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ハンセン病療養所「多磨全生園を学ぶ講座」▼人権TODAY(2017年12月2日放送分)

人権TODAY

毎週土曜日「蓮見孝之 まとめて!土曜日」内で8時15分頃から放送している「人権トゥデイ」。様々な人権をめぐるホットな話題をお伝えしています。

今回のテーマは…2017年12月2日放送「多磨全生園を学ぶ講座」

担当:崎山敏也

東京・東村山市。清瀬市との境界辺りを歩いていると、住宅街の中に大きな森が現れます。国立ハンセン病療養所「多磨全生園」です。この多磨全生園について学ぶ講座が去年から、入所者自治会、東村山市、NPO「東村山活き生きまちづくり」の主催で開かれています。

2001年に憲法違反だったと司法が判断しましたが、かつてはハンセン病にかかった人が、治ってもそのまま強制的に隔離されていました。現在も差別や偏見がなくなったとは言えず、社会復帰した人はわずかです。全生園の入所者は170人あまり。平均年齢は85歳で、その体験を受け継ぐことが難しくなっています。

入所者自治会は、自身の体験や誤った政策の歴史を伝えるため、敷地を「人権の森」として残す構想を進めています。そこで、構想に賛同している東村山市とNPOが加わって、去年から講座を開いているんです。

多磨全生園を学ぶ講座

多磨全生園を学ぶ講座

崎山記者は、11月25日(土)、園内に残る歴史的建造物や史跡を歩いて回る、第三回目の講座を取材しました。今年の参加者は26人。参加したきっかけを聞くと、若い女性は「大学でらい菌について学んだことがあって、歴史と、科学的な、両方の側面から理解を深めることをしたいな、と思いました」という答え。また年配の男性は「前から存在は知っていたんです。この近くに勤めたことがあって。そのあと、調べて、仲間を連れて、資料館を。じっくり見て、散策するということはなかったんです」と話してくれました。

多磨全生園の敷地は36万平方メートル。東京ドームが8個ほど入る広さで、250種類、3万本以上の樹木がある豊かな森です。

参加者は4つの班に分かれたので、崎山記者はNPOのメンバー、島崎喜美子さんが案内する班についていきました。まず着いたのが、永代神社の前。105年前にできた全生園ですが、戦後の一時期までは、「患者作業」と呼ばれる労働で食糧の生産、重症の人の看護、様々な土木作業が行なわれていたんです。でも苦しい労働だけでなく、園の中でも自分たちの暮らしをよくしていくために、いろんな建物を作ったりしてきました。自分たちの村に村の鎮守様もほしいよね、ということで、もともと宮大工だった方が入所者の中にいて、その人が中心になって、神社の建物を作った、といった説明がありました。

多磨全生園の中の永代神社

多磨全生園の中の永代神社

神社から桜並木を歩いているとき、東村山に嫁いできて20年ほど、落ち着いたら勉強しようと思っていたという女性が、関心を持った理由について、「自分の出身地は四国なんですけど、四国の徳島県阿南市からやはり入所して亡くなった北條民雄という作家がいます。まさに私も阿南市の出身なんですけど、縁あって私もこちらに嫁いだということで、それを含めて勉強したいな、と思ったのが大きな理由です」ということでした。文学を入口に多磨全生園を学びたいという人もいるんですね。

「いのちとこころの人権の森宣言」の碑

「いのちとこころの人権の森宣言」の碑

また、「緑」という入口もあります。全生園の木々は、入所者がお金を出し合って植えた貴重な緑です。高齢化して自分たちでは手入れができなくなり、NPOなどの人たちが、できる範囲で手入れをしています。

ここで亡くなった入所者の、故郷に戻れない遺骨が収められた納骨堂で手を合わせたあと、梅園を通りました。NPOがいくつか協力して手入れしてきれいになっています。島崎さんは「昔はもちろん食用でしたけど、今は保育園の子供たちが梅の実をとって、ジュースにしたりしています」と説明しました。

多磨全生園の森林浴道

多磨全生園の森林浴道

また、納骨堂のところから続いている森林浴道も歩きました。自然の雑木林ではなく、木が木が一列に続いています。外の人も今は全生園の中に自由に入れます。散歩コースだったり、ランニングコースだったりして、利用している方が多いんです。地域の人たちにとって大切な緑になっていることがわかります。

多磨全生園の山吹舎

多磨全生園の山吹舎

そのあとは、いずれも入所者自身で建て、修復作業が行なわれた独身男性寮「山吹舎」や旧「図書館」などを回り、入所者の生活の苦労や、自分たちの記録を残そうという思いなども学びました。一方で、子供たちが住んだ「少年少女舎」が修復されないまま荒れている現状も見ました。

終わった後、感想を聴くと、ある年配の男性は「30年住んでいて、散歩コースだったんですよ。でも、同じところしかぐるぐる回ってなかったんで、いろいろなことがわかってよかったなあと思っています」と話します。

また、別の若い女性は「広くて、木が多くて、種類も多いですね。療養と生活が全くこの中でっていうのって、それがまだ日本に十数か所あって、ということももっとみんな知らなきゃいけないような気もします」と話していました。

多磨全生園案内図

多磨全生園案内図

「ハンセン病問題」はまだ終わっていません。偏見や差別はまだなくなっていないし、 その被害を受けた患者の家族たちが国を訴えた訴訟が続いています。多磨全生園は、国が自ら誤まった政策を行なった「負の歴史」を伝える場そのものですが、国は「人権の森」構想に積極的に関与しようとはしていません。

 

※多磨全生園は、入所者の生活に配慮しながらであれば、誰でも自由に散策することができます。入所者自治会にはパンフレットも置いてあります。

東村山市企画政策課 042-393-5111(代)

多磨全生園入所者自治会 042-393-9784