治療に進んでも、大丈夫かどうかを確かめます。試験の名前は、「経口負荷試験」といって、こどもが、アレルギー原因の食べ物をどれくらい摂取すると、アレルギー反応が出でしまうのか、その上限を確認します。この上限によって、牛乳1ccからスタートしなくてはいけないこどももいます。

★経口免疫療法

摂取してもよい量が、わかれば、いよいよ「経口免疫療法」となります。牛乳の最終目標は、小中学校の給食で出てくる、大体200㏄とされています。最終目標までは、3つの段階に分かれます。

  1. 徐々に食べる量を増やす「増量期」
  2. そして目標の量を食べ続ける「維持期」最後は
  3. 一旦食べるのをやめて、再び食べても大丈夫かどうか確認する「確認試験」。

確認試験の時、特段症状が無い状態で、大体3カ月間続く。その後、2週間14日間、アレルギー原因食材を食べるのを一切やめ、15日目に病院で牛乳であれば、200㏄を摂取します。そこでアレルギー症状が起こらなければ、病院での治療は終了となります。

★こどもも大変

期間が長く、子どもにも根気が必要です。アレルギーの原因となる食べ物を接種した後は、身体のかゆみや口の中の違和感など、程度の差はありますが、必ず不快な症状が現れます。

それでも食べ続けなければならず、飽きっぽい子や落ち着きのない子は続けられません。

★研究段階であるという認識を!

そして、絶対に避けないといけないのは、「安易に食べてさせてみる」ことです。親御さんとしては、食べられないものを食べさせてあげたいという気持ちなると思います。しかし、繰り返しますが、現在は標準的な治療とされておらず、研究段階です。救急でも、すぐに対応できる態勢、なくてはいけません。そして内服薬、吸入薬などの常備薬も事前に準備が必要です。例えば食べさせた後、少なくとも60分間は、子どもの様子を観察する必要があります。親御さんが忙しくて見られないという場合は、お子さんの生死に関わることですので、最初からやらないほうがよいです。

食べられないものを、食べられるようにする、その手段はこれ以外無いのが現状です。ただ「経口負荷試験」で、何がアレルギーの原因か知っておくことは大切です。その後、臨床研究と認識したうえで、万が一の態勢がとれるということが前提で、経口免疫療法について「財団法人日本アレルギー協会」や小児科に相談してみてください。

 

日本全国8時です(松井宏夫)

解説:医学ジャーナリスト松井宏夫

 

松井宏夫の日本全国8時です(リンクは1週間のみ有効)http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20171127080000

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