お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

放送中

放送中


  • 放送ログ
  • 音声あり

難聴の危険もあるおたふく風邪、予防接種の必要性があるのでは?

森本毅郎 スタンバイ!

先週、おたふく風邪について、17の学会などでつくる団体が、ワクチンの定期接種を求める要望書を厚生労働省に提出しました。

おたふく風邪については、後遺症で難聴になる人もいて、団体が予防の必要性を訴えて今回要望書を提出しました。日本耳鼻咽喉科学会の調査では、2015年からの2年間で、少なくとも359人がおたふくかぜで難聴となったということです。

そこで、改めておたふく風邪の症状と対策など、5月21 日(月)、松井宏夫の「日本全国8時です」(TBSラジオ、月曜あさ8時~)で解説しました。

★おたふく風邪とは?

おたふく風邪は、「ムンプスウイルス」というウイルスによる感染症です。基本的な感染経路はせきやくしゃみなどで飛び散ることで感染する飛沫感染や接触感染でヒトからヒトへの間の感染で、3歳から6歳で多く起こります。

このおたふく風邪の特徴の1つとも言えるのが、長い潜伏期間です。ムンプスウイルスの潜伏期間は 潜伏期間は12〜24日とも言われています。感染してから発症するまでに長い時間があるため、いつどこで感染したかわからないことが多いのです。

そんなおたふく風邪にかかると、まず初期症状として、発熱、そして耳の下にある唾液腺が炎症を起こして腫れます。片方だけ腫れる場合もあれば、両側ともに腫れることもあります。その顔がお多福のお面に似ていることからおたふく風邪と呼ばれるようになったそうです。ただ、お多福のお面のように、ほっぺたが腫れるのではなく、耳の下が腫れます。発熱は3日から4日続き、腫れは2日から3日目くらいにピークを迎えます。

★症状が出ない場合も

一方で、症状が出ない場合や、症状が出たとしても軽く済み気づかないということもある。症状が出ない場合もあるんですか?具体的には、熱は出ないが「耳が痛い」と子どもが訴える場合もあります。この場合熱がないとおたふく風邪とは思わないかもしれませんが、子どもが耳やあごに痛みの症状を訴えた時はかかりつけの病院で受診するのがよいかもしれません。

また、おたふく風邪の症状で特徴的な耳下腺の腫れが軽く済む場合もあります。こうした、症状がわかりづらいために気づかないうちに周りにウイルスを撒いてしまい、集団感染などの原因につながってしまうケースもあります。

「いつもの発熱と様子が違う」「熱はないが耳のあたりばかり触っている」などの様子が見られたら、注意深く子どもの状態を確認する必要があります。症状が重い、軽いに関わらず通常は1〜2週間で治りますが、まれに合併症を引き起こす場合もあります。

★合併症にはどんなものがあるのか

まれに合併症として起こる疾患は、髄膜炎や膵炎、睾丸炎、卵巣炎、そして、今回、問題になっている難聴などを引き起こす場合があります。おたふく風邪が原因で起こった難聴をウイルスの名前からムンプス難聴といいます。おたふく風邪にかかった人の千人に1人程度がムンプス難聴になると考えられています。

日本耳鼻咽喉科学会の調査では、2015年からの2年間で、少なくとも359人がおたふくかぜで難聴になったということです。また、そのうち15人は両耳に高度の難聴、290人は片耳に重度の後遺症が残ったということで、完治しないことも多く、後遺症となりやすいです。

★予防法は?

このような事態にならないための予防法の1つとして考えたいのが予防接種でおたふく風邪ワクチンをうつという方法です。全額自己負担で、金額は、地域や病院によって異なりますが、おおよそ1回あたりの料金が4000円から8000円です。

また、自治体によっては、費用の一部を負担する助成制度が設けられているところがありますので確認してみてください。予防接種を打つタイミングですが、初回は1歳から1歳3カ月の間。2回目は間隔をあけて3歳から7歳の間=つまり、小学校就学前の1年間に接種することが勧められています。

★以前は定期接種ではなかった?

おたふく風邪は、1989年にはしかと風疹をあわせた3種混合(MMR)ワクチンが定期接種となりました。ただ、その後、ワクチンの副反応=薬でいうところの副作用で、無菌性=ウイルス性の髄膜炎が1000人に1人、つまり0・1%程度の割合で発症し、1993年に定期接種から外され、全額自己負担の任意接種とされました。

0・1%というと多いですが、ただ、ここ数年の経過の結果、発症する頻度が およそ0・0002%まで減少しているという調査もありました。また厚生労働省の調査によりますと、2013年4月から去年8月に、おたふくかぜワクチンの予防接種を受けた約およそ506万人のうち、発熱や腫れなど副反応の疑いが報告されたのは0・0047%と、非常に低かったことが報告されています。

★予防接種をした方がリスクが低そうですが?

耳鼻咽喉科学会によりますと、ワクチンが無料で接種できないのは先進国では日本だけで、接種率が30~40%にとどまっているそうなんです。

予防接種をたくさん受けなければならないということで大変な部分もたくさんあります。ただ、難聴は日常生活や社会生活への負担も大きいと思います。職業選択の面でも制限がかかり、こどもの未来を狭めます。

そして、親の中にはワクチン接種のお金が出せないために子どもにワクチン接種を受けさせてあげられない人たちも多いのです。そうしたことで子どもの夢を消すのではなく、しっかり定期接種にして平等に受けさせてあげるべきだと思います。

医療先進国といわれている日本が、おたふく風邪のワクチン接種を定期接種にしていないのは、先進国では日本だけというのは恥ずべきことです。おたふく風邪輸出国と恥ずかしいレッテルを張られてしまいます。1日でも早く定期接種にすべきです。

 

日本全国8時です(松井宏夫)

解説:医学ジャーナリスト松井宏夫

 

松井宏夫の日本全国8時です(リンクは1週間のみ有効)http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20180521080000

radikoで放送をお聴きいただけます(放送後1週間まで/首都圏エリア無料)