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あの人の謝罪が炎上したのはなぜか? 吉本芸人の謝罪会見を35年間仕切った「謝罪マスター」竹中功さん

久米宏 ラジオなんですけど

TBSラジオで毎週土曜日、午後1時から放送している「久米宏 ラジオなんですけど」。
6月2日(土)放送のゲストコーナー「今週のスポットライト」では、吉本興業で様々な謝罪現場に立ち会い、数多くの会見を経験した「謝罪マスター」竹中功さんをお迎えしました。このところ政治、スポーツ、芸能界で相次ぐ謝罪会見。でもかえって批判の声が上がっているのはどこに原因があるのか、お聞きしました。

竹中功さん

竹中さんは1959年、大阪府生まれ。同志社大学を卒業して、吉本興業に入社したのがマンザイブーム絶頂期の1981年。その翌年1982年にはお笑いの養成学校「よしもとNSC」の開校や劇場のオープン(心斎橋筋2丁目劇場、なんばグランド花月)に携わり、ダウンタウンをはじめ数多くの芸人を世に送り出してきました。ちなみに、その同じ年に久米さんが横山やすしさんと共演した『TVスクランブル』がスタートしています。

竹中さんはほかにも、ナインティナインなどの映画製作も手がけるなど吉本の名物プロデューサーとして知られた方ですが、もうひとつの顔が〝謝罪のプロ〟。所属芸人のトラブルやスキャンダルのたびに、広報担当として謝罪の現場に立ち会ってきました。暴力事件、交通違反、食中毒、反社会的勢力との関係…など、お笑い芸人にとっても吉本興業にとっても致命的な有事になりかねない緊急事態に、35年間にわたって向き合ってきた竹中さんが考える「よい謝罪」とは―。

スタジオ風景

故意にせよそうでないにせよ、何らかの形で「加害者」となってしまったときは、誠意を込めて謝罪することが大事。では、誠意を込めた謝罪とは何でしょう。とにかくひたすら謝ることでしょうか? 竹中さんは、謝罪とは決して一方的なものではなく、あくまでも「コミュニケーション」だと言います。直接謝罪する場面で何よりも重要なのは、何よりも被害者の言葉を真摯に聞くことだというのです。被害者の怒りや悲しみといった感情を面と向かって丸ごと受け止める。そうすることで、被害者が何をもって加害者である自分を許してくれるすのかが見えてくるのです。そして被害者にとっても、怒りや悲しみといった感情を言葉に出すことがとても重要なのです。というのもトラブルが起きた直後は、被害者自身どうすれば自分の怒りが収まるのか分かっていないことも多いからなんです。実は被害者も加害者同様、トラブルの「落としどころ」を探しているのです。

加害者になってしまうと謝り方や記者会見、弁償や賠償に意識が集中してしまいますが、それは「処置」であって謝罪の本筋ではありません。謝罪はあくまで被害者の「心の問題」だということです。ですから被害者の心にこちらの言葉を届けることが目的なのです。自分の「謝り方」ばかりでなく、相手の「怒りの収め方」を考えれば、被害者がどう謝ってほしいかが見えてくると竹中さんは言います。

竹中功さん

「相手の気持ちに立ってみることができない人はお詫びが下手ですね。最近の大臣やお偉いさんは、自分がやったことが悪いとは思っていないから当然謝れない。本来、謝る人は気づいて反省して再発防止策まで含めて、誰が誰に何を謝るかがセットで謝罪」(竹中さん)

久米宏さん

「財務省の事務次官にセクハラを受けた被害者の気持ちが分かっていないと財務大臣は何を謝ってるのか分からなくなってしまいますよね。まず加害者が被害者に直接、謝罪の心を伝える。会見を開くのはそれからですね」(久米さん)

「会見の向こうには視聴者や読者がいるんですが、ついつい目の前のマスコミの方との言い合いみたいになっているのがこのごろ多い。本当はメディアというのは加害者と被害者の間に入るものです。視聴者や読者が聞きたいことに答えてもらうためにいるのがメディアなので、それがもっとしっかり機能するといいんですけどね。今はインターネットで記者会見が全部中継されるようにもなってきたので、実は記者のほうも見られるようになっています」(竹中さん)

「今の話を聞いていると、記者会見の司会はとても難しいことだと思いますね。謝罪会見の司会者が最も心すべきことは、やっぱり被害者のことですよね。被害者を守る、被害者に謝罪するんだということを芯に置いておけば、どんな質問が来ても司会者が謝罪会見の本筋を踏み外すことはないんですよね」(久米さん)

「何があってもブレずにそこに戻ればいいんです。日本大学のアメリカンフットボール部の問題では、無茶なタックルで関西学院の選手にけがをさせて申し訳ありませんと、そこにもってきたらいいんです。でも日大の監督とコーチの会見は、誰に向かって、どこに向かって、誰を守るのか司会者も分からなくなって、しまいには前に座っている監督とコーチの存在さえ薄れるぐらいぐだぐたになって(笑)。2時間会見やったのは何やってん! となってしまいました」(竹中さん)

スタジオ風景

こんな謝罪は最悪です。そうならないためには、「謝罪のゴール」を設定することが大事だと竹中さんは言います。

「日大の対応を見ていると、ちゃんと目標設定をしたほうがいいと思いました。目の前で起こっていることにバタバタしていて、謝罪の目標設定が見えていない。ぼくが考えた目標設定は、もう一度ちゃんと関学と日大が正面からぶつかり合う試合をする日が来て、両校のOB、OGが応援できる日が来たら、その日をもって今回の問題のゴールとしたい。そのためにじゃあ学校がどう変わらなあかんねん、体育会のあり方はどう変わるねん、チームは…と毎日やることを考えはったらいいと思うんです」(竹中さん)

「けがをした関学の選手とけがをさせてしまった日大の選手、あの2人とも被害者だし、そこには学生スポーツの問題も付随しています。それに対して日大はどう考えているかということを世間に対して日大はきちんと発表することですよね」(久米さん)

「だから理事長が出て来えへんとか、辞めへんとか言ってますけど、大学の人事がどうこうというのは内々の話。まずは学生を守る、学生の気持ちを察してやる、もっといえば学生の言葉もちゃんと聞き取るというコミュニケーションが必要だと思います。でもいま、ドタバタしているので何から片付けていいのかわからへん。メディアの人も叩けるところを探しに行っているところもある。だからもう一度、問題の根本はどこにあるかを整理して、まず誰が誰に謝るのか、誰と誰が握手するのかというのから整理すること。そして今回の問題の目標を立てるというのがあれば、みんながあれこれ考えて動きますよね。ぼくはあの両校が『よっしゃ、今日は負けへんぞ』と言って、がっちり試合する日が来たら、それがゴールだと思ってるんです」(竹中さん)

竹中功さんの著書

この竹中さんの話は、自分が謝罪しなければならない立場になってしまったときももちろんですが、謝罪会見を冷静に見るためにも有効な視点ですね。竹中さんは、いま、長年の経験を生かして「謝罪マスター」と名乗り、企業の危機管理のコンサルタントとして活躍しています。謝罪もお笑いも危機管理も、大切なのはコミュニケーション。相手の心を思いやって「言葉のキャッチボール」を繰り返していると、それがやがて「心のキャッチボール」になる。お笑いで学んだコミュニケーションのコツを、竹中さんは各地の刑務所からの出所を前にした受刑者にも伝授しています。

竹中功さんのご感想

竹中功さん

久米さんはもう、ぼくが子供のときから見ていた大スターですからねえ。久米さんはぼくの方が年上かと思ったって言ってましたけど、そんなわけがない(笑)。

久米さんには横山やすしさんが大変お世話になりまして(1982年から85年まで日本テレビで放送された『久米宏のTVスクランブル』で共演)。久米さんは誰よりも横山さんを愛して下さって、いつも笑顔でかばってくれはった人なんです。でも、放送の次の日はいつも吉本に苦情の電話がかかってきて、いつもぼくが対応してました(笑)。

でもまあ、そんな方と今日はお仕事をさせていただいて感動です。また、ぜひ呼んでください。ありがとうございました。


「今週のスポットライト」ゲスト:竹中功さん(「謝罪マスター」元吉本興業専務)

次回のゲストは、国産バナナの開発者・田中節三さん

6月9日の「今週のスポットライト」には、40年の歳月をかけて国産バナナの栽培に成功した田中節三さんをお迎えします。熱帯・亜熱帯でしか育たないはずのバナナを岡山で栽培し「もんげーバナナ」がの名前で販売しています。「もんげー」とは岡山弁で「すごい!」という意味です。

2018年6月9日(土)放送「久米宏 ラジオなんですけど」http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20180609140000

radikoで放送をお聴きいただけます(放送後1週間まで/首都圏エリア無料)