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年金情報問題にみるデータ入力業務の実態と年金機構の闇

森本毅郎 スタンバイ!

日本年金機構から年金受給者の個人情報のデータ入力を請け負った、SAY企画という情報処理会社が、年金機構との契約に違反して、無断で中国の業者に500万人分のデータ入力を再委託していた問題。そもそも『データ入力』という仕事の実態がどうなっているのか、気になって調べてみました。

「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)7時35分からは素朴な疑問、気になる現場にせまる「現場にアタック」!!

3月27日(火)は、レポーター近堂かおりが『年金情報問題にみるデータ入力業務の実態と年金機構の闇』をテーマに取材してきました。

★手書きをひたすら打ち込む。データ入力という仕事。

まず驚いたのが、何百万人分ものデータを、全部、人が手で入力するということ。SAY企画はスキャナーを使っていたことが問題視されています。一般的にデータ入力の仕事は、ひたすら手で打ち込むものなのか、お聞きしました。埼玉県や都内でデータ入力業務を行っている 株式会社エルグッドヒューマー、代表取締役社長 今田圭哉さんのお話です。

今田圭哉さん
「データ処理は基本的に、一般の人が書いたものをデータベースに載せるためにデータ化するものなので、パソコンからパソコンへのようなことはできないものです。(手書きのものをデータに置き萎える作業ということですね?)そうです。弊社では、街頭アンケートやキャンペーンの応募はがきなどの入力をやっています。入力精度としては、99・996%の精度に上がっています。ですからミス率でいうと0・004%です。(どのくらいでOKといえるんですか?)基本的に間違えてはいけないんですが、0・01%ミスがあったらちょっと高めと言われていると弊社では判断しています。」

今回の年金データ問題も、手書きの書類をデータ化する作業でした。今回のSAY企画が年金機構から請け負ったデータ入力が1300万人分ですから、業界の一般的な感覚ではミスが1300件もあれば、ミス率が高いというレベル。それが今回の入力ミスは何十万件と発表されているので、常識外の多さと言えそう。途中の監査で、このミス率に疑念を抱いていれば、この仕事では入力ミスをゼロに近づけるために、『ベリファイ入力』というやり方を実践している。預かったデータを一人が打ち込むのではなく、オペレーターAさんとBさんに同じデータを入力させ、それを照合して、違っているところがないか確認する。もし違っているところがあれば、元のデータを確認して、正しく入力し直す。

★新しいデータ入力方式『LGH方式』!!

入力業者がそこまでやっていても、仕事を発注した側は、不安を感じることもあるのだそうです。

再び、今田圭哉さんのお話です。

今田圭哉さん
「クライアントさんとしゃべっている『「ベリファイ入力で契約したんだけど、これ多分、シングル(=ひとり)でしか打っていないようなデータを納品されんだよ』とか、『同じ社内で別の人間が入力していたとしても、同じところで間違えちゃうことが多いよね』という話を結構いろいろな会社に聞いて、だったら2社に同時に入力を頼んで、弊社内でマッチングして、普通はデータ納品は最終的にマッチングして正しくしたものを納品して完了というのが基本なんですけど、ベリファイ入力つまりダブルで入力していないことが多く見受けられるというお客さんには、チェックする前のA社、B社の入力データごと、ご要望があればお渡ししています。」

『本当にベリファイ入力しているのか』ということまでチェックしたがるぐらい、データ入力を発注した側はデータ管理に神経をとがらせているのです。そういったクライアントの声に応えて、今田さんの会社では新しいデータ入力の方式を登場させました。それが『LGH方式』。同じ社内のAさんとBさん、ではなく、A社とB社に同じデータを入力させてチェックする。要望があればチェックする前のものも渡すことにしている。

★マイナンバー情報を外部発注するとは!!

それに加え、大量のデータをなるべく早く処理するために雇われた、何百人という派遣やパートのスタッフ全員に、個人情報の扱いに関する指導や管理が徹底されているかどうかということまで考えると、その点も心配するのも分かります。それと比べると、今回の日本年金機構はどうなのでしょう?マイナンバーのような最も大事な情報を外部の業者に渡しているわけですが・・・。

そもそも、マイナンバーというのは、取り扱いには罰則が適応されることもあるほど、大事な情報。その点で、データ管理が甘い! という指摘は当然あります。マイナンバーの情報が含まれるデータの入力を、外部の業者に発注すること自体がそもそも疑問だという方がいます。ITジャーナリストでデータ入力業務にも詳しい佃 均さんのお話。

佃 均さん
「データエントリー(入力)って、金融機関などは自分のところで用意したセンターに外からオペレーターに来てもらって自分たちに管理の中で仕事をしてもらうというスタイルをとっている。機密保持で。荷物も全部ロッカーに入れておいてくださいとか非常に厳しいチェックをする。ところがデータを外部に出しちゃうわけですから、その先どこにいっちゃうか分からない。だからそもそもマイナンバーに関わる情報を外部に出すということ自体が慎まなければいけない。やっちゃいけない話。年金機構はこれまでずいぶんトラブルを起こしていますから、その反省、学習能力がないんじゃないかと思ってしまいます。」

日本年金機構の発表を聞いていると、データ入力業者がすざんで、業者だけが悪者のような印象さえ受けてしまうが、そうではないと佃さん。

★外部発注せずに済んだのでは?

そもそもこれだけ膨大なデータ入力も、外部発注しなくてすむ方法があったと言います。再び、佃さんのお話です。

佃 均さん
「今回はあくまでも所得控除というのが目的ですから、年金をもらっている人と被扶養者の”ひもづけ”ができればいいわけです。そうすると年金番号とマイナンバーだけあればひもづけできる。数字だけですからめちゃくちゃ早いと思いますよ。そうすると氏名なんか入れなくていいわけです。」

今回、年金受給者が提出した『扶養控除等申告書』には氏名や住所などいろいろ記入しなければないけないのですが、控除のためのデータベースを作る場合は、年金番号とマイナンバーさえあればいいはずで、それなら年金機構だけでもできたかもしれない。
余計なデータまで入力させたことが作業自体を大幅に遅らせた原因で、この作業プロジェクト自体の設計がなってないというのが佃さんの指摘。しかもなぜそんなことをしたのか、日本年金機構の説明はまだありません。ほかにも年金機構は、去年のうちに内部告発を受けてSAY企画に監査に入りながら、作業を中止させることもなく、問題発覚後にも追加発注をしている。そこの説明もありません。このほかにも問題点や疑問点は多い。指摘されると痛いことは一切説明がなく、悪いのは業者…。年金機構自体は検証や反省する姿勢が見えない。これじゃ、国民の将来は不安…。

「現場にアタック」近堂かおり

近堂かおりが「現場にアタック」で取材リポートしました。