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フィリピン少数山岳民族の文化継承 元東大リケジョ・山下彩香さん

久米宏 ラジオなんですけど

TBSラジオで毎週土曜日、午後1時から放送している「久米宏 ラジオなんですけど」。
12月2日(土)放送のゲストコーナー「今週のスポットライト」では、ジュエリーデザイナー・山下彩香さんをお迎えしました。フィリピン・ルソン島北部の山岳少数民族カリンガ族が作る竹製楽器をモチーフにしたジュエリーブランド「EDAYA(エダヤ)」を立ち上げ、代表としてフィリピンと日本を飛び回っています。

山下彩香さん

山下さんは1985年、福岡県で生まれ。横浜市で育ち、横浜雙葉高校に進学。1年生の時、学校の反対を押し切って1年間カナダへ留学。留学期間中は休学扱いとなったため、合計4年間高校生活を送ります。その高校時代は医者を目指していた時期もありましたが、東京大学に進学すると農学部を専攻。そして大学院では医学系の人類生態学を専攻。さらに、大学3年からは劇団に入って活動していました。はたからみると迷走気味?「山下さんは全方位に興味が向くタイプなんですね」(久米さん)。

ジュエリーとアクセサリー

東大大学院まで進めばあとは研究者か国家公務員か一流企業。ところが山下さんは進路を決める時期が迫っても迷っていました。そこで、今までやってきたことをいったんすべて真っ白にして、本当に自分がやりたいことは何なのか徹底的に見つめなおしました。そして出てきた答えが、「文化」と「マイノリティー」という2つのキーワード。

スタジオ風景

「私は大学で理系に進んだこともあって、ずっと理系の道にこだわってきました。でもアートや文化にも本当はすごく興味がありました。しかも名もない人たちが時代の中で粛々と紡いできたカルチャーに興味があるということに行きついたんです。そういう無名の人たちが連綿と紡いできた文化があるから今の私たちがいて、それが未来にもつながっていく。その中には有形のものも無形のものもあります。無形のものは誰かがつないでいかなければ消えてしまいます。だからこれをどうにかしたいと思ったんです」(山下さん)

竹楽器

そして山下さんが選んだ道は、フィリピンの少数民族の伝統文化を残していく活動でした。山下さんは大学院時代にルソン島北部の山奥で暮らす先住民族「カリンガ族」と出会い、彼らが儀式で使う竹製の楽器やその音楽に強く惹かれていたのです。スタジオにもいくつかお持ちいただき、魅惑的な独特の音色を聞かせてくれました。

スタジオ風景

こうしたカリンガ族の伝統文化や生活スタイルはフィリピンでの急速な経済発展のかげで地域から消えようとしています。しかもカリンガ族の人たちもその文化を価値あるものだと考えていなかったので、自分たちから貴重な伝統文化を手放してもいたのです。そこで山下さんは彼らの文化を失わないようにする方法はないかと考え、カリンガ族の楽器をモチーフにしたジュエリーの製作販売を思いつきました。そして大学院を修了した2012年、カリンガ族の伝統工芸家であり竹楽器演奏家のエドガー・バナサンさんとジュエリーブランド「EDAYA」を立ち上げました。 エダヤというのはカリンガの言葉で「精霊(スピリット)」のこと。自分たちの信念(スピリット)が、「枝」が伸びるようにたくさんの人の心に届くようにという願いが込められています。

ジュエリーとアクセサリー

EDAYAのジュエリーは、今のところエドガーさんがひとりで製作しています。ひとつひとつの加工が大変手間がかかるものなので大量生産はできません。少数民族の伝統文化を残そうとするなら、ジュエリーをもっとたくさん売って現地に雇用を増やそうと考えるのが普通かもしれません。でも山下さんはそういった考えには反対だと言います。

ネックレス

「EDAYAがやっているのは雇用を増やすモデルではなくて、職人さんが作っている背中を見せてあげて、ああ自分たちもやりたいと次に続く若者を増やすモデルなんです。文化を残すために現地の人をもっと雇ってジュエリーをたくさん作らせようとしても、そこには無理が生まれます。文化の継承は人に言われてやるものではなくて、彼らが本当にやりたくてやっていかないとだめだと思うんです。大事な文化だから続けましょうと上からものを言っても、人の心を動かすことは難しい。実際、カリンガの人にジュエリー制作を任せても、いやになっていなくなってしまった人もいました。だったら、彼らが自分たちからやりたいと思えるきっかけを作った方がいいと思ったんです。だからなるべく現地の人の自発的な発想や行動を尊重したいと考えています」(山下さん)。

蝶ネクタイのアクセサリー

現在、EDAYAの活動はジュエリーの製作だけにとどまらず、教育や人材の交流など多岐にわたっています。
「自分がやりたいと思っていることは、たぶん、人のつながりを作っていくこと。2012年にEDAYAを立ち上げてから、フィリピンの少数民族の村をめぐって竹楽器の演奏者と会うための旅をしたり、2013年からは“竹と地方文化”をテーマにフィリピンの人と、日本の地方で村おこしなどを考えているような人たちをつなぐ活動をしてきました。みんな、人のつながりであるような気がします」(山下さん)。

山下彩香さんのご感想

山下彩香さん

とっても緊張していたんですけど、話し始めたら普通になりました。それが良かったのか悪かったのか(笑)。

久米さんが事前に資料や本をすごく読んでいただいたことがとても嬉しかったです。自分でもかなり頑張ってい書いた本なので、久米さんが写真の細かいところまでおっしゃってくれて「ああ!」と思いました。

初めに久米さんに「結局あなたが関心あるのは、人間と文化ですね」と言われて、それ以上何も言えなくなってしまったんですが、的確におっしゃってくださって、すごくありがたかったです。「もの」(竹楽器をモチーフにしたジュエリー)の話も大事なんですけど、そういうものをつくったきっかけというのも私は伝えたいと思っているんです。私の中ではいろいろなことが全部つながっていて、ひとことで表せないんですけど、その軸になるのは何かといったら、久米さんがおっしゃった「人間と文化」ということなのかなと思います。なかなか伝わりにくいことをやっているんですけど、今日はそれが言えてよかったです。ありがとうございました。

2017年12月2日(土)放送「今週のスポットライト」、ゲスト:山下彩香さんhttp://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20171202140000

radikoで放送をお聴きいただけます(放送後1週間まで/首都圏エリア無料)