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熊川哲也さん~バレエ「クレオパトラ」が誕生するまで

コシノジュンコ MASACA

2017年12月3(日)放送

ゲスト:熊川哲也さん(part 1)
1972年 北海道生まれ。10歳からバレエを習い始め、14歳のときに世界的名バレエ教師のハンス・マイスターに才能を認められ、1987年に9月英国ロイヤルバレエ学校アッパークラスへ入学。在学中はソ連レニングラード・ワガノワバレエ学校創立250年祭に英国代表として出演、日本人で初めてマリンスキー劇場の舞台に立ちました。翌年には第17回ローザンヌ国際バレエコンクールで日本人初のゴールドメダル受賞。1989年に英国ロイヤル・バレエ団に入団、ほどなく最年少(17歳)でソリストに昇進。1993年にはプリンシパルに昇格し、約10年間在籍した後1998年に退団。帰国後、自ら主宰するバレエ団「Kバレエカンパニー」を立ち上げ、2003年には付属のバレエスクールを設立。現在は日本全国年間約10万人の観客を動員し公演を行っています。2013年、紫綬褒章受章。
 


出水:私とジュンコさんは、10月にKバレエカンパニーの公演「クレオパトラ」を見てきました。

JK:素敵でした!お見事でした!! 本当にブラボー! 私、クレオパトラ自体が大好きだから。

熊川:ありがとうございます。たしかに髪形も、どこか・・・ねぇ?

JK:真似したんじゃないわよ(笑)でも、あれをバレエにするっていう発想がね。もとはバレエじゃないじゃないですか。原作をゼロから作られたんでしょ? ぜひ聞かせてください。

熊川:まず、バレエ団は新作を発表していかなきゃいけない組織なんです。でもバレエの古典は意外と数が少ない。まぁ音楽やオペラだったら無数にあるけれども、バレエは「白鳥の湖」から始まって、10作品ぐらいしかないんです。19世紀後半から20世紀初めまでしか作られなかったので。世界のバレエ団や振付家はこぞって、自分のオリジナル作品を発表してますけれど、その一環としてKバレエカンパニーも「カルメン」に続いて「クレオパトラ」。

JK:「カルメン」も大好きです。カッコいい女。だけど、「クレオパトラ」には象徴的な美しさってあるじゃないですか。それをバレエの手の動き、壁画の通りに動くっていう。チュチュ着て、くるくる回ってっていうのがバレエだけど、全然違いますよね。

熊川:だから、なぜ世界のバレエ界がクレオパトラに注目しなかったのかな、と不思議には思いましたね。彼女の軌跡、といっても2070年も前のことですから、何が史実かわかりませんけれども、調べていくうちに「これほどバレエの題材になるものはないな」と。

JK:革命的発見ですね。

熊川:それに、音楽はデンマークのカール・ニールセンなんですけれど、バレエはず音楽ありきなんですよ。音楽からインスピレーションをもらわないと、作品の発展性がまったく止まっちゃうので、まずはエジプトの民族音楽だったり作曲家だったりをしらみつぶしに聴いて、その中でニールセンの曲が胸にキュンときまして・・・。

JK:やっぱり音楽を聴くと、振り付けがパーッと出てくるんですか?

熊川:そうですね、まず音楽の性格を頭の中で整理して、その時にはすでに冒頭のシーンとラストは浮かんでました。

出水:えーっ?

JK:あの装置も素敵でした! 本当に幻想的、エジプトの神秘的な階段があって、幻想的な場面から始まって・・・。

熊川:ありがとうございます。そう言っていただけると嬉しいですね。エジプトっていうと豪華絢爛なイメージで、ローマといったら巨大な柱が立っているセットをイメージしますけれど、それをバレエの舞台で表現するっていう。ときとしてあの階段がピラミッドになったり、バトルフィールドになったり・・・。

JK:オペラの「アイーダ」みたいにね。あんな感じ。

熊川:そうですね。だから「アイーダ」を見てると、やっぱりオペラは予算があるんだな、と(笑) まあ畑が違うので、バレエでは我々ができる舞台上の美しさを、っていうんですかね。

出水:ちょっと妖艶でエロティックな場面もあって、見ていてちょっとドキドキしたんですが、あえてそういった、男女が肌を合わせるようなシーンも描いていたんですか?

熊川:もちろん。やっぱりあの時代、女性がひっぱっていく国だと、権力と美貌、武器という意味では女性の美しさとエロティシズムは確実に隣接してなきゃいけないので。

JK:美貌、これほど強いものはないですよね。それでまたスタイルが、クレオパトラという典型的なスタイルが永遠に残りましたよね。

熊川:まあ、いろんな逸話があり、今となってはどれが本当かわからない。本当にウィキペディアさまさまでしたけれども(笑)「考古学的なリサーチをされたんですよね?!」とか聞かれるんだけど、そうでもないんだけどなぁ、みたいな(笑)

JK:そういう意味では感覚的というか、美しさをきちんとバレエで表現したという。普通はオペラになりがちなところを、バレエっていうのが珍しいですよね。

熊川:やっぱりオペラはセリフが音楽になっていて、どうしても言葉で納得させようというところがある。演劇もそう。バレエの一番の強みは、視覚と聴覚、人々の感性に訴えるという刺激が強いかな。

JK:あれは世界に持っていけますね。オリジナルっていうのは絶対世界に通じる。日本の場合はどうしても、外国のものを持ってくるばっかりでしょ。もともとオペラにしてもバレエにしても、西洋のものだから。東洋人しかできない発見、これを外国にもっていけば、ウケますよ!

熊川:主催のTBSがやってくだされば(笑)

出水:熊川さんはいまはダンサーとしてだけでなく、芸術監督としてもバレエに携わっていらっしゃいますが、ダンサーだけやっていたころと今で、バレエに対する考え方や向き合い方に変化はありましたか?

熊川:個人目線か、バレエ目線か、というだけのことですね。ダンサーのころは自分からの発信で、100%発揮できればよかったんですけど、年齢とか怪我とか経験しながらも成長させてもらったんで、芸術監督としてはバレエに恩返しという意味で。幸い自分には組織もありますから、まるきりバレエ目線ですね。

JK:客観的にバレエ界全体を見る、ということですね。それこそ革命的なことをするチャンスって、自分中心だとなかかできないですよね。

熊川:そうですね。バレエ界というほど大げさなものではないですけど、先人たち・偉人たちの偉業に泥を塗っちゃいけない、というのもありますし。自分のアピールの仕方でイメージが変わることもあるじゃないですか。

JK:でもまた、ご自身が躍るっていうことはないんですか?

熊川:どうでしょうね? 今回の「クレオパトラ」も、もし自分が出演したうえで振り付けをしていたら、あんな作品にはならなかったでしょうね。客観的に見れたっていうのと、いかにダンサーを輝かせるか。自分が出ると、どうしても欲が出てしまう部分があると、フェアな立場で見られない、というのかな。

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Tetsuya Kumakawa|K-BALLET COMPANY Winter 2017
『くるみ割り人形』赤坂Sacasバージョン10周年記念

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日程|
2017年12日21日(木)~24日(日)
東京:TBS赤坂ACTシアター
2017年12日26日(火)
福島:とうほう・みんなの文化センター

料金|
東京:¥11,500(全席指定)
福島:S席¥12,500 A席¥10,500

お問合せ|
チケットスペース 03-3234-9999
テレビユー福島 024-531–5111
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出水:熊川さんの「くるみ割り人形」は2006年に朝日舞台芸術賞を受賞、「赤坂サカス・バージョン」としては10年目の上演になるんですよね。

熊川:早いですね~。ちなみに今年が最後ですからね、赤坂サカスで踊るのは。

JK・出水:えっそうなんですか?!知らなかった!

熊川:もう10年やったから、次はオーケストラに戻ろうかな、と(笑) サカスにはサカスの良さがあって、臨場感とか、客席に近いのでみんながその世界に入り込める。舞台を見ている感覚とは違うという良さがあったんですけれど、そろそろクラシックに戻って、生の演奏でやりたいなと思いまして。

JK:やっぱりオーケストラが入るとダイナミックですよね。オペラに対抗するっていうんじゃないけど、立体的ですもんね。

熊川:オペラに対抗するっていうのは本当に大変なこと。オペラハウスではやっぱりオペラのチケットのほうが売れてましたし、予算もオペラのほうが多かったですし。

JK:ご自身の経験で、いままでどこの舞台が最高でした?

熊川:その時の演目や自分の状態で、お客さんの温度も変わるので、やっぱり自分目線でしたよね。そういう意味では、やっぱりラテン系の国のお客さんの反応を見た時、アルゼンチンのテアトルコロンとかは素晴らしかった。劇場が生きているという気がしました。

JK:日本はそこまで盛り上がらないですか?

熊川:いや、盛り上がりますよ。ただ22~23歳のころは、昔の劇場、オペラ優先の劇場は床が斜めになってるんですよ。前のめりになっちゃう。後ろの席でも見えるような配慮だと思うんですが。だからくるくる回るときに、まっすぐ地面に対して垂直に立つのも意識しないといけない。

JK:よく事故にならないですねぇ。

熊川:それよりも、床のトゲがすごかった。くるくる回るたびに足にトゲが刺さった。古かったですからね。

JK:マリンスキー劇場ってあるじゃない?新しくなって、最高の劇場になったですよ。ステージが立体的になるみたい。いつかそこで「クレオパトラ」を!

熊川:ねぇ・・・まずエジプトでやってみたいですけどね! エジプトの方はどう思うのかなあって。リスペクトを込めてやってみたいです。

JK:舞台装置いらないじゃない!本物のピラミッドの前で。

熊川:野外でですか?? あのピラミッドを上がっていくのは大変そうですね(笑)

=OA楽曲=

M1. アラディン交響曲1番 / デンマーク国立放送交響楽団

M2. アラディン交響曲7番 / デンマーク国立放送交響楽団