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理性も感情も暴走する。意志は当てにならない。じゃあどうする? 政治社会学者・堀内進之介さん

久米宏 ラジオなんですけど

TBSラジオで毎週土曜日、午後1時から放送している「久米宏 ラジオなんですけど」。
2月3日(土)放送のゲストコーナー「今週のスポットライト」では、政治社会学者で現代位相研究所の首席研究員・堀内進之介さんをお迎えしました。堀内さんは1977年生まれ。今、注目の若手の論客です。

堀内進之介さん

政治社会学というのは政治学と社会学と哲学が重なったような研究で、堀内さんの関心テーマのひとつは、情報があふれる今の社会をより良いものにするにはどうすればいいか。理性的に物事を判断しようと思いつつ、実際はなかなかそうはいきません。SNSの炎上、フェイクニュースの氾濫、震災のあとの原発問題…。感情的にあおられて、冷静な判断や議論をすることは難しいものです。堀内さんは2016年に『感情で釣られる人々』という新書を出版して注目されました。久米さんは「テレビとラジオで世の中の出来事を伝えてきたこの50年間は、理性的に伝えるか、感情的に伝えるか、その相克だったような気がするんです。だからこのテーマにはとても関心がある」と言います。

感情で釣られる人々

「理性と感情」は古代ギリシャの頃から議論されてきたテーマですが、今なぜクローズアップされるのか。それは人類史上で前例のないほどの情報化社会となって、理性的に考えなければいけないことがあまりにも膨大に増えために、ひとつひとつ丁寧に考えるのが面倒になってしまっているからです。

スタジオ風景

「自分たちの人生を選択していくうえで情報が増えるのはいいことです。でもそれは選択する基準がひとつに定まっている場合の話。情報が増えすぎて選択の基準もたくさんになってしまうと、物事を決められなくなります。これが正しい情報だと思った瞬間にまた違う情報が入ってくる。もう自分では決めれられない。そうなると、自分で決定しようと思う気も削がれてくるんです。最近、就職相談で『僕はどこに就職すればいいでしょう』と質問してくる学生もいます。もう誰か決めてくれという気分が社会に蔓延しているんでしょう」(堀内さん)

情報が多すぎて自分で決められなくなってくると、「私の言うことが正しい!」と言ってくれる人のほうに感情的になびいてしまうようになります。声の大きいほうに引っ張られてしまうのです。かつてドイツでナチスが大衆の支持を集めたときも、同じようような背景があったと堀内さんは言います。

久米宏さん

ここまでは理性と感情の話でしたが、人間には「意志」もあります。「知情意」という言葉がありますよね。理性と感情を自分の意志でうまくコントロールすればいいのです。でも、意志というのはとてももろいもの。「明日からダイエットしよう」と思って、何度も先送りした経験がある方も少なくないでしょう。私たちの意志は怠け者なんです。

「例えて言うと、感情は複雑なことをショートカットしてやってくれるオートマチック車。理性はすごく手間がかかって複雑なマニュアル車。そして意志は未熟な運転手。意志は未熟なものだから、私たちは意志を発揮しなくても前に進んでくれるオートマ車に乗りたくなります。つまり、感情に任せて物事を決めたり、声の大きいほうについていきたくなる。でもオートマ車だから事故を起こさないというわけではありません。感情も理性もどちらも大事だし、どちらも暴走します。だから自分の意志で両方をコントロールしなければいけないのですが、未熟で怠け者の意志を働かせることがどんどん負担になってきます。ですから、どうやって僕らの意志の負担を下げてあげるかということを考えなくてはいけない」(堀内さん)

車といえば、このところAI(人工知能)を使った自動運転車の開発が話題になっています。堀内さんは目覚ましい発達を遂げるAIと人間の関係も、「理性と感情」の問題につながっていると言います。

スタジオ風景

「私たちが理性的に判断しなくても助かるようにAIを使うことは危ない方向で、感情に釣られがちな今の風潮を助長することにつながると思います。それより、AIを私たちの意志の負担を切り下げることに使うということもできるはずです。今は何でもかんでもたくさんのことをいっぺんに解決しようという世の中になっています。即断即決社会ですね。この即断即決をやめるというのことがすごくに大事だと思います」(堀内さん)

AIの話に興味がある方は、堀内さんの新しい本『人工知能時代を〈善く生きる〉技術』をお読みになってみて下さい。

堀内進之介さんのご感想

堀内進之介さん

印象的だったのは、久米さんが『ラジオでは理性的に、テレビでは感情的に伝えているという自覚がある。なぜそうなるかというと、そのほうが伝わりやすいからだと本能的に察知しているからです』とおっしゃっていたことです。経験の中からそう言っているのだと思うんですが、これまでの研究に照らしてみてもそれは正しいと思います。耳から入ってくる情報は、目から入ってくる情報と比べて少ない分、よりしっかり聞いてもらえるということがあります。そういう肌感覚がおありだというのはさすがですね。

今日はとても楽しくさせていただきました。ありがとうございました。

2018年2月3日(土)放送「今週のスポットライト」、ゲスト:堀内進之介さんhttp://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20180203140000

radikoで放送をお聴きいただけます(放送後1週間まで/首都圏エリア無料)


次回のゲストは、多摩・八王子江戸東京野菜研究会の福島秀史さん

2月10日の「今週のスポットライト」には、東京で伝統的に栽培されてきた「江戸東京野菜」を次の世代につなぐための普及活動をしている福島秀史さんをお迎えします。かつて八王子の特産だった「高倉ダイコン」のタネを残していこうと頑張っていらっしゃいます。

2018年2月10日(土)放送「久米宏 ラジオなんですけど」http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20180210140000

radikoで放送をお聴きいただけます(放送後1週間まで/首都圏エリア無料)