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性風俗店で働く女性のための生活・法律相談▼人権TODAY(2018年4月14日放送分)

人権TODAY

毎週土曜日「蓮見孝之 まとめて!土曜日」内で8時15分頃から放送している「人権トゥデイ」。様々な人権をめぐるホットな話題をお伝えしています。

今回のテーマは…2018年4月14日放送「性風俗店で働く女性のための生活・法律相談」です。

風俗の現場にこそ司法・福祉の光を

法的トラブル解決のための公的機関に「法テラス」というのがありますが、性風俗で働く女性に「風テラス」という名称で相談を行っている民間団体があります。新しい「性の公共」を作るという理念の下、重度身体障がい者に対する射精介助サービスなど、社会的な切り口で現代の性問題の解決に取り組んでいる一般社団法人「ホワイトハンズ」代表理事の坂爪真吾さんは活動を始めた経緯についてこのように話します。

一般社団法人「ホワイトハンズ」代表理事の坂爪真吾さん
元々、私が、性風俗を取り巻く社会研究を大学のゼミでやっていまして、東京都内の繁華街の風俗店をフィールドワークにしていたんです。明らかに福祉的な支援が必要な方、生活困窮者、借金がある人がたくさんいて、きちんとお店と福祉と司法が連携した方が適切な支援が受けられるのではと思いました。風俗で働いているということをバラされたくない。言えないからこそ相談に行けなかったり、相談に行っても風俗で働いていることを言えなかったり。ゆえに問題がこじれているケースが多いと思います。

「ホワイトハンズ」代表理事の坂爪真吾さん

法律や福祉にアクセスしずらい環境に置かれている

風俗で働く女性の相談というと、客により激しい性的サービスを強要されるといったトラブルや、待遇をめぐっての店側とのトラブルが多いのではないかと思いがちです。
ですが、仕事現場が性風俗というだけであって、借金や家庭の問題、健康上の問題など、一般的な生活相談・法律相談内容と変わらないのだそうです。

むしろ問題は、「風俗で働いている」というだけの理由で、誰もが受けられるはずの支援にアクセスしにくい環境に置かれがちだということです。例えば、貧困状態に陥ってしまい、健康保険料を払えず、保険証が持てないので医療のサービスが受けられない。夫から暴力を振るわれるので別居しているが、離婚しているわけではないので、生活保護の制度が受けられないなど、様々な理由があって、生活のために性風俗で働く女性がいます。

風俗で働いているということを公にはできないことがほとんどですから、そこで悩みや問題が生じたとしても誰にも相談できずに抱え込んでしまい、より困難な状況に追い込まれるという負のスパイラルに陥りがちな現状があると言います。「風テラス」はそんな女性たちのための相談に乗っています。

弁護士と社会福祉士がペアで相談に対応

弁護士と社会福祉士のペアで相談に応じます。協力している性風俗店の待機部屋で女性の相談に乗るほか、特定の店舗に所属していない女性であっても、風テラスのサイトで事前予約をした上で、繁華街の喫茶店などの場所で相談に応じています。
活動に賛同している弁護士や社会福祉士が複数いて、毎月1回のペースでこの「風テラス」を開催していて、相談時間は1人につき1時間ほど。相談は無料です。
相談者の多くは、無店舗型で女性をホテルなどに派遣するタイプの風俗店、いわゆるデリバーヘルス(デリヘル)と呼ばれる形態で働く女性ですが、広く性風俗に関わっている人にアドバイスをしています。

風俗で働いていることを否定しない

「風テラス」で相談に応じている、弁護士の徳田玲亜さん
例えば借金の相談の場合、法律的には債務整理で破産するとか、任意整理するという解決になるんですが、どうしてその借金を抱えることになったのかという背景を見たときに、家庭環境であったり、本来生活保護を受けられるのに無理して生活をしているために借金を負ってしまったということもあり得るわけです。問題は複合的であるので、法律の専門家の弁護士だけでなく、生活相談・福祉制度の利用という観点からも社会福祉士とペアで相談を受けています。お互い補完しあって対応しています。
私たちは相談者の女性が風俗で働いているのを知ったうえで相談に乗っているので、必要でない限り風俗で働いている理由を詮索するような質問はしないし、風俗で働いていること自体を評価しないということを心がけています。

「なんで風俗なんてやっているんだ」「まず風俗を辞めなさい」と言われるのではないかと怖れて、福祉とのつながりをためらう女性も多いと言います。風テラスでは、「相談に応じる側の価値判断を混ぜない」「風俗を辞めることを前提に話さない」ということを心がけています。説教・批判をせず、今の状況をどう変えたいのか、そのためには何を優先したらよいのかを一緒に考えていくスタンスを取っているということです。

社会福祉士の橋本久美子さん
表面的にはこういうことだって相談を持ってくるけれども、よく話を聞くと、全然違うことが解決すべき問題だったりする。話しを聞いてあげることと、困っていることを整理してあげることがソーシャルワーカーである私にできることかなと。セックスワークという言葉を使っている以上、ほかの一般的な仕事同様「お仕事」だと思って彼女たちのことを見ています。非常にリスクはありますよ。男性と個室に入る仕事ですから。危険だからこそ、不安軽減されなければいけないし、健康が守られなければならない。私たちは「デリヘル辞めろ」なんて思っていないですしね。それを続けるも続けないもご自分の判断ですから。自己選択・自己決定の前提には選択肢が必要。その選択肢を提供するためにも、色んな選択肢があるんだということを情報収集できるようにしなければならない。その選択肢の中で、デリヘルを続けていてもいいし、かけもちで昼職と夜職をやったっていいし。ただ、お仕事するんだったら安全は権利だよって。

社会福祉士の橋本久美子さん

生活がかかっているからこそ、風俗の仕事をすぐには辞められない。だったら、風俗という仕事を否定せずに、背景にある原因を探っていくことが重要だと言います。

いつでもどこでもアクセスできる環境を

坂爪真吾さん
できれば全国展開してどこの街の風俗で働いていても「風テラス」に連絡つくような仕組みを作りたいと思います。ホームページの充実であったり、連携店舗の拡大とか、各地のプレイヤーとの連携とかを広げていって、相談員の研修制度もしっかり作るなど、やることは山ほどあるので、コツコツやっていきたい。相談に乗れているのはごく一部。相談すること自体をためらっている女性ほど困難な状況に置かれていることも想像できます。彼女たちが相談乗りやすい環境をどう作るのかが課題です。

風テラスは、2015年10月に東京都内でスタートし、現在、大阪市内、新潟市内でもそれぞれ月1回のペースで開催しています。本名を明かしたくない人は、仮名でも相談を受け付けています。実際に専門家と会って相談することもできますし、メールや電話での相談も受け付けています。

今回は性風俗で働く女性をテーマに取り上げましたが、貧困や障がいなど社会で弱い立場に置かれている人たちに共通している問題でもあります。「今の状況はつらいけど、情報がないのでそれを解決する術を持たない」「そもそも、ほかの世界を知らないので自分が置かれている状況が分かっていない」。そのような状態に陥っている人の自己責任として押し付けることなく、その悩みや困難を取り除くための「風テラス」のような活動は大切だと感じました。

一般社団法人 ホワイトハンズ
URL:http://www.whitehands.jp
相談予約はtwitterへのDM(@futeras)、LINE(futeras)、E-MAIL(futerasu@whitehands.jp)まで

(担当:瀬尾崇信)