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この本は私のお焚き上げ ジェーン・スーさん『生きるとか死ぬとか父親とか』

久米宏 ラジオなんですけど

TBSラジオで毎週土曜日、午後1時から放送している「久米宏 ラジオなんですけど」。
5月19日(土)放送のゲストコーナー「今週のスポットライト」では、今やすっかりTBSラジオのお昼の顔となったコラムニストのジェーン・スーさんをお迎えしました。

ジェーン・スーさん

ジェーン・スーさんは1973年、東京生まれ。大学卒業後、レコード会社の宣伝担当や、メガネ販売店の商品企画の仕事を経て、30代で作詞やアイドルのプロデュースを手がけるようになり、2009年、雑誌でコラムニストとしてデビュー。そして2011年10月にTBSラジオの夕方の番組でレギュラーとなり、2014年の秋に初の冠番組「週末お悩み解消系ラジオ ジェーン・スー 相談は踊る」がスタート。現在は、平日の午前11時から「ジェーン・スー 生活は踊る」が放送中です。

生きるとか死ぬとか父親とか

この番組には2015年2月以来のご出演。そのときは、久米さんにそっくりだというお父さんの話題で盛り上がりました。そのお父さまのことを初めてつづった本『生きるとか死ぬとか父親とか』が出版されました。スーさんは今回この番組のために、お父さんとの会話を録音してきてくれました。穏やかで、やさしそうで、でも、どことなくとぼけた味のあるお父さんの声。ユーモラスな父娘の会話からは2人の独特の距離感が伝わってきました。

スタジオ風景

「初めてスーさんのお父さんの写真を見たときのことがいまだに忘れられないんです。ぼくに似ているという人に会ったことがあんまりなかったんですけど、この人、ぼくにそっくりじゃん! もしかして精神や根本が相当似ているんじゃないかって、ある種の恐怖感みたいなものを感じたんです(笑)」(久米さん)

「顔がものすごく似ているとかじゃないんですよね。ここで父を表現すると久米さんに対する批判になりそうで怖いんですけど、軽いんですよ、うちの父親(笑)」(スーさん)

「写真は怖ろしいもので、眼差しとかレンズに向かう姿勢でその人の本質が出るんですよ。お父さんがいま80歳でしょ。ぼくがもうすぐ74歳なんです。あと10年、歳を取るとどうなるんだろうということを想像しながらこの本を拝読したので、涙が出そうになったところがいっぱいあるんです」(久米さん)。

「そう言っていただいて嬉しいです。父の人生に私は完全には寄り添えないので」(スーさん)。

「それは無理です。ぼくが息子だとしてもあんなオヤジは許せません(笑)」。

「愛嬌ですべてを乗り越えて、頑張って今日までやってきて偉いなあと思いますけど、他人(ひと)のお父さんだったら面白くてよかったのにと思います(笑)。高度成長期に社会で働いて、自分の会社を持って、どんどん商売を大きくしていって、ビルも建てて。結局、株で失敗して、ビルは人手に渡っちゃいましたけど、楽しかっただろうと思いますね」(スーさん)

「この本を読んでて最大の救いはこのお父さんがぼくのお父さんじゃないってこと(笑)。だって大変だもん」(久米さん)

「大変! 兄弟がいないので一人で引き受けてますけど。母親が他界して20数年、紆余曲折ありましたけどようやく親子の形になってきました」(スーさん)

スーさんがお父さんのことを書こうと思ったのは、20数年前に若くして亡くなったお母さんの人生を聞いたことがなかったという心残りがあったから。お父さんにはそういう後悔をしたくないと思ったのがきっかけになったそうです。実はスーさんとお父さんは、かつてはほとんど絶縁状態だったこともありました。それでもお母さんが2人の緩衝材になっていました。そのお母さんがいなくなって初めて、ぎこちなくも父娘が向き合うことになったのでした。そしてお父さんがもうすぐ80歳を迎えるというタイミングで新潮社のPR誌「波」での連載の話があり、今まで知らなかった父のことを聞くことにしたのです。

久米宏さん

「スーさんのお母さんはお父さんより6つ年上で、しかもものすごい美人。お父さんは甘えるばっかりでしょう」(久米さん)

「そうなんです。まだ甘えてます」(スーさん)

「大学のときに結核を患って、大手術をして、結局大学に行くのを諦めて仕事を始めちゃった男が、どうして映画雑誌の編集の仕事をしていた切れ者の6歳年上の女性と結婚できるのか、信じられない。同棲していたけど、一回追い出されてるでしょ」(久米さん)

「母方の親族に反対されていたんです。追い出されてからも母親のことを想って、想って。それでばったり池袋で母に会って、君のことが好きなんだ、会いたかったって言ったら、お母さんがぱっとカギを渡して、“家に帰って待ってて。私は仕事に行ってくるから”って。そこからまた一緒に住みだしたんです。結局、かわいくてしょうがなかったんだと思います、母は」(スーさん)

スーさんの『生きるとか死ぬとか父親とか』にはお父さんのほかに、いつも元気だった亡くなったおばさんや、生まれたばかりの親戚の子の話も出てきます。

スタジオ風景

「この本には、生まれて、一生懸命生きて、そして順番に死んでいくということがベースにある。その中でスーさんはいまたまたまラジオの仕事をしているけど、そんなことも時間がたてば泡沫(うたかた)の夢のようになっていく。そういうことを前提としてこの本は書かれていているというところが、いちばん素晴らしいと思ったんです」(久米さん)

「ありがとうございます。そんなことを言っていただけるなんて」(スーさん)

「みんな順番なんです。放送でしゃべるということも、バトンタッチみたいなところがあるんですよね。前の世代から次の世代へ。そういう意識をスーさんが持ってるんだなということを、この本を読んでとても感じました」(久米さん)

「いまやってることは、どこを取っても、人生の中の通過地点なんだなということ。親を見ていても、叔母を見ていても、生まれたばかりの赤ん坊を見ていても、そう思いますね。ある地点だけが大きな意味を成すものじゃないんだなって」(スーさん)

「この本に書いたことは、もう売り物にしない方がいいかもしれないですね。これは心の中にしまっておいたほうが本物になるような気がしました。ジェーン・スーはこういうものはかなぐり捨てていく。それが次のステップじゃないかなと、読んでいて思ったんですよ」(久米さん)

「この本を書いたことによって、自分の中のお焚き上げが終わった感じがありますね。理想の家族みたいなものに固執していたのは私のほうだったし、親を採点するような気分でいたのも自分のほうだったし、でも同じものさしで娘として採点されたら赤点なわけですし。いろいろ書いていくうちに整理ができて、もう自分とは別の話になりつつありますね。お焚き上げ終了っていう」(スーさん)

「ジェーン・スー親子は貴重ではありますけど、もう独り立ちだからね。これで卒業というのがいいと思います」(久米さん)

「さあ、次は何を書こう(笑)」(スーさん)

ジェーン・スーさんのご感想

ジェーン・スーさん

私みたいな者の本をすごく丁寧に読んでくださったということが久米さんの言葉の端々から伝わってきまして、本当に感激しております。

「親のことを売り物にするのはこれが最初で最後」という久米さんの言葉は、深く胸に刺さりました。その言葉をじんわり感じながらも、やっぱり顔とかしゃべり方が父と似てるなぁと思いました(笑)。ありがとうございました。

「今週のスポットライト」ゲスト:ジェーン・スーさん(コラムニスト)を聴く

次回のゲストは、作家・薬丸岳さん

5月26日の「今週のスポットライト」には、作家の薬丸岳(やくまる・がく)さんをお迎えします。『天使のナイフ』『Aではない君と』など少年犯罪をめぐる問題作を数々お書きになっている、日本を代表する社会派作家。近日(2018年5月25日)公開の映画『友罪』は、薬丸さんの小説が原作です。

2018年5月26日(土)放送「久米宏 ラジオなんですけど」http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20180526140000

radikoで放送をお聴きいただけます(放送後1週間まで/首都圏エリア無料)