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進化する、前立腺がんの検査と治療

森本毅郎 スタンバイ!

前立腺がんは、60歳以上の男性の2人に1人が罹っていると言われていて、2020年には、男性のがん、第1位になるという推測もされています。そんな前立腺がんの検査と治療に出てきた新たな動きとは!?3月19 日(月)、松井宏夫の「日本全国8時です」(TBSラジオ、月曜あさ8時~)で解説しました。

★症状が出てからでは遅い!

まず、「前立腺がん」について、以前にも触れましたが、改めて特徴を説明します。前立腺は、膀胱の出口で尿道を包むようにあり、男性だけにある臓器です。前立腺がんは、男性ホルモン、遺伝など多くの要因が関係していると考えられていて、50歳あたりから増えてきます。症状としては、「血尿」、「尿が出にくい」「腰痛」「朝起きると下着に血がついていた」などがありますが、こうした症状があると、既に、やや進行していることが多いんです。このため、普段から検査で早期発見するということが重要となってきます。

★厳しくなる検査基準

まず大事なのは検査ですが、その検査が進化しています。より厳しくなったんです。現在、前立腺がんの検査ではPSA検査がよく知られています。PSA検査とは血液の中に含まれるPSAという前立腺に特有な物質の量を調べる方法。この数値が、1ミリリットルあたり、4ナノグラムを超えているとがんの疑いがあり、10ナノグラムを超えると、がんが強く疑われる、とされています。しかし最近では、PSAが、4以下でも20%程度ガンが見つかることがわかりました。そのため、基準値が厳しくなり、年齢によっては、4以下の数値が出た場合でも、さらに詳しい精密検査が行われるようになっています。

★変わる精密検査

PSAで、前立腺がんの疑いが出た場合は、精密検査を行います。この精密検査も進化していて体への負担は減らしながら、がんを見つける確率は高くなりつつあるんです。「先進医療」として現在、7つの病院で行われています。最初に導入した、東海大学医学部付属八王子病院の小路直准教授に取材してきました。

★よく行われるのは「針を刺す」方法

まず現在よく行われている、検査方法は、前立腺に針を刺して細胞を採る “生検”という方法を行います。前立腺の、6~20ヶ所に針を刺して細胞を取り、そのうち1本の針にでも、がん細胞があれば、前立腺がんと診断されるものなんです。この検査は、たくさん針を刺すので大変ですが、他にも悩ましい部分があります。それは、がんがどこにあるのか正確にはわからないので、針をたくさん刺しても、がんに刺さらずに、見逃してしまう可能性もある、ということです。

★進化した検査「3D画像」

そこでこの検査は、現在、がんが疑われる場所を浮き彫りにしてから針を刺すように進化しました。どうやるかというと、超音波画像にMRI画像を組み合わせ「3D画像に変換」します。3D画像にすることで、「がんの大きさ」「場所」「形」が、よりよく見えてくるんです。これらによって、医者が高い精度で針を刺すことができ、がんを調べることができます。

★発見精度は「2倍」

450人のがんの疑いがある患者さんで調べたところ、がんが見つかったのは、一般的な検査では35%止まりでしたが、3D画像を使った検査では、54%で、がんを見つけることができました。またその中で、ステージの進行したがんが見つかったのは、一般の検査では20%。一方、3D画像を使った検査では、47%だったそうです。つまり、3D画像を使うと、これまでの検査の倍近く、がんを発見できる、ということは、今までの検査ではがんが見逃されていた人たちが救われる事になります。

★手術のほとんどが「ダヴィンチ」

精密検査でがんが見つかると治療になりますが、その治療も進化しています。前立腺を摘出する手術から、摘出しないで後遺症を減らす方法に変わってきてるんです。今、前立腺がんの手術は80%がダヴィンチというロボットを使った手術です。これによって体への負担は減って来ていますが、それでも現在の手術は前立腺全体を切除するため、排尿機能などに影響が出てしまいます。

★新治療「HIFU」

こうした中、臨床試験がとして行われている、HIFU(ハイフ)という進化した治療。HIFUは、高密度焦点式超音波療法という名前の英語の頭文字、H・I・F・Uで、文字通り、焦点を定めて、高い密度で、超音波を当てて、前立腺を焼く治療です。虫眼鏡で太陽光を紙の一点に集めると、その部分が燃えますが、あれと同じ要領で、焦点を絞り、がんの部分だけ焼くことで、できるだけ前立腺の機能を温存する治療です。体への負担も軽くなっていて、この治療は お尻からカメラ付きの端子を入れて、画像で前立腺を見ながら治療します。カラダにメスを入れることがありません。取材した病院のデーターでは、平均手術時間は、わずか29分ということでした。

★ほぼ完全に治る

この方法で、これまでに56例の臨床試験が行われましたが、6ヶ月以上経過観察できた患者さんのうち87%の方が、完全に治療が出来たそうです。残り13%の方は、治療していない部分から、新しいがんが見つかったということなので、治療した部分については、ほぼ完全に、がんをなくすことができたと言えるでしょう。

★機能も温存可能

この治療のメリットは、なんといっても、前立腺の機能が温存できることです。前立腺を全て取り出してしまうと、排尿障害などに悩まされますが、このHIFUの場合は、手術後3か月で、ほぼ、元どおりになるとされています。その他、性機能などへの影響も、これまでの手術に比べ、抑えられる結果が出ています。これまで、前立腺がんは部分治療できないと考えられていたんですが、部分治療で前立腺の機能を温存できる時代へと進みつつあります。

★HIFU治療には条件も

ただ、HIFUは、できる場合とできない場合があります。HIFUが行える条件は、 がんがやさしいがん、PSAが高すぎないこと、前立腺自体が大きくない人、などです。

★保険適用の時期は?

こうした進化した検査や治療ですが、3次元画像での前立腺検査は、すでに先進医療として行われており、2年くらいを目指し、保険適用になるよう行われています。

一方、前立腺の部分的治療、HIFUでの治療は、まだ臨床試験の段階です。半年のうちには先進医療になるよう行われています。先進医療は、治療そのものは自費ですが、検査などは保険適用というものです。

 

 

 

日本全国8時です(松井宏夫)

解説:医学ジャーナリスト松井宏夫

 

松井宏夫の日本全国8時です(リンクは1週間のみ有効)http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20180319080000

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