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かつての労働者の街・山谷の「孤立死」を防ぐ取り組み▼人権TODAY(2018年2月17日放送分)

人権TODAY

毎週土曜日「蓮見孝之 まとめて!土曜日」内で、8:20頃に放送している「人権トゥデイ」。様々な人権をめぐるホットな話題をお伝えしています。

かつての労働者の街・山谷の「孤立死」を防ぐ取り組み

東京都台東区に「山谷(さんや)」と呼ばれる地域があります。台東区清川、日本堤、東浅草の一部がそう呼ばれています。かつて日雇い労働者が多く住み、「ドヤ」と呼ばれる簡易宿泊所が並ぶ地域です。
    
今日はその山谷に住む人たちの「孤立死」を防ぐ取り組みをしているNPO法人「山友会(さんゆうかい)」の活動について報告します。「山友会」は山谷でホームレス状態、生活困窮状態にある人たちを炊き出しや無料診療、生活相談などで支援しているNPOです。

「山友会」理事、油井 和徳(ゆい かずのり)さん

「昨年、振り返ってみると僕らとホームレス状態の時から関わりがあった方の中で、おひとりでお部屋で亡くなられた、いわゆる「孤立死」に近いような形で亡くなられた方が多かったという印象があって、もともとこの地域で日雇い労働されてた方で、今、生活保護受けられている方とか、年金で暮らされてる方が多いんですけど、ほとんどの方がご家族との縁が途絶えてしまっていて、単身世帯の方が多いので、どうしても「孤立死」が避けづらい現実があるのかなと」

かつて山谷は労働者の街でしたが、工事作業が機械化された影響などで今は日雇い労働の需要はほとんどありません。その人たちが地域の中で、高齢化したり失業状態になるなどして現在の山谷は「福祉の街」に変化しています。そうした中で、一人暮らしの方が「孤立死」するケースが目立つようになりました。

「孤立死」というに言葉についてはまだきちんとした定義はないのですが、住宅内で誰にも看取られず亡くなって、それから2~3日、またはそれ以上の期間発見されなかった場合、「孤立死」とすることが多いようです。たとえばかつてホームレス状態だった方が、福祉政策やNPOの仲介で部屋に住めるようになったものの、過去を知られたくないとか、生活保護をうけていることを負い目に感じて回りの人たちのと関わりを避けているため、誰にも知られず亡くなったという場合があるそうです。
    

「山友会」理事、油井 和徳(ゆい かずのり)さん

「私が10年近くここでやらせていただいて、だいたい5~6人ですかね、アパートの大家さんから連絡があって、家賃を払いに来ないんだけどっていうことで一緒に行った時に発見したパターンがありましたね」

山谷の「孤立死」を防ぐ山友会の取り組みとは?

「山友会」以外に、生活保護のケースワーカーや介護のケアマネージャーの方などが発見されるケースもあるそうで、きちんとした統計はありませんが、「孤立死」の実数はもっと多いようです。        
病気の発作などで突然亡くなるようなケースは防ぐのが難しいですが、徐々に体調が悪くなって、頼れる人がいないために亡くなるようなケースはあらかじめ人間関係を作り救援のサインを受けとることで防げる可能性があります。そこで「山友会」は、一人暮らしする方たちのお宅をボランティアが訪問し、会話をしながら体調などを見守る活動をしています。私もボランティアさんに同行させていただきました。

        
短い時間、部屋の前で立ち話をする程度ですが、ボランティアさんは元気か確認したり、困りごとがないか訊ねたりします。住人の方は「来てもらうと安心する」と話していました。ただ、山谷では他人とつきあうことを敬遠する人も少なくなく、無理にコミュニケーションを求めたり、押しかけたりもできないので、声かけだけを何度も繰り返したり、生活相談に細かく対応したりして少しずつ信頼関係を築くのが大変ということです。「山友会」ではこうした見守りの訪問のほかにも、事務所の前に、お茶を飲みながら雑談できる場を作ったり、「アウトリーチ」といって、ホームレスの方のテントに声かけに行ったりしながら「孤立」がなくなるよう、「孤立死」のような形にならないよう取組んでいます。

見守り訪問をした60代のボランティア

「ふだんはあそこで話をしたり、生活保護の申請に同行させていただいたり、病院通院に同行させていただいてます。時々ちょっと変だなというときは行くと気がつくんですよね、手を怪我してた人がいて、おじさんたちはそういうのガマンしちゃうんですけど、「手、どうしたの?」っていうと「ちょっとおかしい」と、じゃ、先生が来てるから見てもらったらって話をしたこともありますので。それで多少は役に立っているんじゃないかと思います」

こうした取り組みは、山谷に限らず、各地に広がって「孤立死」が少しでも減ってくれればと思います。今日は山谷の事例の報告でしたが、今、全国的に高齢者の一人暮らし世帯が増えていてとくに男性の高齢者が一人暮らしをすると孤立しやすいとの報告もあります。こうした問題は一地域に限定せず考えるべきだと思います。
    
「山友会」は活動に協力していただけるボランティアを募集しています。また山谷の状況を実際に歩いて知ることができる「スタディツアー」も開催しています。ボランティアの募集などに関する情報は「山友会」ホームページをご覧下さい。

NPO法人「山友会」ホームページ http://sanyukai.or.jp/

(担当:藤木TDC)