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「色」ってなんだ? / 色彩心理学者・坂田勝亮さん

久米宏 ラジオなんですけど

TBSラジオで毎週土曜日、午後1時から放送している「久米宏 ラジオなんですけど」。
5月5日(土)放送のゲストコーナー「今週のスポットライト」では、女子美術大学教授で色彩心理学者の坂田勝亮(かつあき)さんをお迎えしました。

坂田勝亮さん

坂田さんは女子美術大学で「色」が私たちの心理に働く効果などを研究する「色彩学」を教えています。「色」についてあらためて伺ってみると、不思議なことや面白い話がたくさんありました。

坂田さんは、1958年、東京都世田谷区で生まれて、幼稚園から高校までTBSのある港区赤坂で育ったそうです。人間がものを見て認識するしくみに興味を持ち、視覚と心理の関係をさぐる視覚心理学の研究に進みました。実は坂田さん、赤と緑が分かりにくという色覚特性の持ち主(赤色を感じるセンサーがないのだそうです)。でも色彩の研究者の中には似たような色覚特性を持つ人も少なくないから大丈夫! と言われ、1986年に日本色彩研究所の研究員となり、視覚の中でも特に色について掘り下げた研究を行うようになったそうです。私たちの身近なところでは、横浜・みなとみらい地区の景観調査や、化粧品や救命胴衣の色の研究に関わり、グローバルなところでは、国際的な色の規格をきめる仕事に携わってきました。

スタジオ風景

そもそも、色とはなんでしょう? 色は物質の性質でもなく、電磁波の光学現象でもなく、人間の感覚という「心理現象」だと、坂田さんは言います。例えば、青鉛筆は本質的には青いのではなく、青く見える光を反射しているだけで、そこから「青」を見ているのは私たちの脳です。つまり「色」は、私たちが頭の中で作りあげているものだということです。

久米宏さん

「とすると、ぼくが赤だと持っている色は、堀井さんが赤だと思っている色と全く同じではないということですね。それは人によってずいぶん違いますか?」(久米さん)

「そうです。例えば似たような色の紙をたくさん用意して、これを赤とオレンジ色に分けてくださいという実験をやってみると、その2色の境界線は人によってだいぶ違うことが分かります。一人ひとり違った、赤というカテゴリーとオレンジというカテゴリーをみんな持っているんです。また、様々な条件によっても色の見え方は変わります。このことは色を扱う上でとても重要なことで、色を考える場合には必ず意識しなければなりません。色は個人的な感覚で心理現象だということを見落とすと、カラーデザインは感性の押しつけになります」(坂田さん)

そして坂田さんは、人間にとって色は根源的にとても大事なものだと言います。なぜでしょう? それは私たち人間は「視覚的動物」だからです。地球上の多くの生き物は嗅覚に頼って生きています。もちろん視覚も使っていますが、依存度が大きいのは嗅覚です。でも人間は圧倒的に視覚に頼っています。だからこそ色の情報が大事になってくるのです。

ほとんどの哺乳類は色を赤と青の2原色で見分けています。2原色だと赤と緑は見分けづらいのです。一方、類人猿(ヒト、チンパンジー、ゴリラなど)は、ジャングルの中で赤い色と緑色を識別できる視覚を手に入れて、赤・緑・青の3原色を見分けられるようになりました。すると木々が生い茂る中で赤く熟した実を見つけることができます。あるいは、真っ赤な血が流れていたり、火が赤く燃えているのを見て、危険を察して逃げることができます。赤い色から生命にかかわる重要な情報を受け取るようになったのです。こうして生き延びたサルの仲間が、今の私たちにつながってくるのです。

スタジオ風景

「赤に惹かれる心とか恐怖心というのは、赤が生命維持と強く結びついているからなんですね」(久米さん)

「色の意味とか内容は、私たちの経験によって作られてきたと考えられています。その経験は人類の歴史の中で比較的新しいものもあれば、サルだった頃までさかのぼれるものもあるということです。地球にはいろいろな人種がいますが、赤い色を見て冷たく感じる人はいません。これは地球環境全体で共通した原因が何かあると思われます。だから色は人間にとって根源的なんです」(坂田さん)

スタジオ風景

「坂田さんはこういう話を女子美術大学で講義しているんですか?」(久米さん)

「そうですね。色彩学の講義をしていると学生たちは『絵具や染料やインクは道具だと思っていたけど、それは表現そのものであって、色は見ている人の心をコントロールしている、つまり脳をコントロールしているんだ』ということに気づいてくれるので、色のことをもっと知りたいという人は多いです」(坂田さん)

「ぼくたちは色に対してもっと関心を持ったほうがいいですね」(久米さん)

坂田勝亮さんのご感想

坂田勝亮さん

水を飲んでいる暇もないくらい、あっという間に終わってしまいました。久米さんの聞き方がとても上手で、あの話をしなきゃ、この話もしなきゃと思っているうちにどんどん時間が経ってしまいました。サルの話とかいろいろな話に広がってしまって、色についての話がラジオを聴いている方にうまく伝わっていたらいいのですが。

でもすごく楽しかったです。ありがとうございました。

「今週のスポットライト」ゲスト:坂田勝亮さん(色彩心理学者)を聴く

次回のゲストは、呉服店「田巻屋」・田巻雄太郎さん

5月12日の「今週のスポットライト」には、東京都江東区・清澄白河の老舗呉服店「田巻屋」の3代目・田巻雄太郎さんをお迎えします。デニムで作った着物が人気を集めています。

2018年5月12日(土)放送「久米宏 ラジオなんですけど」http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20180512140000

radikoで放送をお聴きいただけます(放送後1週間まで/首都圏エリア無料)