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今年変わる「遠隔診療」

森本毅郎 スタンバイ!

今年特に節目となりそうなのは、「遠隔診療」です。厚生労働省の社会保障審議会が先月、この遠隔診療を2018年度から積極的に導入する方針を決定しました。そこで、今日は、何がどう変わっていくのか?1月8日(月)、松井宏夫の「日本全国8時です」(TBSラジオ、月曜あさ8時~)で解説しました。

 

 

★遠隔診療とは?

遠隔診療とは、患者が自宅など、病院から離れた場所で、パソコンやスマホを使って、医師とテレビ電話のような形で診療してもらう仕組みです。病院に行って、対面で診察してもらわなくても良くなる、というわけです。さらに大きいのは、これで薬の処方箋も出してもらえる、ということです。もちろん、初診の場合は、病院に行って、診察してもらう必要はあります。ただ、その後、病状が安定し、経過観測しながら、薬を飲み続けるような場合、スマホやパソコンで医師が「その後お変わりないですか?」などと聞いてくるので、患者さんはそれに答えると、処方箋が出る、という形になっていきます。

★今年広がるわけ

これまでは、医師法の20条で、対面診療が基本とされていました。しかし1997年、さらに2015年、厚生労働省の通知によって、離島などで、一部の病気について、限定的に遠隔診療が解禁されてはいました。それが今年、さらにルールが新しくなり、広がっていくことが期待されます。具体的には、遠隔診療のガイドラインの作成が、今年3月に予定されていたり、遠隔診療を行う際の、医師の診療報酬改定が行われる予定です。そうしたルール作りが行われると、新しく遠隔診療を導入しようとする病院が増えます。すると、遠隔診療は、病気や地域に限定されない、一般的な診療方法となりそうです。言い換えると遠隔診療は、外来や入院、在宅と並ぶ、新しい医療の分野になりそうです。

★処方までの時短!

例えば、花粉症の薬や高血圧の薬など、お決まりの薬を処方してもらう場合、現在は、数分の診察、処方のために、時間をかけて病院に行き、さらに何時間も待たされることがよくあります。さらに診療を受けてから、その後薬局で調剤待ちをすることもあります。離島や過疎地では大変ですし、さらに都市部でも、忙しい会社員などはなかなかできません。これが遠隔診療なら、時間になったらスマホをつけて、数分の診察、そして処方で済む!

★薬の受け取りは?

薬の受け取りは、薬局に行かないといけない点は、変わらないでしょう。薬については、診療とは別に薬剤師との対面での服薬指導が義務付けられています。また、処方箋は4日間しか使えないので、その間に薬局に行く必要はあります。ただ、調剤薬局は都市部ではあちこちにあるので、会社のそばで済ませられます。

★先を行く禁煙治療

これだけでも、だいぶ楽になりますが、将来的には、さらに楽になる可能性があります。実は既に、禁煙治療では、薬の配送も含め、完全遠隔診療が認められています。たばこをやめたい人が通院や順番待ちで、禁煙治療をやめてしまうケースも多いためです。遠隔診療を行うことで、禁煙治療の継続効果が1・5倍になるという数字もあります。禁煙以外にも、花粉症や高血圧など、遠隔診療に相性の良い病気があります。今後、対面診療を前提に、個々の患者の状態や、病気の種類によって、遠隔診療をいかに組み合わせるのか、ルール作りがさらに進んでいくこと思います。

★遠隔診療が進む領域「歯」

ルール作りと同時に、ITの進歩が遠隔診療の広がりを後押しするという面もあります大きく変化が見られる分野を、2つご紹介します。まず一つ目は、歯科の領域です。歯ブラシ連動サービスで、医療関連各社が、昨年末、相次いで発表しています。歯医者や歯科衛生士が指導する歯の磨き方を、スマホのアプリで再現できるサービスです。歯磨きかと軽く見る人もいると思いますが、最近、歯周病で認知症のリスクが高まるなど、歯の健康が体のあちこちに影響していることがわかってきています。そういう意味で、いかに正しく歯を磨くのか、というのは重要ですが・・・さすがに歯磨きの指導を受けるためだけに、忙しい人が医者に行くのはなかなか辛い。そこで遠隔診療に注目が集まっています。

★新しい電動歯ブラシ

具体例として、オムロンの「キュアライン」というものを説明します。まず、歯医者さんで診察してもらい、磨き残しや磨き方の癖を見てもらいます。そして、歯医者さんがパソコンを使って、専用の電動歯ブラシに、その癖を登録します。その歯ブラシと、スマホのアプリが連動する仕組みになっていて、あとは、患者さんが自宅で歯磨きをすれば、磨く位置に応じてブラシの振動する強さが、変わる、というわけです。スマホの画面には、ガイドが出ますので、それに沿って歯ブラシの位置を動かすだけで、歯医者さんで教えてもらった、歯の磨き方が再現できるということです。処方通りの磨き方ができているかどうか、患者自身もアプリで確認できますし、歯医者さんにそのデータも送られ、診療されます。

★「眼」でも進む!

そしてもう一つ、変化がみられそうな分野が、眼科の領域です。加齢黄斑変性や、糖尿病による失明の危険の可能性を、早期発見できるアプリもあります。こちらはアメリカの企業が開発したもので、とても簡単。スマホの画面上に4つの、丸型のシンプルな形が出てきます。4つのうちの3つは同じ形だけど、残り1つは形が違ったものとなっています。加齢黄斑変性や糖尿病網膜症などの場合、視界がぼやけていたり、ものがゆがんで異なる形であっても、同じ形に見えてしまうことがあります。その特徴をいかして、早期発見ができる、といったものです。アメリカでは、その結果を基に、医師が処方することが可能になっています。

 

 

日本全国8時です(松井宏夫)

解説:医学ジャーナリスト松井宏夫

 

松井宏夫の日本全国8時です(リンクは1週間のみ有効)http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20180108080000

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