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「誤嚥性肺炎」他の肺炎とは違う対策のポイントは?

森本毅郎 スタンバイ!

日本人の死因第三位は肺炎ですが、今特に誤嚥性肺炎が増えています。この誤嚥性肺炎は、高齢者を中心に飲み込む力が衰えることで起きます。きょうは誤嚥性肺炎が起きる仕組みや特徴、その対策について。3月12 日(月)、松井宏夫の「日本全国8時です」(TBSラジオ、月曜あさ8時~)で解説しました。

 

★誤嚥の仕組み

まず「誤嚥」が、どうして起きるのかをみていきます。のどは、体の前側に空気の通る気管、後ろ側に食べ物の通る食道に、分かれています。本来、食べ物や唾液などが、後ろ側の食道を通るとき、気管の入り口にある「喉頭蓋」という蓋が、食べ物が誤って入らないよう、わずか0・数秒の間に閉じます。しかし、のどの筋力が低下すると、蓋の働きが悪くなり、誤嚥が起きてしまいます。誤嚥で、異物が気管や肺に流れこみ、細菌が繁殖してしまうと、肺に炎症が起きます。そうした炎症を何度か繰り返していると、やがて肺炎になってしいます。肺炎で入院した70歳以上の、高齢患者のうち、7割以上は誤嚥性肺炎です。誤嚥性肺炎には、他の肺炎と違う、特徴がいくつかありますが、

★わかりにくい症状

他の肺炎との違い、①つ目はその「症状」です。一般に、肺炎を発症すると、38度以上の発熱や強い咳が、何日も続きます。しかし、誤嚥性肺炎の場合、そうした典型的な症状ではなく、「どういうことか元気がない」「食欲が無い」「ハアハアと呼吸が浅く早い、そして何となく様子が変だ」といった、少し周囲にはわかりにくい症状になります。

★のどの症状に注目

肺炎の異変は気づきにくい部分もあるので、飲み込みがうまくいっているかどうか、その症状に注意したいところです。頻繁に「むせる」といった喉の症状や、「食事時間が長くなる」などの変化です。こうした異変があれば、誤嚥を疑い一度内科や・呼吸器内科で、診察を受けましょう。

★誤嚥チェックの新機器

ちなみに、飲み込みがうまくいっているかどうか判定する、機器も登場しつつあります。AI=人工知能を使った、機器「GOKURI」というもの。これは首に装着して、飲み込む「音」を集め、その波形を解析する、小型の機械です。現在は、まだ試作品ですが、既に、およそ97%の判定精度。まず今年中に高齢者施設に登場する予定で、ゆくゆくは家庭での診断も可能でしょう。

★目標は飲み込み改善

一方で、他の肺炎との違い、②つ目として、改善ポイントです。ひとたび肺炎になれば、その重症度に合わせ、抗菌薬で対処し、改善することになります。これは、他の肺炎と同じで、軽症では内服で対応し、重症や合併症のある場合は、注射や点滴で対応、入院となります。しかし、誤嚥性肺炎の場合、飲み込む力改を善しない限り、再発を繰り返します。

★サブスタンスP

その飲み込む機能の回復は可能なことなので、その可能性を見捨てないでほしいです。そして、機能に関わるとして、近年注目されているものがあります。それは、「サブスタンスP」と呼ばれる体内物質で、食べものを飲み込んだり、咳をするように神経に働きかける神経伝達物質です。脳梗塞や、パーキンソン病で、この物質が減ってしまう、と言われています。また、睡眠薬を多く服用し過ぎる、サブスタンスPが減り、誤嚥のリスクはアップします。逆に言うと、この「サブスタンスP」の、分泌を増やせば、飲み込む機能の回復も可能です。分泌を増やすために、重要なのが「歯磨き」です。口の中を刺激すると唾液の中のサブスタンスPの濃度が上がる、ことが報告されています。歯磨きは、そもそも口の中の残った食べカスなどから、引き起こされる、細菌の繁殖を防ぐ効果もあるので、しっかり行うようにしましょう、基本は歯磨きです。

★飲み込む力をつける訓練

そして、飲み込む力の改善に、のどや舌の筋肉を鍛えましょう。口のストレッチの簡単な例を一つご紹介します。

▽まず「ウー」と言いながら、唇を尖らせます。その次は、「イー」と言いながら唇を横に広げる・・・これを2~3回繰り返します。

▽次に両ほほを膨らましたり、すぼめたり・・・これもまた2~3回繰り返します。

▽さらに、舌=ベロのストレッチとして、舌を前に突き出し、左・右・上・下に動かす、

これを1日1セットを目安にやってみましょう。こうした訓練もありますが、専門家がそろって薦めるのは、やはり声を出すことです。呼吸のリズムと、筋肉の動きが連動して動き、唾液が出るので口の中もきれいになります。おしゃべり・お風呂で歌う・カラオケなど声を出すのは、総合的にのど・舌を鍛えられます。

★寝たきりの人向け訓練

中には、寝たきりの人もいると思いますが、そうした人も、誤嚥を防ぐ訓練があります。

▽一つは、むせるのを防止する訓練です。

仰向けで、枕から体だけを挙げてつま先を見る・・・その姿勢を10秒程。保ちます。本人だけで、そうした動きがしにくい場合は、介助者が頭を支えてあげるとよいでしょう。

▽もう一つは、そしゃく・飲み込み運動です。

今度は、うつぶせに寝て、あごを枕に乗せます。そして、顔を右、左と向ける運動です。うつぶせが、難しい場合は、横に寝て、天井側の片方に、顔を向けるだけでもよいです。

 

 

日本全国8時です(松井宏夫)

解説:医学ジャーナリスト松井宏夫

 

松井宏夫の日本全国8時です(リンクは1週間のみ有効)http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20180312080000

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