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4月から一挙に増えるロボット手術の保険適用。メリットと課題

森本毅郎 スタンバイ!

2018年、4月からロボット=ダヴィンチを使った手術について、7つのがんを含む、12種類の手術が、一挙に保険適用になりました。これ自体は非常にいいことで、すでに一部では報じられています。しかし、この保険適用拡大については、心配な面もあります。こちらはあまり報じられていません。そこで、ロボット手術の保険適用拡大について、4月2 日(月)、松井宏夫の「日本全国8時です」(TBSラジオ、月曜あさ8時~)で解説しました。

 

★ロボット手術の保険適用の拡大

4月=今月からロボット=ダヴィンチを使った手術について、7つのがんを含む、12種類の手術が、一挙に保険適用になりました。これ自体は非常にいいことで、すでに一部では報じられています。しかし、この保険適用拡大については、心配な面もあります。こちらはあまり報じられていませんので、今日は両方の面からお話できればと思います。

★体にも財布にも優しい

まず体への負担軽減ですが、ロボット手術は、主に開腹手術ではなく、腹腔鏡や胸腔鏡手術に使われます。お腹を切り開かず、小さな穴を幾つか開けて、そこから内視鏡や鉗子を入れて、内視鏡の映像を見ながら、体内だけで、切ったり縫ったり、手術をしてしまう仕組み。お腹を切り開く開腹手術と比べると、術後の社会復帰は非常に早いです。

★ロボットが優れている5つの点

  1. ロボットのアームには、関節が7つあって、人間のよりスムーズに動く。
  2. 例えば、アームを操作する際、手元では10センチ動かしても、実際のアームは2センチしか動かない、つまり細かい作業がしやすい。
  3. 手ぶれ防止機能がある。
  4. 3D画像を見ながら操作できる
  5. 15倍に画像を拡大しながら手術できる。

こうしたことができるようになった結果、より高度な手術ができるようになりました。

★例えば前立腺がんで大活躍

1つ具体例を出しますと、前立腺がんの手術で、ロボットは大きな評価を得ています。前立腺がんは、早期発見で寛解しやすいものですが、手術自体は、前立腺が骨盤の深い部分にあるため、難しい手術の1つでした。しかし、ロボットなら、ロボットの手が、深いところまでスムーズに届く、というわけです。

★保険適用になるとどうなる?

自由診療や先進医療とは違って、費用はかなり抑えられます。例えば、2012年に保険適用となった前立腺がんで見てみましょう。前立腺がんのロボット手術は、およそ160万円。これが保険適用となると、3割負担になるので48万円で済みます。しかも、保険適用なら高額医療費制度が使えるので、年収などによって差はありますが、概ね、10万円を超えた部分は戻ってきます。

★今回の見直しの問題点=病院の負担増?

今回のロボット手術の保険適用拡大の問題点、少し難しいのですが、巡り巡って患者さんにも影響のあることなのでお話しておきたいと思います。その問題点とは、病院の収入に関わる問題です。

保険適用となると、一定の金額を超えると、高額医療費制度の対象となり、患者さんの負担は一定です。3割の自己負担が30万円でも、60万円でも、最終的には同じくらいになります。ただ、当たり前ですが、病院の収入は100万円と200万円では大きな違いです。

今回の診療報酬の改定では、食道がんや胃がんのロボット手術は、保険適用となると同時に値段も決められました。その値段が、何と、これまでも行われていた、ロボットを使わない腹腔鏡手術などと、同じ値段となってしまったんです。

★高いロボットの価格と維持費

ロボット=ダヴィンチの本体価格は最新のものは3億5千万円、維持費も年間3千万円さらに使い捨てのアームなど、消耗品代が1回の手術当たりおよそ40万円かかります。それなのに、ロボットを使わない手術と同じ料金しかもらえないとなると、ロボットで増えるコストは、病院の持ち出しになってしまうのです。

こうなると、ダヴィンチを維持できず、導入を見合わせる医療機関も出てくるはずです。保険適用によって、料金的にはロボット手術が受けやすくなるのに、実際にはダヴィンチが広がらないため、どこでも受けられる、とはならないかもしれません。

★なんでこんなことに?

診療報酬で値段が高くなるにはそれなりの評価が必要です。ロボット手術の方が、人力でやるよりも繊細で複雑な動きはできますが、ただ、科学的には評価が定まるところまで研究は進んでいません。また、胃がんに関しては、藤田保健衛生大学病院らの研究で、「合併症を3分の1近く減らせる」という発表もありましたが、厚生労働省は評価しませんでした。結局、今までの人力の手術と「同程度」という評価にとどまったというわけです。

もちろん、なんでもロボットがいいわけではありません。食道がんなどは、これまでの手術のほうがいいという先生もいます。

しかし胃がんは、ここまでの実績から見ても、やはりロボットの方がすぐれているのではないでしょうか。国の診療報酬の見直しは2年に1度なので、次のチャンスの時、考えなおしてほしいポイントです。

 

 

日本全国8時です(松井宏夫)

解説:医学ジャーナリスト松井宏夫

 

松井宏夫の日本全国8時です(リンクは1週間のみ有効)http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20180402080000

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