お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

放送中

放送中


  • 放送ログ
  • 音声あり

はしかの感染拡大!流行の背景と注意点

森本毅郎 スタンバイ!

はしかが今、広がっていて、ゴールデンウィークは注意が必要です。3月末に沖縄で見つかってから、全国に広がって、 4月末までに、少なくとも11の都府県で、100人以上が感染する事態となっています。はしかは感染力が強く、連休など、人の行き来が盛んな時期は注意が必要です。というわけで、今日は、はしかの流行の背景と、注意点について、4月30 日(月)、松井宏夫の「日本全国8時です」(TBSラジオ、月曜あさ8時~)で解説しました。

★はしかは甘く見てはいけません

よく慣用句のように「そんなものは、はしかにかかるようなものだ」と使われ、まるで「放っておけばすぐ治る」と思われがちですが、甘く見ると命にも関わります。

はしかになると、まず、38〜39度前後の発熱が続き、全身の倦怠感、そして、咳、鼻みず、くしゃみ、そして、結膜の充血、目やになどが出てきます。乳幼児では、下痢、腹痛を伴うことも多くみられ、体力が消耗します。その後、発疹が全身に広がり、熱は、発症から10日前後、長引くことになります。熱が下がっても、発疹が消えるのには時間がかかり、しばらく黒ずみ、長びきます。

ちなみにはしかは、医学的には「麻疹(ましん)」=植物の麻の発疹と書いて麻疹と呼びますがこれは、発疹が、麻の実のような、色、形だからだそうです。今では麻の実を知っている方も少ないと思いますので、ピンとこないかもしれません。

問題は、はしかは命にも関わることがあるので、甘く見ないほうがいいということです。注意しなければならないのが、合併症で、はしかのおよそ3割に出ると言われます。合併症のおよそ半数は肺炎で、また頻度は低いのですが脳炎、脳の炎症もあります。この二つの合併症は、はしかによる二大死因となっていて注意が必要です。そしてもう1つ、妊婦の場合は、流産の恐れもあるので、これも注意が必要です。

★なんで、はしかにかかってしまうのか?

これが厄介な問題なんです。はしかは、はしかのウイルスによって引き起こされる感染症ですが、このはしかのウイルスが、非常に感染力が強いんです。せきやくしゃみによる飛沫感染だけでなく、空中を漂うウイルスを吸うだけで感染します。

感染力はウイルスの中で最も強く、インフルエンザウイルスの10倍と言われます。教室や体育館などの閉鎖空間で発症者がいると、免疫を持たない人は、直接くしゃみを浴びなくても、90%以上の確率で発症すると考えられています。

実は今回の流行のきっかけは、たった1人の外国人旅行客から始まりました。3月末、沖縄にやってきた、台湾の観光客が、はしかに感染していました。この方が、那覇、糸満、北谷、名護などの商業施設、観光施設、飲食店を回り、その周辺の人から、沖縄に感染が広がりました。そうした中で、今度は、名古屋から沖縄を旅行した日本の観光客が、感染。この観光客は、沖縄の後、埼玉を経由して、名古屋に戻ったそうで、こうした人々の動きから、どんどん広がりを見せているのです。

一人の感染者がいれば、全国100人以上に広がる、感染力の強い病気です。

★どうすれば予防できるのか?

ウイルスというと、マスク、手洗い、うがい、と思いがちですが、はしかはダメです。インフルエンザの10倍の感染力とも言われますし、はしかのウイルスはとても小さく、マスクでの予防は困難なのが現実です。

結局、唯一の予防方法は、ワクチン接種です。ただ、現在では、日本では、定期接種としてMRワクチン=はしかと風しんの混合ワクチンを2回接種する制度になっています。1回目は生後1歳から2歳の間です。基本的には1歳になってすぐと考えてください。ただ、1回の接種では、免疫ができない人、免疫が続かないケースが5%程度あります。そこで2回目として、小学校就学前の1年間に接種することになっています。

この2回の接種には、公費助成が適用されるため、費用はかかりません。

★予防接種があるのに、なぜ感染が広がっているのか?

問題は、こうしたワクチンを2回接種する仕組みは、日本では2006年からなんです。日本では1978年から定期接種が始まりましたが、当初は1回の接種でした。ただ、1回では、完全ではないことが、その後わかり、2006年から予防接種の回数を2回とすることになりました。この時に、「今まで1回しか接種してない人は、もう1回接種しましょう」として、1回世代の高校生などにもさかのぼって、もう1回ワクチンを受けるようにしました。

ただ、このやり方に問題がありました。2回接種を目指し、1回しかワクチンを接種していない人に接種を呼びかけましたが、その対象が、1990年4月2日以後に生まれた人に限られていたんです。つまり、1990年4月1日より前に生まれた人は取り残されてしまったんです。

今回の沖縄の流行でも患者の多くが20代~40代、つまり、この2回接種の対象から漏れた1990年以前の世代が感染した、というわけです。

★1990年以前なら、もっと高齢者がいても良さそうですが?

高齢者に、はしかが少ないのは、別の理由があります。日本でワクチン接種が始まったのは1978年なので、これより前は、はしかが日常的に流行していたので、多くの人が抗体を持っています。というわけで、再びはしかにかかる可能性は低い、というわけです。

結局、はしかに最も注意すべきは、1978年ごろから1990年に生まれた人で、これまで、はしかになったことがなく、かつ、ワクチンを接種していないか、接種していても1回だけ、という人。

★ワクチンを打ったかどうか、覚えている人も少ないと思いますが

ワクチン接種を受けると母子手帳に記録を残すことになっています。母子手帳で確認できない場合は医療機関で検査することも可能です。

よくわからない場合は、ワクチンを打ってしまうということも1つの手段です。

女性の場合、妊娠してしまうと、もうワクチンを打つことは出来ません。妊娠の予定のある方は、ご自身がこれまで2回、予防接種を受けていたかどうか、確認しておくのがいいでしょう。

今回、沖縄ではしか流行というニュースを受けて、旅行をキャンセル人が出ています。ただ、過剰な心配も問題です。最も注意すべきは、1978年〜1990年に生まれ、これまで、はしかになったことがなく、かつ、ワクチンを1回しか摂取していない人。ちゃんと2回摂取された方は感染の可能性は低いので、キャンセルしないで旅行に行かれてもよいでしょう。

 

日本全国8時です(松井宏夫)

解説:医学ジャーナリスト松井宏夫

 

松井宏夫の日本全国8時です(リンクは1週間のみ有効)http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20180430080000

radikoで放送をお聴きいただけます(放送後1週間まで/首都圏エリア無料)