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「不登校新聞」創刊20年。不登校が増えるGW明けに伝えたいこと▼人権TODAY(2018年5月5日放送分)

人権TODAY

毎週土曜日「蓮見孝之 まとめて!土曜日」内で放送している「人権トゥデイ」。様々な人権をめぐるホットな話題をお伝えしています。

今回のテーマは・・・『「不登校新聞」創刊20年。不登校が増えるGW明けに伝えたいこと』

不登校の割合は20年で1.5倍に増加

ゴールデンウィークもあと2日となりましたが、ゴールデンウィーク明けは、夏休み後の9月①日に次いで、新たに不登校となって悩む方が多くなる時期です。そんな中今回は、不登校に特化した新聞「不登校新聞」を取り上げます。

不登校当事者のインタビューや、不登校支援に関する情報が掲載されている「不登校新聞」。この5月で創刊から20年を迎えました。最新号では、不登校をめぐる20年間の変化についても触れられていて、不登校の児童生徒の数は20年間で10万人から13万人、割合としては1.5倍増えています。その背景について不登校新聞の編集長、石井志昴さんに聞きました。

「不登校新聞」編集長・石井志昴さん
20年前には分かっていなかった、あるいは新しく出てきた要因がたくさんあります。1つは、いじめが生まれやすい「クラスカースト」が確立したということ。それから「厳しい校則」細かく厳しい校則が増えているということ。ざらには、発達障害や人とは違った特徴を持つ気質を持つ子供たちがいると分かってきたこと、この3つが大きな点ですね。

1つ目の「クラスカースト」は、クラスの中に上・中・下のピラミッド型の上下関係がありその構造がいじめにつながりやすいということ。2つ目の厳しい校則は最近「ブラック校則」ともいわれていますが、例えば全校生徒の前で「何月何日までに髪を黒く染めてきます」と誓わせられる。このような監視体制の厳しさから、学校に行きづらくなるということです。3つ目は、発達障害の他、人一倍敏感な気質の子(HSC=Highly Sensitive Child)が先生の怒鳴り声や騒音にびっくりして、身動きが取れなくなってしまい、不登校につながるケースが明らかになっています。1つ目の「クラスカースト」については、当事者の方に体験談を伺いました。

「いじられキャラ」を演じなければ、クラスで存在を認められない…

高校3年生の時に不登校となった水口真衣さん(21歳)
権力がある人と、いじめとかの対象になっちゃう人と、そうじゃない間はいると思ってて、私も多分最初は間だったのがだんだんと下になってったのかもしれないし分からないんですけど…「いじられキャラ」っていう名前をつけられてというか、いろんなこと笑われるし、一発芸させられるとか、何をその人たちに言われても笑って耐えてましたし、私が行けなくなった原因もそれに耐えられなくなったというよりは、不登校になる前に本人たちに言ったこともあったんですけど「じゃあもういなくていいよ」って言われた、そしたらもう私の居場所って無くなっちゃうので、家から出れなくなったって感じだったんですけど、本当にカーストは多分どの学校でも、私は中学でも高校でもなんとなくは感じてました。

クラス内で与えられたキャラを演じることを強いられ、暴力や無視といったいじめより複雑な状況になっていることが分かります。水口さんは高校卒業後に就職しますが、うつ病と診断され、引きこもり状態となります。そんな中、ニュース番組でたまたま不登校新聞の特集を見て「私と同じように悩んでいる子がいるんだ」と興味を持ち、水口さんは不登校新聞の活動に参加するようになりました。不登校新聞は不登校・引きこもりの当事者130名が「子ども若者編集部」として紙面づくりに携わっています。最近では「かがみの孤城」で今年の本屋大賞を受賞した辻村深月さんにインタビューしたということで、その時のエピソードを水口さんに聞きました。

いじめてきた人たちを「許さなくていい」

不登校経験者・水口真衣さん(21歳)
辻村さんの本は学校に行けない子たちの話だったので、読んで思ったことを質問させてもらったんですけど、いじってきた、いじめてきた人たち、その人たちって今自分の夢を叶えようとしてたりとか、楽しんでる姿をSNSとかで見れちゃうので、「許せないな」っていう気持ちが出てきちゃって、でもそのままだと自分も苦しいし、許さなきゃいけないんじゃないか、みたいな気持ちを持ってるんですけど、ということを辻村さんにお話させてもらったら「許さなくていいです」とはっきり言ってくださったことが自分の中ですごいすっきりして、そこからあまりそのことを考えなくなったしSNSを見なくもなったし、というのがあったかなと思います。

かがみの孤城

辻村さんも含め取材を通じていろんな方の話を聞き、気持ちの整理につながっているということでです。例えば水口さんは、引きこもりを脱して通信制の大学に行くか行かないか、不安で迷っていた時期に、演出家の宮本亜門さんから「不安なままでいい。やりたい気持ちがあるなら絶対大丈夫」というアドバイスをもらい、去年から通信制の大学に通い始めました。「不登校新聞」の活動を通じて、今は新たな居場所を見つけた水口さん。現在では社会全体でも、不登校の子に対する対応が変わってきています。

「不登校は問題行動ではない」学習指導要領も変化

「不登校新聞」編集長・石井志昴さん
2年前に不登校に関する法律が出て、子供に今適切な情報を提供するようにと。今はフリースクールやホームエデュケーションの情報を提供する学校も増えてきました。他にも「不登校は問題行動ととらえてはならない」と学習指導要領の中に盛り込まれたんですね。私自身はフリースクールで十分に自分が受け入れられて、学校に行かなかったから自分の命が救われた。今の自分でいいんだという風な気持ちを持てたことが不登校新聞の活動をしていくことにつながったなと思ってます。

学校に行かない子たちが集まる「フリースクール」や「夜間中学」、在宅で学ぶ「ホームエデュケーション」など、学校以外の選択肢を国や学校も薦める動きになってきています。水口真衣さんは「もし学校に行かない期間に苦しくなっちゃったなら、ちょっと外に出てみると違う世界が広がっている、自分で違う場所に居場所を作っていくのもいいと思う」と話していました。

(担当:中村友美)