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植物の生き方には「すごい」がいっぱい 植物学者・田中修さん

久米宏 ラジオなんですけど

TBSラジオで毎週土曜日、午後1時から放送している「久米宏 ラジオなんですけど」。
3月10日(土)の放送は久米さんがお休みで、スタジオの進行は小島一慶さん(久米さんとは同い年で、TBSでは久米さんの1年後輩)。ゲストコーナー「今週のスポットライト」では、一慶さんがぜひお会いしたかったという植物学者で甲南大学特別客員教授の田中修(おさむ)さんをお迎えしました。

田中修さん

一慶さんはラジオで田中さんの植物の話を聞いて、その面白さに引き込まれたそうです。「植物に対する田中さんの愛情がすごいのよ」と一慶さんは興奮気味。図書館で田中さんの本を6冊も借りて一気読みするほどの入れ込みようでした。

田中さんの著書

田中修さんは1947年、京都府生まれ。専門は植物生理学で花が咲くしくみなどを50年に渡って研究しています。京都大学農学部から京大の大学院に進み、アメリカのスミソニアン研究所を経て、現在は神戸にある甲南大学特別客員教授を務めています。50代までは研究に没頭していましたが、植物の不思議やユニークな生き方をもっと多くの人に知ってもらいたいという思いが強くなり、『植物はすごい』『植物は人類最強の相棒である』など数多くの本を執筆。また話すほうでも、わかりやすい解説が評判でNHKラジオの『夏休み子ども科学電話相談』やテレビの出演も多い先生です。

「植物学」というと一般にはとても地味なものだと思われていますが、田中さんは「不思議と魅力に出会う学問」と言います。田中さんがそう思うようになったきっかけは子供の頃、友だちにエンドウ豆の苗を10本ほどもらって栽培してみたときのこと。わずか10センチほどの苗が2ヵ月で自分の背丈と同じくらいに成長して、やがてたくさんの花が咲き、食べきれないほどの実が成ったことにとても感激。その経験が今も自分の底辺にあるそうです。そして、私たちが普段ほとんど気に留めることもない植物の「生き方」に目をやると、本当はとても賢くて、したたかで、すごい! ということが分かると言います。

小島一慶さん

例えば、ちょうど見ごろを迎えている菜の花。菜の花は一日に10センチも成長するのですが、なぜそんなに急いで花を咲かせるのか。菜の花をはじめとして春に花を咲かせる植物はみんな暑さに弱いのです。そこで夏が来る前に花を咲かせておいて、暑さに強いタネになって夏をしのごうという生き方をしているのだそうです。でも、もうすぐ暑い夏が来るということがどうして菜の花に分かるの? それは、菜の花は葉っぱで夜の長さを測っていて、夜の長さの変化は、気温の変化を約2ヵ月先取りしていることを知っているのです(確かに、もっとも夏らしい夜の長さ=夏至は6月下旬ですが、本格的な夏の暑さが訪れるのは8月。夜の長さの変化かのほうが先取りしてますね)。賢い!

それから、桜の花。桜は花が咲いたあとに葉が出てきます。なんで花が先で、葉があとなのか? そんなこと、あまり考えたことがありませんでしたが、そう言われてみると、アサガオなどは葉っぱが出たあとでつぼみができて、花が咲きますよね。植物が花を咲かせるのはタネ(子孫)を残すためです。タネの中には栄養を送り込まなければいけません。その栄養は葉っぱが作ります。ですから植物は芽が出たらまず葉っぱを展開して栄養を作り、そのあと花を咲かせて栄養を送り込むという生き方をしているのです。でも、桜のように、葉を出すより先に花を咲かせる植物というのは、自分の体の中に栄養を持っているので、葉っぱを展開する必要がないのです。梅もそうです。春の花木類は幹の中に栄養をたくさん持っているから、先に花を咲かせることができるのです。秋の彼岸花も球根の中に栄養を持っているので、葉より先に花を咲かせるのです。いかがです? 何でもないように見える植物の姿に、「生き方」が見えてきませんか。

『植物はすごい』田中修著

野菜だって栄養やおいしさだけでなく、生産能力にも注目してみてください。スーパーやコンビニで見かけるニンジンやダイコンが小さなタネから育っていることに驚く人はおそらくいないでしょう。そんなときにはお金に換算してみるとそのすごさが分かると田中さんは話します。

例えば、一粒のお米は春から秋にかけての半年間で何倍になるか。一粒のお米からは一株20本ぐらい稲穂が出ます。一本の稲穂には最低80粒のお米ができるので、一株では1600粒。つまり、お米は半年間で1600倍になります。これをお金で考えると、1万円が半年で1600万円になって返ってくるのと同じ。10万円なら1億6千万円! 同様にキャベツは1万2000倍ですから、1万円が1億2000万円になって返ってくる換算。レタスなら2万5000倍ですから、1万円が2億5000万円!

田中修さん

「植物って動き回れないし、弱々しいから、取るに足らないものと思ってしまいますけど、もうちょっと深く人間との関わりを考えると、実は人間も含めて地球上のすべての動物はみんな植物を食べて生きているんです。肉食動物だってエサにしている動物は植物を食べているので、植物がなかったら動物はみんな死んでしまいます。植物は地球上のすべての動物の食糧をまかなってくれるんです。それは、植物はちょっとぐらい食べられてもいいと思ってるってことなんです。もし絶対食べられたくないと本気で思っていたら、動物は全部死んでいますよ。そして、ちょっとぐらい食べられてもまたすぐ伸びるという性質も、動物にはない植物のすごいところです」(田中さん)

スタジオ風景

田中さんは、講演会やラジオ番組などで子供たちの質問にたくさん受けてきました。その中で面白かったもののひとつが「植物に励ましの声をかけて育てると、きれいで大きな花が咲くというのは本当ですか?」というもの。これはずばりウソ。そんなことをしてもきれいな花は咲かないそうです。でもその質問をした子はお母さんからその話を聞いたというので、無下に否定するのはかわいそう。そこで田中さんは丁寧に教えてあげたそうです。

「なんぼ励まして育てても大きな花は咲かないんです。でも植物にやさしい声をかけている人って、なでたり触ったりしていることが多いんです。植物は言葉には反応しないんですけど、触られると感じるんです。触られるとエチレンという物質が発生して、太く、短く、たくましい茎(くき)になるんです。そしてまたここが植物の賢いところなんですけど、植物は自分の体で支えられる大きさの花をちゃんと咲かせるんです。だから太くてたくましい茎には大きな花が咲くんです。だから植物は触りまくったほうが大きな花が咲きます。それでも『いや、やさしい声をかけると大きな花が咲く』って言う人がいるんです。でも試しに、ボロカスに悪口を言いながら触りまくってください。大きな花が咲きます(笑)」(田中さん)

スタジオ風景

植物の姿や形の美しさを鑑賞することはあっても、その「生き方」に思いをはせることはあまりなかったかもしれません。でも、こうして田中さんの解説を聞いていると、植物は本当にすごいのだということが分かりますね。田中さんの本は下に紹介している以外にもたくさんありますので、お子さんやお孫さんとの話のタネに読んでみてはいかがでしょうか。

「植物で解明したいことはまだいろいろあります。例えば、つぼみはごく短時間で開いて重さが1.5~2倍に増えるんです。これは40kgの人が短期間で60~80kgになるのと同じですから、すごいことですよね。植物は短時間のうちにたくさん水を吸って重さが増えるんですが、なんでそんな短時間のうちにそんなにたくさん吸えるのかというのは分かっていないんです。植物の不思議なんて、まだいっぱいあります」(田中さん)。

田中修さんのご感想

田中修さん

あっという間の30分という感じです。一慶さんが助けてくれはって話の展開がとても楽でした。正直言って、一慶さんの博識に助けられました。

植物の話は、聞かれる質問がそもそも間違っていることが結構多いんです。そうなるとまずその質問から直して答えないけないんです。せやけど「それ違います」って、あんまりきつう言われへんでしょ。大変なんです。一慶さんは植物のことをとてもよくご存じでしたので、質問を直すこともなく気持ちよく話すことができました。だからよけいに30分が早かったですね。どうもありがとうございました。

2018年3月10日(土)放送「今週のスポットライト」、ゲスト:田中修さんhttp://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20180310140000

radikoで放送をお聴きいただけます(放送後1週間まで/首都圏エリア無料)



次回のゲストは、元TBSアナウンサー・鈴木治彦さん

3月17日の「今週のスポットライト」には、元TBSアナウンサーの鈴木治彦さんをお迎えします。ワイド番組『奥様8時半です』の司会を長年務めた人気アナの草分け。歌舞伎、相撲、宝塚、ジャズ、ハワイアンと多趣味で、88歳の今も現役で活動中。

2018年3月17日(土)放送「久米宏 ラジオなんですけど」http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20180317140000

radikoで放送をお聴きいただけます(放送後1週間まで/首都圏エリア無料)