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ニュースの産業革命を目指す「記者ゼロ」の通信社、JX通信社・米重克洋さん

久米宏 ラジオなんですけど

TBSラジオで毎週土曜日、午後1時から放送している「久米宏 ラジオなんですけど」。
2月24日(土)放送のゲストコーナー「今週のスポットライト」では、事件・事故の情報を発生直後に配信している“記者ゼロの通信社”「JX通信社」の代表・米重克洋(よねしげ・かつひろ)さんをお迎えしました。

米重克洋さん

JX通信社には現在24人の社員がいますが、記者はひとりもいません。17人はエンジニア。記者がいない代わりAI(人工知能)が、ツイッターなどSNSの膨大な投稿の中から事件・事故・災害など、緊急情報に関わるものを瞬時に拾い上げ、自動で短くまとめて、配信しているのです。今ではNHKと首都圏のテレビ・キー局はすべて導入、ほかにも数多くの報道機関が、JX通信社の速報を情報ソースとして利用しています。

久米宏さん

米重さんは1988年、山口県生まれの29歳。JX通信社を19歳で設立したニュース産業の革命児です。ご自身曰く、小学校に上がる前から「ニュースオタク」。小学生になると政治・経済記事の行間を読むのが面白くなり、選挙があると新聞各紙の情勢分析記事を自分で一覧表にしていました。テレビのニュース番組もやはり小さい頃からよく見ていて、久米さんの『ニュースステーション』はよく憶えているそうです。ちょっと変わった子供です。

中学校に上がると友人の影響で飛行機が好きになります。といっても飛行機そのものやメカニックにはあまり関心がなく、興味を持ったのは航空業界や航空行政の話。海外に比べて日本の航空運賃がかなり高いのは無駄なコストが多すぎるからで、この構造的な業界の課題を解決するために自分で新たに航空会社を作ろう! と決意したのが中学2年生。そして中学3年生で航空業界や航空行政のニュースを集めた専門サイトを作って、以後4年間運営しました。

航空ニュース専門サイトをやっているうちに、米重さんはニュースを集めることが面白いことに気づきました。そして学習院大学1年だった2008年に「JX通信社」を設立したのです。当時は今とは少し違うことにトライしていて、初めの3~4年間はうまくいきませんでした。でもその経験から「ニュース産業も無駄なコストがかかりすぎている」ということが分かったといいます。米重さんの中で航空業界とニュース産業の問題点が一致したのです。

スタジオ風景

「記者の仕事というと記事を書くことと思われますが、実は記事にする前の取材に圧倒的に労力と時間がかかっているんです。ですからその中で、事件・事故・火災などのいわゆるストレートニュースといわれる情報に関しては、いち早く機械的に集めることができれば、そこから先のより突っ込んだ取材に人間の労力を振り向けることができると考えたんです」(米重さん)

ここで注目したのが、ツイッターをはじめとするSNSの投稿でした。

「今は事故や火災の目撃者が情報をどんどん投稿してくれます。3.11(東日本大震災)のときに『助けて下さい』とか『このへんが大変な状況になっています』といった情報がたくさんあったにもかかわらず、それをほとんど生かせなかったんです。その反省を踏まえて、報道機関では2011年ぐらいからツイッターのつぶやきなどを24時間ウォッチするようになりました。ただ大量の投稿やデータを人間がすべて見張るのは限界があって、非現実的。ここを自動化することが大事なんです。2000年代になって、スマホが登場し、SNSが普及し、自然言語処理(人間の言葉をコンピューターで解析すること)などのテクノロジーが進歩したことで、こうしたことを実践するサービスが可能になりました」(米重さん)

FASTALERT

人間の記者の代わりにAIを使って、SNS上の大量の情報のチェックを自動化したのが、JX通信社の「FASTALERT(ファストアラート)」というサービスです。SNSにあふれる文章や画像、動画の中身を分析し、「いつ・どこで・なにがあった」という形に文章化して、それを報道機関に配信。これをすべてAIが自動で行っているのです。中には、不正確な情報やウソの投稿もありますが、AIはその人がその前後で投稿したことの内容や、同時間帯のほかのひとの投稿までチェックして、フェイクニュースやデマは「ノイズ」として99%正確に排除してしまうのだそうです。

米重克洋さん

「今までだったら警察や消防署に電話をかけて確認したり、夜討ち朝駆けをして情報を得ていた人間の労力を大幅にカットすることができます。それに警察・消防自身が情報を確認するより、情報としては目撃者の投稿がいちばん早いですから。これまでのニュースは2~3時間前の火事の情報を伝えていたのが、ほぼ『今』の情報を見られるようになる。そうすると命を守ったり、救ったりする行動につなげられるようになります」(米重さん)

SNSへの投稿は、特に大きな事件・事故がないときは、一日に数万件から多くて10万件ほどですが、いざ大きな災害が起きると、投稿の数は1~2ケタ変わってくるそうです。JX通信社が開発したシステムはそれだけ大量のデータにも対応するだけの能力はあるということです。

スタジオ風景

JX通信社から配信された事件・事故・火災などの情報を見た報道機関は、その情報の確認作業(いわゆる裏取り)をして、より確かな情報として各社のニュースで流しているのです。よくテレビで「視聴者撮影」というクレジットとともに事故の現場写真や動画が放送されていますが、これはJX通信社の「FASTALERT」に上がってきたものが使われることが多いそうです。

JX通信社のようなサービスは、海外ではすでに2000年代前半から広がっているそうです。特に早かったのが中東。テロ事件や空爆の現場の状況を多くの人がツイッターなどで発信するようになったので、そこに注目したというわけです。そうしたことを早い段階で実践したのが、あのアルジャジーラだそうです。こうした動きは欧米にも広がり、さらに東南アジアでも導入が進み、ようやく日本でも始まったところなのです。かつてニュースオタク少年だった米重克洋さんが、日本のニュースに産業革命を起こす!

米重克洋さんのご感想

米重克洋さん

私は、久米さんが2004年まで『ニュースステーション』をおやりになっているのを画面を通して見ていた立場ですので、その好きで見ていた方とご一緒できて、すごく感激しました。ニュースの話の前に航空業界についてこんなに話すとは思いませんでしたけど(笑)。

久米さんはニュースをずっと伝えてこられた方ですので、私の代わりに状況を分かりやすく解説していただいて、とてもありがたく、楽しくお話しさせていただきました。ありがとうございました。

2018年2月24日(土)放送「今週のスポットライト」、ゲスト:米重克洋さんhttp://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20180224140000

radikoで放送をお聴きいただけます(放送後1週間まで/首都圏エリア無料)

次回のゲストは、漫画家・小林よしのりさん

3月3日、スペシャルウィークの「今週のスポットライト」には、『ゴーマニズム宣言』で知られる漫画家の小林よしのりさんをお迎えします。保守派の論客・小林さんが考える「保守」とは何か、お聞きします。

2018年3月3日(土)放送「久米宏 ラジオなんですけど」http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20180303140000

radikoで放送をお聴きいただけます(放送後1週間まで/首都圏エリア無料)