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南極点を制覇した北極冒険家・荻田泰永さん

久米宏 ラジオなんですけど

TBSラジオで毎週土曜日、午後1時から放送している「久米宏 ラジオなんですけど」。
1月27日(土)放送のゲストコーナー「今週のスポットライト」では、「南極点無補給単独歩行到達」に日本人で初めて成功した荻田泰永(おぎた・やすなが)さんをお迎えしました。

荻田泰永さん

荻田さんは1977年、神奈川県生まれ。現在は北海道在住。この番組には2014年1月、成功すれば世界3人目、日本人では初となる「北極点無補給単独徒歩」に挑戦する直前に出ていただきました。そのときは天候や氷の状況が悪く、残念ながら途中で中止となりましたが、その後も北極行きを重ね、これまでに(2000~2017年)なんと15回。

“北極男” の異名を持つ荻田さんですが、新たなチャレンジに選んだのは南極。まさに、180度の方向転換です。

スタジオ風景

「北極に初めて行ったときは何があるんだろうというワクワク感とか恐怖とか、いろんな感情があったんですが、もう17年も通っていると事前にいろいろ予測した範囲を出るようなことはだんだんなくなってくるんです。それによって安全に進むことができるし、難しいことにも挑戦できるようになるんですけど。40歳になって、初めて北極に行ったときのようなワクワク感を体験してみたくなった。違う世界をみてみたくなったんです」(荻田さん)

「南極点無補給単独歩行到達」というチャレンジは、南極のヘラクレス入江から南極点までの1130km(新幹線の東京~博多間とほぼ同じ距離)を、食料や物資の補給を受けずに、ひとりで、歩いて目指すというもの。南極点は標高2800mもあって、ずっと登り坂。しかも山頂から吹きおろしの向い風が常に吹いている中を重さ100kgもあるソリを引きながら、毎日だいたい10時間、20~30kmぐらいのペースで50日間歩き続けるのです。

2016年11月、荻田さんはカナダ経由でチリの南端プンタアレナスという町に行き、そこからロシアの物資輸送機で南極大陸の端にある民間のキャンプ村に入りました。そこでひとまず休み、翌々日にキャンプから60~70km離れた海岸線まで飛行機で移動して、たった一人の冒険をスタート。

久米宏さん

「最初の一歩を踏み出すときは武者震いをしたりするものですか?」(久米さん)

「結構、淡々としているものですよ。ああ、また始まったかという感じ」(荻田さん)

「誰かがピストルを鳴らしたり旗を振ったりしないんですか?」(久米さん)

「ないですね(笑)。飛行機はすぐ帰っちゃいますし」(荻田さん)

「南極の氷でウイスキーを飲んだりはしなかったんですか?」

「飲んだらおいしいでしょうけど、しなかったです(笑)。60日分の装備を積んだ重たいソリを引かなければいけないので、本当に必要なものしか持っていかないんです。1g(グラム)でも軽くしたいので徹底的に無駄を省く。例えばアメも全部包み紙をはがして持っていくんです。そのぐらい軽量化を図るので、ウイスキーのような嗜好品は持っていかないです」(荻田さん)

そう言いながらも荻田さん、南極から発信していたツイッターを見ると、クリスマスの飾りや鏡餅を持っていってます(笑)。極限状態の中ではそういう楽しみも必要なんでしょう。日本の面積の37倍もある広大な、それもただひたすら真っ白な世界が広がる南極大陸をたったひとりで50日間も歩き続けるのですから。荻田さんが今回取ったルートにはペンギンなどの動物はいませんし、細菌やウイルスさえもない。つまり自分以外の生命体がまったくいない、究極の「おらおらでひとりいぐも」です。

荻田泰永さん

ゴールまで誰にも会わないはずの冒険の中で奇跡的な出会いがありました。南極点までの中間地点でキャンプをしたときに、世界的な冒険家ロバート・スワンさんとばったり遭遇したのです。

「ちょうど別のグループもキャンプをしていて、欧米人のおじさんが話しかけてきたんです。よくきたな、何日ぐらいかかった? って。その人がロバート・スワンと名乗ったのでもうびっくりして。嬉しくなっちゃって、一緒に写真撮ってもらいました」(荻田さん)

ロバート・スワンさんは1980年代に活躍し、1989年には国際チームを結成してカナダから北極点まで遠征しました。その中に日本の登山家・大西宏さんがいました。大西さんは明治大学の山岳部出身で、植村直己さんの後輩にあたります。大西さんはその遠征から帰ると、その年のうちにエベレスト登頂にも成功し、「2極制覇」を成し遂げました。そして次に南極点到達を計画し「3極制覇」を目指しましたが、1991年にヒマラヤ山脈のナムチャバルワで雪崩に巻き込まれて亡くなってしまいました。

「キャンプから一夜明けて出発するときに、スワンさんに『ヒロ(大西さん)は南極に行きたかったけど山で死んでしまった。ヒロの思いと一緒に行ってくれ』と言われました。その言葉はジーンときましたね」(荻田さん)

スタジオ風景

荻田さんは50日間かけて、今年(2018年)1月6日、みごと南極点に到達。日本人では初の快挙を成し遂げました。その日この番組では衛星電話を通じて南極点にいる荻田さんの声をお伝えしました。

今、荻田さんにはやりたいことがあります。それは若い人たちを北極に連れていくことです。荻田さんは21歳の頃、大学を中退してやりたいことも見つからないまま過ごしていました。そんなときテレビで冒険家の大場満郎さんが『来年、若い人を連れて一緒に北極を歩こうと思っている』と話しているのを見たのです。それまで海外旅行もアウトドアの経験も一切なかった青年は、その遠征に参加し北極圏を700km歩いて、人生が大きく変わりました。“北極男”となったのです。

「冒険は自分のためにやることです。だから今までは自分のために頑張ってきました。でも40歳になって、自分がやってきたことをどうやって社会に還元しようかということに気持ちが向いてきたんです。大場さんがやってくれたようなことを、今度は私もやってみたい。来年はできたら若い人を連れて北極を歩くということを企画したいです」(荻田さん)

南極点到達を果たしても、荻田さんはやはり北極なんですね。

「私は今も北極冒険家です。ロックミュージシャンがたまたまジャズをやることがあっても、それでジャズマンだとは言わないじゃないですか。それと同じですよ」(荻田さん)

荻田泰永さんのご感想

荻田泰永さん

前回、出演してから4年も経っているというのは率直に驚きましたね。もっと近い感じがしていました。

久米さんは相変わらずこちらがしゃべりやすく進めてくれるので、楽しかったです。ありがとうございました。

2018年1月27日(土)放送「今週のスポットライト」、ゲスト:荻田泰永さんhttp://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20180127140000

radikoで放送をお聴きいただけます(放送後1週間まで/首都圏エリア無料)


次回のゲストは、政治社会学者・堀内進之介さん

2月3日の「今週のスポットライト」には、『感情で釣られる人々 なぜ理性は負け続けるのか』の著書で注目された政治社会学者の堀内進之介さんをお迎えします。社会を鋭い視線で読み解く若手の論客。最近の関心テーマは、「AI」が広がるこれからの時代をどうすればより良く生きられるか。

2018年2月3日(土)放送「久米宏 ラジオなんですけど」http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20180203140000

radikoで放送をお聴きいただけます(放送後1週間まで/首都圏エリア無料)