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タイの児童施設が始める「絵本プロジェクト」▼人権TODAY(2018年2月10日放送分)

人権TODAY

毎週土曜日「蓮見孝之 まとめて!土曜日」内で、8:20頃に放送している「人権トゥデイ」。様々な人権をめぐるホットな話題をお伝えしています。

HIV感染孤児の「実家」・バーンロムサイ

タイにある児童施設「バーンロムサイ」が「絵本をつくるプロジェクト」を始めます。

バーンロムサイは、HIVに母子感染した上に、親をエイズで亡くすなどした子供たちの生活施設として、1999年に名取美和さんがタイのチェンマイ近郊に設立しました。バーンロムサイでは、2歳から18歳までの30人ほどが集団生活していて、現在はHIVに感染した子供だけではなく、様々な事情で親と暮らせない子供も一緒に暮らしています。ここは宿泊施設の運営や、衣類・雑貨・アクセサリーなどを制作していて、子供たちの職業訓練としての役割もあり、収入の一部にもなっています。

バーンロムサイで製作された雑貨

そんなバーンロムサイには、日本から様々なアーティストが訪れていて、子供たちと交流しています。そんな中で、絵本を作る企画が立ち上がったそうです。

バーンロムサイジャパン・名取美穂さん

施設にアーティストさんが来てくださって、子供たちと何かをする。その時、その場にいたスタッフや子供たちは大盛り上がりで本当に感動して、素晴らしい体験をさせてもらったって思うんですが、それが過ぎ去っていっちゃうんですよね。今まで形に残すことができなかった。それですごく残念で、もったいないなって思っていたんです。

芸術との触れ合いを形に残したい!

バーンロムサイでは開園当初から、HIVに感染した子供たちの免疫力を上げるために、創造力を豊かにする芸術活動に力を入れていて、子供たちが描いた絵の展示会などを開いてきました。そして今回からその芸術活動として、絵本を作る企画を始めたということです。

この絵本企画「ホシハナ文庫」の第1巻は、影絵の絵本「おそなえ きのみ」。作者は影絵師の川村亘平斎さんです。バーンロムサイの名前の由来となった、ガジュマルの木の周りで人と自然の交わりや命の不思議が、影絵で表現された絵本になっています。文章は日本語とタイ語で書かれています。

先日行われた創刊記念のイベントでは、ガムラン奏者でもある川村さんによる音楽と影絵が披露され、サルに扮した川村さんが森の中で木の実をお供えする物語を演じました。その途中では、お客さんをスクリーンの向こう側に呼び込んで影絵に挑戦する場面もありました。
川村さんは実際にタイのバーンロムサイを訪れて影絵を披露したそうで、その時の様子などを聞きました。

影絵師の川村亘平斎さん


川村亘平斎さん

僕、タイ語が話せないので言葉が通じないのが心配だったんですけど、歌をうたったり、影絵の中で踊ったりしたのを見せたら、ものすごい熱狂してくれてすごい楽しかったです。あんなにウケがいいのは珍しいなってくらいウケました。インドネシアのバリ島の影絵を僕は勉強しているんですけど、バリ島の影絵は前から見ても後ろから見てもいいんですね。日本だと影絵って映画的な感じで前からしか見せないことが多いんですけど、伝統的な元々ある影絵はどっちから見てもいい。かなり変わった音楽や影絵の演出だと思うんですけど、フォームは古くても見方を変えると実は新しいエンタテイメントなんじゃないかみたいなことを提案できたらいいかなと思ってます。

今回の影絵の絵本を作る企画を進めたのは、アートプロデューサーで東北芸術工科大学 大学院准教授の宮本武典さんです。山形をはじめ全国でアートプロジェクトを企画されていて、先ほどの影絵師の川村亘平斎さんとは、震災後の福島県南相馬市で原発事故の被災者と作る影絵作品を手掛けたことから始まり、それ以降も一緒に活動することがあるそうです。宮本さんは教員として、タイのバンコクで生活していたこともあり、現地の子供たちの格差も見てきたそうです。

宮本武典さん


宮本武典さん

家庭のこととか将来のことを考えると、子供たちにはいろんなハンディキャップがあるわけです。でもクリエイティブの世界は、例えばものすごくセンスのいい服を作れるとか、料理を作れるとか、別に出身がどうとか関係なく勝負できる世界だと思うんです。もちろん英語ができるとか、WEB系のプログラミングができるとかっていうのも重要なスキルだけど、それってやっぱり教育投資にすごくお金もかかることだし、だからクリエイターっていうのはもっと自由であっていいんで。「他と比べて自分がどう」とかじゃなくて、自分はこういうキャラクターっていうのを主張できるような大人になって、そういう可能性も開いていける一端はお手伝いできるのかなと思っています。

バーンロムサイでのアーティストとの交流が思い出で終わるだけでなく絵本になることで、子供たちも喜びそうですね。2作目にも期待しましょう。

(担当:進藤誠人)

■バーンロムサイ ホームページ
https://www.banromsai.jp/

■影絵師・川村亘平斎さん ホームページ
http://taikuhjikang.com/kawamurakoheisai/

タイのHIV児童施設「バーンロムサイ」 (2015年1月3日放送)