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世界中で被災地支援を続ける日本人建築家・坂茂さん

久米宏 ラジオなんですけど

TBSラジオで毎週土曜日、午後1時から放送している「久米宏 ラジオなんですけど」。
12月30日(土)放送のゲストコーナー「今週のスポットライト」は「あのゲストのその後スペシャル!」と題して、世界的な建築家・坂茂(ばん・しげる)さんをお迎えしました。

坂茂さん

東日本大震災のあと宮城県・女川で仮設住宅の建設を進めていた2011年7月以来のご登場。その後も世界中の被災地で仮設住宅などを造る支援を続けてきました。その長年の活動に対して2017年12月、マザー・テレサ社会正義賞が贈られました。この受賞は日本人では初めて、そして建築家としても初めてです。

坂さんは1957年、東京都生まれ。高校卒業後アメリカの大学で建築を学び、1985年に株式会社坂茂建築設計を設立。これまでに、世界有数の文化美術施設といわれるパリの「ポンピドゥー・センター」をはじめ、海外の巨大プロジェクトを数々手がけています。最近では高級時計メーカー「オメガ」の新しい製造拠点(スイス)や、同じく世界的時計メーカー「スウォッチ」の新しい本社(こちらもスイス)を設計しました。

こうしたプロジェクトをいくつも抱えて超多忙な日々を送りながら、もしかするとそれ以上に坂さんが情熱を注いでいるのが被災地支援。世界各地の被災現場に駆けつけ、紙のパイプやコンテナなどを使った低コストの避難所や仮設住宅を造るという活動を20年以上続けています。難民であふれるルワンダ(1994年)や、阪神淡路大震災の神戸(1995年)、先にも書いた東日本大震災の女川(2011)。さらに、トルコ、スリランカ、中国・四川、ハイチ、ネパールなど、支援した被災地は日本を含めて14ヵ国にのぼります(2017年現在)。

スタジオ風景

「この仕事を始めた頃は、なんていい職業なんだと思ったんです。家を建てるのはその人の人生でいちばん良いときで、そういう人たちとお付き合いできるのが建築だからです。でも10年ぐらい経つうちに、僕らは一部の特権階級の人のために仕事をすることがほとんどで、社会全体のためにはあまり役になっていないということに気がついたんです。そんなときにルワンダの難民キャンプで震えている人たちや神戸でテント生活を強いられている人たちを見て、なんとかしたいと思ってやり始めたのが22年前です。僕らの仕事は住環境を良くすることですから、被災した町の復興ということより前に、避難所とか仮設住宅の環境を改善するのも僕らの仕事じゃないかと思って、そういうところに飛び込んでいったんです」(坂さん)

年表となっている表紙
年表となっている表紙

坂さんのこれまでの仕事を収めた作品集『坂茂の建築―材料・構造・空間へ』(TOTO出版、2017年4月出版)の中で、この本を企画・監修したプロジェクトプランナー真壁智治さんは「坂茂が登場するまで建築家が担う災害支援というカテゴリーがなかった」と書いています(ちなみに真壁さんは、坂さんが高校生のときに通っていた東京のお茶の水美術学院で当時、講師をなさっていて、坂さんの才能を見抜き、日本を飛び出してアメリカの大学で学ぶよう勧めた方です)。坂さんは現在、メキシコ地震(2017年9月発生。死者300人以上、被災建物1万棟以上)の被災地で仮設の小学校を造る計画を進めています。

今や坂さんの代名詞となった紙の筒(紙管)を使った建築は、大きなプロジェクトでは2000年にドイツで開かれたハノーバー国際博覧会の日本館で初めて採用され、それがきっかけで世界で仕事をするチャンスが増えたそうです。

静岡県富士山世界遺産センター

「紙だから建材として弱いということはありません。弱い材料でも弱いなりにうまく使うことができます。紙や木を建材として使うにはいろいろ制限がありますが、制限がある材料のほうが設計していて面白いですね。僕は自由を与えられるより、ルールの中でどれだけのことができるかということに挑戦することに興味があります」(坂さん)

坂さんは、いずれ壊してしまう仮設住宅だからという理由で紙を使っているということではないと言います。そもそも弱い材料(紙)だから仮設、強い材料(鉄筋)は半永久的ということではないと考えているのです。

スタジオ風景

「鉄筋コンクリートの建物でも、商業目的で建てらたけれど採算が合わなくなったり、流行の賞味期限が切れて壊されてしまえば、それも結局『仮設』なんです。一方、1995年の阪神大震災のときに神戸に造った紙の教会(カトリックたかとり教会)は10年間、近隣の人たちにコミュニティーセンターとして使われまいた。そしてその後、解体されて、2008年に台湾の地震の被災地に移築されて『紙教堂』として今でも使われています。鉄筋で造ってもそこに愛情がなければ仮設で終わってしまう。紙で造ってもそれを人が愛しさえすればパーマネント(半永久的)になりうるんです。僕は今の流行は一切考えずに、自分がずっと信じてきたものを繰り返しやっているんです。流行を追わないので、建築を学ぶ日本の学生から人気があるわけではないですけど(笑)」(坂さん)

久米宏さん

「その頑なさは、今よりもむしろ死後100年ぐらい経ってからのほうが、より高い評価を得ることになるんじゃないかと思うんですが」(久米さん)

坂茂さん

「できればもう少し早く認めていただきたいですけど(笑)」(坂さん)

2017年12月30日(土)放送「今週のスポットライト」、ゲスト:坂茂さんhttp://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20171230140000

radikoで放送をお聴きいただけます(放送後1週間まで/首都圏エリア無料)

次回のゲストは、チェロ奏者・尺八師範のアーミン・ローベックさん

2018年1月6日の「今週のスポットライト」には、チェロ奏者で琴古流尺八の師範という在日ドイツ人、アーミン・ローベックさんをお迎えします。ドイツの音楽大学でチェロを学んだのち、来日してなぜかお寺に弟子入りしたという変わった方。チェロを演奏する一方で、尺八を知らない多くの日本人にその魅力を伝えています。

2018年1月6日(土)放送「久米宏 ラジオなんですけど」http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20180106140000

radikoで放送をお聴きいただけます(放送後1週間まで/首都圏エリア無料)