お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

放送中

放送中


  • 放送ログ

第四世と五代目、2人の雀右衛門 ~中村雀右衛門さん

コシノジュンコ MASACA

2018年2月11日(日)放送

ゲスト:中村雀右衛門さん(part 1)

1955年生まれ。5歳で初舞台を踏み、1964年より七代目中村芝雀として活躍。2016年3月に五代目中村雀右衛門を襲名しました。国立劇場優秀賞、松竹会長賞、日本芸術院賞など受賞歴多数。2010年には紫綬褒章を授与されています。
 

JK:先代の雀右衛門丞とは本当に仲良くしていただいたんですが、お声がそっくり!生き写しですね!

中村:昔はね、父も元気だったときは電話にでると、僕が出てるのか父が出ているのかわからない、ということがありましたですね。

JK:遠くから「こんちはー!」って言っても、誰なのかわかるんですよ。

中村:どうしても歌舞伎役者は大きな声になりますからね、ヒソヒソ話ができないんですよ(笑) しようと思っても、みんな丸聞こえ。

JK:先代の雀右衛門丞とはたくさん面白いお話があって、キリがないくらい。

中村:先生とお付き合いしていた時期は、父にとっても楽しかった時期のようです。

JK:ノッてましたねー!うちのお母ちゃんも大好きで。芝雀さんの時期に親子で金毘羅歌舞伎をやりましたでしょ?そのときにお食事をして。

中村:本当にお母様が優しくて。本当にいろんなことに興味がおありで。

JK:昔から歌舞伎ファンだったのでね。だから金毘羅さま行きたかったの!って。あのとき切符を取るのが大変だったんですよ。面白かったのはね、昼間明るいうちに歌舞伎をするから、みなさん夜は時間があるでしょ? みんな何をしてるかっていうと・・・ボウリング! 歌舞伎俳優のイメージでボウリング、って想像がつかなかったんだけど、ああ、ふつうの人だったんだぁ、と(笑)

中村:本当に普通ですよ。金毘羅さまって隔絶されているわけじゃないんですけど、終わったらご飯を食べてゆっくりする、という感じで、娯楽施設がないんですよね。ですからボウリング場か、近くの居酒屋さんか。

JK:百段階段みたいなのがありましたよね。行きました?

中村:行きました!600段ぐらいあります。

JK:ジムみたいなものですよね!

中村:ずっと歩いていくと、「奥の院」というまた別の祠があって、瀬戸内海が見えるところがあるんですよ。ちょうど金毘羅歌舞伎は4月にやりますので、桜の時期に重なりますと、とてもきれいなんです。

JK:そうですか!・・・大変だから、行く気はないけど(笑)

JK:先代の雀右衛門さんはチャーミングで。ある時、新聞社の方をお連れして、自宅に行ったんですよ。そしたらいないの。約束したのにどうして?と思って、15分ぐらいどうしようか考えて、帰ろうかと言っていたところへ「ジャンジャーン!」って、カウボーイの恰好をした雀右衛門さんが現れたの!私たちが来たのを知ってて、隠れてて、会話をずっと聞いてたのよ!カウボーイの衣装も、わざわざ御徒町で買ってきたんですって! 永遠の少年ですね。

中村:ちょうどお友達が牧場をやってらっしゃる方がいて、それですっかりカウボーイの気分になってたんでしょうね。最期まで、ベッドの隣に二丁拳銃のホルダーが飾ってありましたからね(笑)

出水:雀右衛門さんからご覧になったお父さんって、どんな方でしたか?

中村:とても芸には厳しい人だったんですけど、日常生活では優しいところもあったり。自分も小さいときに病気がちだったので、病院に入ったりすると見舞いに来てくれたり。仕事柄、子供たちが寝た後じゃないと帰ってこられないので、帰ってくると必ずといっていいほど子供たちの顔を見て「かえってきたよ」と言っていたそうですね。

面白い話がありましてね。自分がたまたま夏に日焼けしたときに、父に見せに行ったんです。父は女形だったんですが、気持ちの作りようのひとつとして、肌を黒くすることで若々しくするという方法があったようなんです。ただ、子供が自分より黒くなるのが許せなかったみたいで(笑) それで翌日、日焼けサロンに行って、よりいっそう黒くなって「俺のほうが黒いんだ!」って言ってました(笑)

JK:そういえば黒かったですね! でも、どっちみち歌舞伎では白塗りするから平気なんですよね。

出水:女形ですから、肌が白くて、ふだんも日焼けとかしてはいけないのかな、という印象がありました。

中村:若いうちは黒いのはいやだったらしくて。でも、もともと肌が黒いほうだったんです。ある方に「黒いですね」と言われて、「いや、僕は8年間戦争に行っていて、しかもスマトラに行ってたから日焼けが抜けないんだ」ということを言っていたらしいです(笑)

JK:それがね、戦争から戻ってきても軍靴がお好きで、ミリタリールックが好きだったみたいで。

中村:先生、覚えてらっしゃいます? レイバンのサングラス。あれは実は、マッカーサーがB29から降りて来た姿に憧れてたらしくて。「これは同じ形なんだ!」って。ずっとかけてました。

出水:雀右衛門さんは先月、第25回読売演劇大賞・男優賞を受賞されました!歌舞伎役者として、独自の型や女形としての円熟ぶりを評価されての受賞ということです。おめでとうございます!

中村:ありがとうございます。おととしから襲名させていただきまして、襲名公演のなかでいろんなお役をさせていただきました。立ち役があって初めて女形があるので、いろんなお役をさせていただいたおかげで、りっぱな賞をいただけてうれしく思うと同時に、「えっ、男優賞ですか?!」って驚いた方がいましたが、言われてみて、あ、そうか、と(笑)

JK:女形で男優賞、思ってもみなかったわね(笑) でもお父様が残された有名な役「三姫」、その後継ぎをされて。

中村:お姫さまって歌舞伎の中でも重要な役割で、その中でもとくに物語に重要にかかわって、かつ流れを作るような役が「三姫(八重垣姫、時姫、雪姫)」なんです。自分も、子供のころからわりと御姫様の役が多いんですよ。歌舞伎には赤姫のいろんなお役があるんですが、その中でも「三姫」は父も大切にしていましたのでね。それが襲名のなかで演じることができたのは幸せでした。

JK:赤姫っていうのは、三姫が赤い着物を着てたから?

中村:基本的にお姫様は赤とか白とか、たまには紫とかもあります。雪姫は鴇色。時姫はいまは赤を着るんですが、三代目雀右衛門は場面によって色を変えて出ていた。でもやっぱりお姫様というと赤が代表的で、八重垣姫は絶対に赤ですね。

JK:先代の雀右衛門さんは最後まで「お姫様」でしたね。

中村:そうですね、最後まで若い役しかしませんでしたね。若くてきれいじゃないとイヤッ!ていう(笑)

JK:その若さのための努力もけっこう。気分気分でやってましたものね。

中村:結局、父のお相手をさせていただく立ち役の方が、父よりも10も20も若い。その分自分もわかくなくちゃいけない、というので、常に心掛けていたんだと思います。やっぱり見た感じもきれいじゃなくちゃいけない。

JK:きれいでしたよ~、女形の声の質。これはもう歌右衛門さんにつづく妙技でした。

中村:むかしは歌舞伎役者というと、顔の造作はもちろん、姿ですとか声が三要素として大事だったみたいなので、そういう意味では大切にしてたんでしょうね。

JK:いまお話ししていると男っぽいけど、女形になると?ちょっと声を出してみてくれません?

中村:ただ、よく父に言われたのが「声を前に出せ」。喉を締めて出すと、「アアアア~ッ」って苦しい声になるじゃないですか。声を前に出して、高いところから「あああ~ぁ」。鳴き落とす、というんですけれど。

出水:そう、あの声はどうやって出すんだろうと不思議に思っていたんです。裏声でもなく・・・。

中村:裏声でずっとしゃべってますと、長い台詞ですと途中で枯れてしまいますので、そういうわけにはいかない。でも、それも大したもんで、長唄ですとか清元ですとか、場合によっては竹本ですとか、お稽古をさせていただくとずいぶん声が出るようになります。あとは実地で舞台にたって、先輩から「ちがうよ、こういう言い方だよ」と言われながら慣れてくると、自然と出てくる。

JK:もう板についてるからね。最後の親子での「娘道成寺」も美しかったですね~!もう、将来に残るのは2人の雀右衛門。

中村:でも先生、金毘羅でも二人道成寺をさせていただいたんですが、両花道から出てきて2人で踊っていると、ちょうど鏡のようになりましてね。そうすると、なんだか照れますし、師匠ですから、あの時はなんか困っちゃいますね。

JK:でも歌舞伎座の最後のときは、どんと違うというか、一体化してましたね。

出水:お父様から、芸の上でいただいた言葉とかありますか?

中村:「気持ちだ」と言っていましたね。気持ちというのは、それぞれの役柄の性根というのがあると思うんですが、その性根を強くもたないとお客様には役柄が伝わらない。だから、自分の中で強く気持ちをもって演じなさい、ということは口が酸っぱくなるほど言われました。

出水:3月3日から行われる三月大歌舞伎公演・昼の部では、「四世中村雀右衛門七回忌」追善狂言として「男女道成寺」をやるんですよね。

中村:基本的には「京鹿子娘道成寺」という、安珍・清姫の物語がありますが、これは女形にとってすごく重要な舞踊の一つなんです。その違うバージョンとして、男と女で踊るのが「男女道成寺」ということになります。今回は、男のほうに尾上松録さんとご一緒させていただく。父が昔、いまの松緑さんのお父さん・辰之助さんと一緒に何回か踊っているものなんです。そういった意味では、本当に父にちなんだものになります。同時に、道成寺というと華やかなのでね、お客様にも父の昔の姿を思い出してもらえるように、自分も勉強して踊らなくちゃいけない。初めてのお客様にも、華やかですから、3月ですので気温もぬるんできて、これから楽しくなるかなという時にうってつけじゃないかな、と思います。

JK:幕が開いたときにぱぁぁぁっ!と明るいですよね! なんかもう平和、って感じ。不思議と何度見ても、感動するんですよね。

中村:歌舞伎座に入るときから、お芝居を観に行くんだ、という気持ちになっていただいて、道成寺みたいなものだと、観たんだ!という満足感を持ってもらえると思います。

=OA楽曲=

M1. Killer Queen / QUEEN

ピックアップ