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世界卓球、突然の南北合同をどう思いますか?

森本毅郎 スタンバイ!

先日の世界卓球で、韓国と北朝鮮の女子の『南北合同チーム』が物議を醸しました。女子の決勝トーナメント準々決勝で戦うことになっていた韓国と北朝鮮が、急きょ『南北合同チーム』を結成し、戦わずして準決勝に進んで日本と対戦しました。大会の途中で突然、合同を決めたことに、メディアでは批判も聞かれましたが・・・。

「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)7時35分からは素朴な疑問、気になる現場にせまる「現場にアタック」!!5月8日(火)は、レポーター近堂かおりが『世界卓球、突然の南北合同をどう思いますか?』をテーマに取材してきました。

★韓国のかたは、合同チームについてどう思う?

今回は韓国の方はどうみたのかお聞きしてきました。日本にいる韓国の方 に伺いました。

●「国が違っても民族は一緒なので割と当たり前というか、例えば、関西と関東が別々にやっていて、同じ”ジャパン”で海外で試合をやっているのと同じ感覚ですかね。流れ的に最近の状況も含めて、いいんじゃないかと前向きに考えています。」
●「自分の認識の中ではまだまだ早いなという感覚があります。戦争があって長年ばらばらになったじゃないですか。その中で北と南は、今の状況では組み合わせるのあまりよくないと思っている。ひとつの民族と言われるけど、まだ別々のチームという感覚です。」

正反対の意見ですね。伺ってみた限りでは、年齢層に関係なく、肯定・否定それぞれありました。でも、いずれの意見もみなさん冷静に見ている印象でした。”日本にいるからかな、韓国に住んでいたらちがうかもしれないですね”と話したかたもいらっしゃいました。そして今回は、『スポーツの政治利用ではないか』という批判もありましたが、韓国の方の中にもその点に触れる意見がありました。

●「南と北が国としてちょっといい方向に行っているからこそ、世界でやるスポーツでもやったらどうかなという、理解はできますよね。だけど、実際やっている選手たちの気持ちがどうなのかなと気にはなりますよね。いちばんそれが大事じゃないですかね。元々、今は注目されているので本当にうまくいってそうなのか、裏が何かあるのかとか、いろんな意味で考えますね。」

この点が気になる、というのは分かります。今回の報道の中にも『なぜ国際卓球連盟はこうしたこと許したのか』という批判がありました。

★卓球はピンポン外交の歴史あり!

そこで関係者の方にもお話を伺ってきました。かつて日本卓球協会の専務理事を務め、現在は名誉顧問となっている森武さんのお話です。

森武さん
「明らかに、あの南北会談と米朝のニュースが国際的にいかに大きく報道されて、卓球人にまで影響したかということになると思うんです。もうひとつは、スポーツ人として反対だという人がいてもおかしくないと思う。なんで途中から強いチーム同士が一緒になって、日本が不利じゃないかという、勝敗論だけで言ったらそれも理屈として成り立つことだと思う。でも卓球というのはそういう性格、ピンポン外交をやりやすい種目。要するに、中国とアメリカのピンポン外交、それからイスラエルとパレスチナがダブルスを組んだり、そういうことを歴史的にやってきた種目。」

もちろん、森さんも『スポーツと政治は別』というのが基本的な考えです。ただ政治的には関係が悪かった国が、卓球の国際大会で交流してき、というた歴史がある。つまり、卓球の外交が政治を動かしたということがしばしばあるのです。

★日本主導で、南北合同チーム実現!!

実は1991年に千葉県で世界大会が行われたときに、韓国と北朝鮮の南北統一チームが実現しているんです。ご存知の方もいると思いますが、このときも政治利用でなく、大会の数年前から何度も民間外交を重ねて実現したそうです。
森武さんのお話です。

森武さん
「91年、千葉の世界選手権、これはちゃんと両方のチームが統一チームになって、女子団体が優勝するんですよ、中国が負けて。それをやったのが荻村伊智朗・国際卓球連盟会長です。統一チームのマネージャーがオレ。その当時は旗、それから勝ったときの歌、そういうものを決めなきゃいけない。あれひとつ決めるのだって簡単にいかないわけですよ。だって、ないんだもん。だから、あの卓球のときに初めてできたんです。」

荻村伊智朗さんは、国際的に有名な方。荻村さんは世界卓球で複数の種目で12度も優勝した方で、引退したあとは1971年の名古屋での世界卓球を通じて、当時関係が悪化していたアメリカと中国のピンポン外交にも関わった方。そして国際卓球連盟の会長になってからは、韓国と北朝鮮の統一チームでの参加も実現しました。

森さんはその荻村さんと一緒になって、南北統一チームの実現に奔走した。南北両国ばかりでなく、ほかの参加国も回って、根気よく根回しをして実現したのです。この91年の実績があるからこそ、今回の”突然の南北合同”もできたんじゃないかな、と森さん。たしかに、前回の経験があるからこそ、できたのかもしれませんね。

★ピンポン外交も一日にして成らず!

91年の合同チーム実現があったから、今回の”突然の南北合同”もできた。そして91年の南北統一チームが実現したのは、その前の日中の卓球人の交流があったからなのだそう。

荻村さんと森さんは、米中ピンポン外交が実現する前、つまり日中国交正常化の前に、10年にわたって中国とのピンポン外交を重ねてきたのです。その交流が中国を動かし良好な関係となっていた。そこで、合同チームを実現させるために中国も協力してくれたのです。

今、政治の世界の日中関係、日朝関係をみると、まだ融和ムードはない。南北や中国と交渉を続けた経験がある森さんに、この状況についてお聞きしました。

森武さん
「今、朝鮮問題は、今の政治家の人たちはへたくそ。言いにくいけども。もう少し政治的に苦労した人たちじゃないと、今の政治家さんたちはボンボンで育ってきたからちょっと政治の面が軽い。」

スポーツでも政治でも、外交というのは障害の連続。根気強く交渉し、根回しもして…。長いことそういう日々を重ねてきた森さんは、そういう苦労の積み重ねがとても大切だ、という実感があるのでしょう。政治もそういう姿勢がもう少しみえるといいのですが・・・。

森さんたちが尽力した、1991年の南北統合チーム実現を記念したバッジ

「現場にアタック」近堂かおり

近堂かおりが「現場にアタック」で取材リポートしました。