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肺炎球菌ワクチン 65歳以上は接種を!

森本毅郎 スタンバイ!

肺炎は、日本の死因の第3位になるほどの、怖い病気です。しかも肺炎で亡くなる方の97%が65歳以上で、高齢者には注意が必要です。こうした中、国は、予防接種の費用を補助する制度を行っていますが、実はその制度は、今年度いっぱい=来年3月で終わってしまうんです。そこで今日は、肺炎の危険性とその予防、そして制度の問題点について、4月16 日(月)、松井宏夫の「日本全国8時です」(TBSラジオ、月曜あさ8時~)で解説しました。

★肺炎はどのように起こるのか?

肺炎は、細菌やウイルスなどが肺に入り込んで起こる肺の炎症です。体の抵抗力が弱まったときに感染を起こしやすく、重症化すれば命を落とします。からだの抵抗力が弱まる要因としては、風邪のほか、糖尿病などの疾患があげられます。特に注意が必要なのは、インフルエンザで、気道や肺の粘膜が傷つき、バリア機能が破壊されるため、細菌などが肺に入りやすくなってしまい肺炎を起こします。また、咳をすることや、飲み込む運動がうまくいかなくなり、誤って唾液や食物が気管に入ってしまうこともあります。それを、誤嚥といいますが、誤嚥の際に、口の中の細菌やウィルスなども一緒に気管に入ってしまって、それが肺炎を引き起こす場合もあります。肺炎の症状は咳、痰、発熱ですが、厄介なのは、高齢者ではこれらの症状が出にくく、発見の遅れにつながるため、重症化しやすいともいわれます。そんな肺炎で一番多い病原菌となっている菌が、「肺炎球菌」という菌です。肺炎球菌による肺炎は、他の病原体による肺炎にくらべて、重症化しやすく、また、近年、抗生物質の効きにくい薬剤耐性菌の増加も懸念されています。

★予防方法は?

まず、私たちが日頃できることから紹介します。基本的には、うがい、手洗い、マスクとされていますが、それは完全ではありません。それぞれ、感染率を多少は下げますが、防御効果は高いとは言えません。一方で、間違いなく効果があるのは、歯磨きなどで口の中をきれいにする口腔ケアです。口の中の菌の量を減らしておくことが重要。口腔ケアこそ最も重要と覚えてください。

★公費助成でワクチン接種できるが、注意点も!

最も効果的な予防が、「肺炎球菌ワクチン」の予防接種です。これについては2014年10月から、国が定期接種として、費用の補助を始めました。ただ、これは補助の対象になる人とならない人がいて、ややこしいんです。今年度の対象者は、「今年度、つまり今年4月から、来年3月までの間に、65歳、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳、100歳になる人」。そして「今まで肺炎球菌ワクチンを摂取したことがない人」です。(つまり、1回、補助を受けた人は、その後は補助は受けられない・・)また60~65歳未満で、心臓などに、障害のある人にも認められています。この条件に該当する人は、公費助成が受けられます。自治体によって様々ですが、全額自己負担だと、1万円近くかかりますが、例えばこの放送局のある港区などは自己負担4千円、横浜市は3千円。一方、東京の小平市などは、通常費用から4千円割り引く、とされています。詳しくは、各自治体の健康関連の部署に、肺炎球菌のワクチンはいくらか?確認を

★なぜ5歳きざみなのか?

色々な狙いがありますが、重要なのは、肺炎球菌のワクチンは、効果が5年という事。ですので高齢者になった65歳で受けて、あとは分かりやすく5年きざみでと。5年たったらまた予防接種を受けよう、と覚えてもらう意味合いもあるかもしれません。ただ、この費用を補助する制度には問題があります。予防接種を広めるということで、始まったのですが、来年3月で終わってしまいます。国の説明では、導入当初から、来年3月までの期間限定の制度で、来年4月以降は、65歳の人だけ対象として、あとは自己負担で、という予定だったとしています。しかし、これは一般に広く、きちっと周知されていたものではありません。ずっと続くと思って、65歳はまだ元気なので、70で受けようと考えていた人も多い!実際、私の周囲にも65歳の時は見送った人が多いのです。そうしたら来年からは、65歳の人しか受けられない=補助を受け損ねました・・・ここは問題で、1人1回は公平に補助を受けられるようにすべきです。

★国としては補助のお金を節約しようとした?

今の制度は、65、70、75と、5歳きざみで受けられますが、最初の1回だけ、補助が出る、という仕組みです。毎回ではなく、最初の1回なので、医療費が爆発的に増えるとは思えません。また、来年から65歳の人だけになるので、補助を受け損ねた人が、そのまま、肺炎球菌のワクチンを受けるのをやめてしまう可能性もあります。そうなると、むしろ、肺炎が悪化して、医療費が増える、という試算もあります。国の調査では、毎年65歳の人全員がワクチンを接種すれば、年間5千150億円の医療費を減らすことができるという結果が出ています。これを考えると、予防接種を広げる方が、医療費の節約になるのではないでしょうか。

★できるだけ多くの人が受けられる仕組みにして欲しい

この制度が始まる前、日本の肺炎球菌の予防接種率は、わずか20%でした。しかし、今年の3月時点では、65%にまで高まり、イギリスの70%、アメリカの64%に並ぶくらいに、肺炎球菌の予防接種広まりました。しかし、まだ35%の人が受けていないことになります。来年度以降は、65歳の人は補助が受けられますが、ここまでに受け損ねた人は、補助が受けられません。効果が5年ということを考えると、毎年、65、70、75、80と、5歳きざみで受けられる仕組みを維持しても良いのでは?もちろん、最初の1回だけでなく、5年後も補助が受けられれば理想的です。制度に不満はありますが、補助が受けられなくても肺炎球菌の予防接種は受けた方がいい全額自己負担ですが、数千~一万円程度。効果の切れる、5年毎の接種がいいでしょう。

日本全国8時です(松井宏夫)

解説:医学ジャーナリスト松井宏夫

 

松井宏夫の日本全国8時です(リンクは1週間のみ有効)http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20180416080000

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