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日本の伝統医療が世界を救う?最新の置き薬事情。

森本毅郎 スタンバイ!

きょうは、ちょっと懐かしい『置き薬』のお話。置き薬というのは、家庭や職場に薬箱を無料で設置して、定期的に訪問するスタッフが薬を使った分だけ集金し、補充する、という仕組みですが、今それが意外なところで活用されている、というのです。そこで・・・。

「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)7時35分からは素朴な疑問、気になる現場にせまる「現場にアタック」!!4月18日(水)は、レポーター近堂かおりが『日本の伝統医療が世界を救う?最新の置き薬事情。』をテーマに取材してきました。

★タンザニアで置き薬!?

意外なところ、というのはいったいどこなのか。NPO法人 Afrimedico(アフリメディコ)代表理事の町井恵理さん のお話です。

町井恵理さん
「私たち、アフリカのタンザニアに、置き薬を届けています。救急箱みたいな箱の中に、薬を数種類入れておいて、使った分だけあとで支払う、という日本発祥のモデルなんですけど、そうすることによって、これまで薬の届かなかった地域の住民の方にも、届けることができるというものになります。私が薬剤師ということもあって、薬を通じて貢献をしたいというところからスタートしてるんですけど、アフリカのニジェール共和国というところで2年間ボランティアをしていて、やっぱりアフリカって薬が届いていないなっていうところが多いと思う中で、どうやったら薬が末端まで届けることができるかなって考えたときに、日本の置き薬を思い出して取り組みました。」

アフリカで富山の置きとはびっくりしました!!置き薬という仕組みは、実は日本だけにある独特なもの。アフリメディコでは2015年からアフリカでの置き薬事業を始めました。日本の製薬会社と提携し、アフリカの農村地域や学校などに置き薬を設置。解熱剤・消毒剤・整腸剤など基本的な薬を入れて、その場でセルフメディケーションができるようにした、ということなのです。

★なんで、置き薬なの?

それにしても、なぜ町井さんは日本の置き薬事業に目をつけたのか、再びアフリメディコの町井さん のお話です。

町井恵理さん
「はじめに日本でなぜ置き薬が普及したのかというところを発祥した富山県にいって検証したんですけど、そのときに出てきたのが3つ。1つ目が「皆保険制度がない」、2つ目が「インフラが整っていない」、3つ目が「大家族」。この3つの要素が置き薬の普及した理由なんですけど、それって今のアフリカにすごく似ていて、アフリカでも機能するんじゃないかと思いました。」

日本に置き薬が普及した時の背景を探ってみたら、今のアフリカの状況と非常に似ている!と気がついたことがヒントに。『保険がない』『インフラ整備が進んでいない』という状況は、確かに『病院にかかりにくい、薬からは遠い』状況です。また、農業などを営んでいて収穫の時期しか収入が見込まれない人でも、収入があってから薬の代金を払える、となれば安心して薬を利用できます。これも置き薬が広がったポイントとなったそうです。

★モンゴル、タイ、ミャンマー、ベトナムでも!!

また、この置き薬事業はさらに他の地域でも活用が進んでいるのです。日本財団・国際協力チーム、チームリーダーの中嶋竜生さんのお話です。

中嶋竜生さん
「私ども日本財団はですね、置き薬事業自体は、2004年にモンゴル、2009年にタイとミャンマーで、2010年にはベトナムでもスタートしました。」

こちらはアジア。日本財団の置き薬事業は2004年にモンゴルからスタート。かなり早い時期から始まっています。その後タイやミャンマー、ベトナムの農村部や山岳地帯で活用されているそうです。さまざまな国で、喜ばれていると聞くとなんだかとてもうれしいですね。

★現地には現地の置き薬

便利になり、それぞれの国で歓迎されている置き薬ですが、一方で、それぞれのお国柄、というものもあるわけで、難しいなと思ったり、驚いたりすることもあるようです。アフリメディコの町井さんはこんなお話をしてくださいました。

町井恵理さん
「やはり薬の管理というのが日本人だとキチッと正確に管理できるんですけど、アフリカ人だと結構アバウトで、計算とか、そういった難しさはありますね。(なにか驚かされたことはありました?)いきなり契約書の写真が送られてきて、勝手に置き薬を置く倉庫を契約されてしまったんです。誰も頼んでないのに、お金もないのに、勝手に契約書を交わされて。どうしようと思ったときに、やはり置き薬を管理する場所が必要だなと気づかされて、びっくりしたんですけど、現地には現地の考え方があるんだなと思いました。そんなところからも、現地に寄り添っていこうというところは気づかされた点です。」

やはり現地にはそれぞれの事情があるため、柔軟な対応が求められます。おおらかで明るいアフリカの人の、予想外な行動には驚いた町井さんですが、そこからより充実し、利便性を高めるやり方へ改善していこうと動いていらっしゃるそうです。

また、日本財団の中嶋さんも、国によっては、ある生薬を医薬品としてでなく、栄養剤のような感覚で捉えており、みなさんが好きなときにどんどん摂取してしまい、すぐに在庫がなくなってしまって驚いた、おっしゃっていました。

★日本では・・・『置き薬×AI』!?

習慣や感覚はそれぞれですから、その難しさはありますが、とはいえ、世界の国々で、受け入れられ活用されている置き薬。では本家本元の日本の置き薬事情はどうなっているのでしょうか。富山の置き薬の老舗、なんと明治9年(1876年!)創業の株式会社廣貫堂の代表取締役社長、塩井保彦さんに伺いました。

塩井保彦さん
「最近はここにAIを導入しようと。これはまず過去の訪問履歴を入れて、いかに的確に今日のこの曜日であれば、どうやって面談率を高めることができるかという最適の訪問ルートのコースをその日ごとにAIで解析して出す。すごいことやってるでしょ。それからもうひとつはじゃあその方がどんな悩みを持っているのかということに対して、その健康を回復する、健康を維持するために一番勧めなきゃいけないお薬もリコメンドする。まさしく私たちの世界もAIやIoTを活用することでいかに生産性を高めるか、こんなことをやってるわけです。」

なんと最新の置き薬はAIを活用する!!規制緩和により、コンビニやネット通販で以前より手軽に薬が買えるようになりました。しかもネットでは、今日注文したら明日、下手をしたら今日中に届く時代。いわば『置いておかなくてもすぐに手に入る』と思われそうな現状の中、老舗置き薬は、時代に合わせた進化をしているのです。さすが140年以上の歴史・・・しっかりと時代に向き合って生き抜いていくんですね。今後も、新しい形の置き薬の魅力が増していきそうです。

「現場にアタック」近堂かおり

近堂かおりが「現場にアタック」で取材リポートしました。