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カルメンが日舞を踊ったら・・・? 三代目・花柳寿楽さん

コシノジュンコ MASACA

2018年4月1日(日)放送

ゲスト:三代目・花柳寿楽さん(part 2)

日本舞踊家。1967年生まれ。学習院大学経済学部卒。人間国宝・二世花柳壽楽に師事し、1990年に三代目花柳錦之輔、2009年に三代目花柳寿楽を襲名。蜷川幸雄作品や宝塚作品など、舞台やTV番組の振り付けや所作指導も行っています。芸術選奨文部科学大臣賞をはじめ、受賞歴多数。

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出水:6月22~24日、東京国立劇場小劇場で開催される「第2回 日本舞踊 未来座=裁=カルメン」にご出演。カルメンを日舞でやるんですか?

JK:スペインに関係してますね~!

花柳:そうなんです。この仕事が決まったとき、どうしてもスペインに行きたいなーと思っていたところにジュンコ先生からスペインのお話をいただいたので、僕はヒキがあるなぁと思って(笑)

JK:ホント。でもカルメンっていえばフラメンコじゃないですか。そういう振りはあるんですか?

花柳:そこまでの振りとは違うと思うんですが、今回のカルメンはオペラで使っているビゼーの曲を使いまして、フラメンコのような、カルメンが一人で踊るシーンもあると思います。

JK:あなたはホセでしょ?

花柳:はい。実は15年ほど前にも日本舞踊協会でカルメンを取り上げていて、その時もホセをさせていただいて。その時は比較的カルメンのドラマとして進んでいたんですが、今回は少しカルメンとホセの愛憎、出会いから憎しみに変わり、最後は死に至らしめるところまで、という形でやっていきます。

JK:あくまで日本舞踊で?

花柳:はいそうです。

出水:西洋風の音楽と日舞がどう融合するのか・・・?

JK:国交150周年にすごくぴったりじゃないですか!

花柳:見ていただかないと上手く説明できないんですけれども、曲から感じたものを振りにして・・・台詞があるわけではないので、その中でストーリーをうまく伝えていけたらなと。

JK:こういうのはスペインでやればいいのにね。

花柳:そういう機会が本当にあれば、ぜひ! スペインの方、よろしくお願いしますm(_ _)m

出水:今回の舞台を開催するのは「日本舞踊未来座」ということですが?

花柳:日本舞踊の側面のひとつとして、歌舞伎舞踊を中心とするいわゆる「古典舞踊」と言われるものから、それぞれの時代時代を背景に、前衛的なものも含め、新しく創作してゆくものもあるんですね。ずっと古典ばかりやっていると化石化してしまう。それをリニューアルしたり、新しいものを作ることで、舞踊の世界を両輪で前進していく、という考え方があって。もともと日本舞踊協会として創作劇場とか創作舞踊劇場というものが10年単位ぐらいで続いていた。新作公演とかもあって、一回作るとしばらく休止、また新しく作るという。未来座というのは、亡くなられた坂東三津五郎さんの遺志をついで、こういうものをやっていかなくてはならないんじゃないか、ということで・・・

JK:革新的な演出で、日本舞踊! これは遺言なんですね。

花柳:まさにそうですね。三津五郎さんが言っていたことを、当時の染五郎(現・松本幸四郎)さんが音頭を取って、もう一度創作を、新作をきっちりしようと去年始まった。今年は2回目、来年は3回目の「SAI」というタイトルがついた新作になると思います。

出水:今回は中村橋之助さんとW主演ですが、振り付けに関してはどなたが中心となってやっているんですか?

花柳:猿若清三郎さんと花柳輔瑞佳さんという方が振り付けを担当しておりまして、演出に花柳輔太朗さん。

JK:やっぱり自分がああだこうだと好き勝手やるんじゃなくて、振り付けをしてもらうわけですか?

花柳:そうです。まず曲と振り付けをいただいて消化していくという形。あとは演出家のほうから、振り付けに「そこの振りはこう変えてほしい」「そこの踊り方はそうじゃなくて、寿楽さん、こう変えてくれる?」という風に進んでいきます。

出水:日舞を見ていますと、皆さんずっと中腰で踊られて・・・見た目ほど優雅ではないと思いますが?

花柳:そうですね、爽やかな汗というよりは、ジトーッとした汗を着物の中でかいてるぞ、というのはあります(^^)

JK:着物も重いですよね、何キロぐらいあるんですか?

花柳:役にもよりますけど・・・僕らがよくやる素踊りはそんなことないです。女形さんで、鬘をつけて、少し大きめの掛けをきて、となると10キロを超えてくると思うんですけど。

JK:でも女形もやるんでしょ?

花柳:あんまり僕は得意じゃないので・・・女形はあまりしないです。しなかったことはないですが、あんまり好きじゃないです。

出水:数々の舞台を踏んで体力作りも大切だと思うんですが、心がけていることや「チカラめし」にしているものはありますか?

花柳:チカラめしというほどのことはないんですけど、やっぱり家内が健康を気遣ってバランスよく出してくれているのが「チカラめし」かな、と思います。あとは、日々のお稽古が基本になる体力づくりだと思うんですね。だから特に泳ぎに行くとか走りに行くとか、そういうのは今まではしてないですが、50を超えて来たので、他のことも少ししてみようかな、と去年ごろから思いました。

JK:想像もつかないんだけど、ゴルフとか他のスポーツは?

花柳:ゴルフはね・・・年間2~3回くらい。誘われれば(笑)

JK:花柳寿楽さんにとってのMASACA! なんですか?

花柳:一番のMASACAは、21歳、大学3年生の時に僕の父が亡くなったことですかね。それでずいぶん自分が思っていたことと変わってしまいました。大学に入る前に、日本舞踊家としてやっていくかどうかも含め、ゆっくり考えようかなという時期もあったんです。うちの考え方として、マラソンじゃないですが、日本舞踊家の人生として、ずーっと戦闘を走りっぱなしじゃなくてもいい、最終的にある年齢になったときに、ある程度先頭集団に残ってなくちゃいけないから、先頭集団の終わりのほうとか第2陣にいればいい、というスタンスでずっと育てられていたんです。だから、厳しい時は厳しいけど、嫌いにならないようにという教育でずっと来てたんです。

花柳:でもそこで父が亡くなったところで、祖父が豹変するわけです。それまでは、僕のことは息子が育てればいい、ということで、仕上げしか見てなかったんです。でも息子が抜けてしまったので、ある日突然、稽古を始めてやるところから僕を見るようになるわけです。そうすると、「お前、こんなにできないのか?!」っていうところから始まっちゃって(笑)「えっ、僕は今までこうやってきたんだけど」「お前、本当にできなんだな!」ってことになっちゃって。

JK:あらら。

花柳:祖父は当然、僕に父の代わりを求めようとするわけです。自分の助手、相手役も含めて。そうすると、その間が詰まらない。急にそこから速成栽培になるわけです。周りの人々、古いお弟子さんたちも、いままでよりもいろんなことを言ってくるし。そこからの10年ぐらいというのは、バタバタしていたというか、なんでこんな目になっちゃったんだろう、というのはありました。でも今思うと、そうなったことで現在の自分があるんだなと思うんです。もしその時期に祖父が亡くなって、父が亡くなって、という順番できていたら、今の僕はなかった。きっと甘えの部分もあったと思うので。

JK:生まれがね。育ちが良すぎるから、甘い。だけど試練がきちゃったのね、ついに。

花柳:そうなんですかね? 大学3年の時に父が手術することになって、手術してみたら半年は持たないという話を聞いて、「僕、大学を辞めたほうがいいですか?」という相談もしたんですが、「あと1年だから、1年で卒業してくれ」と言われて、宿命のように卒業して・・・あの時は大変だなーと思いました。

出水:花柳寿楽さんを含む5人の舞踊家さんたちで、「五踊会」というのを結成していらっしゃいます。これはどのような目的で結成されたんですか?

花柳:どうしても日本舞踊というと、一般的に習い事のイメージ。しかもお嬢さんというか、お孫さんに習わせるとかいうイメージが多いので、歌舞伎とはまた違う舞台での総合芸術というか、鑑賞するための作品だということを打ち出すために、「個」だけじゃちょっと弱いので、流派を超えて同世代の5人が集まって発信していこうと。ちょうど10年目ぐらいです。

出水:さまざまな方に日舞を見てもらおう、楽しんでもらおうということですね。

花柳:そうです。渋谷区主催で、大和田ホールのようなところで子供向けにやってみたり。そういう時は、動物シリーズとか・・・猿カニ合戦の話を5人で踊ったり、あとはネズミが出てきたりナマズが出てくる踊りをやったり、玉兎をやったり。ヘビとカエルが出てくるお話をやってみたり。ちょっと親しみがある動物が出てくる踊りを勝手にシリーズにしてやってみたりしています。

JK:それいいと思う。こないだ亜門さんの「日本昔話」を見たんだけど、かわいかったですよ。浦島太郎とか。

花柳:知ってる話のほうが子供たちは食いつきやすいみたいです。あと、もうちょっと大人の時には、あまり出ないような演目を。ただ上演しただけではわかりにくいので、踊りの前に5人が出て行って、解説や少しディスカッションしながら話をふっておいて。いつ山場がくるか分からないとお客さんは飽きてしまう。こういうところは見どころですから、と先に行っておくと、その辺がくるとなんとなく見てくださるのでね。

JK:なるほど!

花柳:中身でやっているクオリティは変えずに、見てもらうためのハードルを下げて、来やすく。見てもらった後は、どうすればリピートしてもらえるかというのを考えています。

JK:やっぱり子供に教えるってすごく未来的ですよね。

花柳:昔はお客様が芸人を育ててくださったと思うんです。「先代はこうだったよ」「お父さんはこうだったよ」っていうお客様の声を聴いて、自分が直していったんだと思うんですけど、そのためには見てくださるお客様が増えて行って、厳しい声をいただかないと衰退していってしまう。そのためには、今の為に見てもらう。そのお客様と一緒に僕たちが育っていったあと、たとえば僕たちの子供たち、次世代の人たちが「いや、先代は違いましたよ」とちゃんと言ってもらえれば、いい関係になるのかなと思っています。

出水:最後に今後の目標を教えていただけますか?

花柳:どうしても舞踊公演は単発で終わってしまいやすいので、「カルメン」などは3日間やらせていただくんですけども、複数日の公演をやるように見ていただきたい。一般のお客様、外国のお客様がもう少し気安くふれてみたいという舞踊活動なり舞踊教室をプロデュースできたらいいかなと思います。作品のタイトルだけで来て下さる部分もあるので、宣伝活動も含めて考えていかなきゃいけない。コシノ先生の仕掛け方、ショウの宣伝は間際がいいのかとか、そういうことを盗んでいきたいなと思います!

=OA楽曲=
M1. The Happiest Day Of My Life / Miss Abrams And The Strawberry Point 4th Grade Class
M2. Dance, Dance, Dance (Yowsah, Yowsah, Yowsah) / CHIC