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進化を続ける大腸ポリープの治療方法

森本毅郎 スタンバイ!

ここ数年、大腸ポリープの治療に関して、大きな変化が起きています。これまで大腸ポリープの治療は「小さければ問題ない」ということで、経過観察になる場合が多くありましたが、小さなポリープでも切除してしまおうという考え方が広がってきました。また、切除方法についても、これまでは、「電気を通して焼き切る」という方法だったものが、焼かずに切除するという方法が徐々に増えてきています。そこで、以前と考え方が大きく変わってきた大腸ポリープの治療について、6月4 日(月)、松井宏夫の「日本全国8時です」(TBSラジオ、月曜あさ8時~)で解説しました。

★大腸ポリープとは?

大腸の管の表面は粘膜でできています。この膜層の一部がイボのように隆起してできたもののことを大腸ポリープといいます。いろいろな形があり、大きさも1ミリ程度の小さいものから数センチまでと様々です。大腸ポリープは、大きく2つに分けられます。腫瘍性のポリープと、それ以外の非腫瘍性のポリープです。このうち腫瘍性ポリープは、大腸がんになる可能性があります。

大腸がんは、正常な粘膜から良性腫瘍ができて、それが悪性化してがんになる場合と、一気に悪性腫瘍=つまりがんになる場合があります。去年、厚生労働省から発表された日本国内のがんの統計によりますと、がんで亡くなった方のうち、大腸がんは男性で3位、女性では1位となっているんです。大腸がんの原因となる大腸ポリープには注意が必要ということになります。

★大腸ポリープになるとどんな症状があるのか?

大腸ポリープはほとんどの場合、患者さんが自覚する症状がありません。特に、小さいポリープの場合は、まさしく症状がありません。ですから、大腸がんになる可能性のあるポリープをより早期に見つけるためには、検査を受けていただくことが重要です。大腸ポリープの検査法としては、「便潜血検査」と「大腸内視鏡検査」=大腸カメラの2つが主に行われています。便潜血検査は便中の出血の有無をみる検査で、がんがある場合に陽性になる確率は80%程度ですが、簡便・低コストなこともあり、一般の検診において多く普及しています。ただ、ポリープに対しては10%~50%と特に感度が低く、便潜血が陰性でも、内視鏡検査でポリープや早期がんが発見されることが多くあります。

★小さなポリープでも切除する時代?

そんな大腸の内視鏡検査で、お医者さんから「ポリープは見つかりましたが、小さいので経過観察しましょう」と言われたことがある方、少なからずいるのではないでしょか?大腸のポリープは基本的に5ミリ以上は切除することが積極的に推奨されています。ポリープの70%は腫瘍性ポリープです。大きくなるにつれてがんになるリスクが高まります。じゃあ5ミリ未満のポリープはどうするのかというと、切除すべきという意見と、切除する必要はない、という意見があるんです。ところがここ数年、小さなポリープであっても、腫瘍性ポリープであれば切除しようということになってきています。それはアメリカのある研究の影響だということなんです。その研究では、腫瘍性ポリープを全て切除したグループと、切除しないグループを比較研究しています。すると、ポリープを全て切除したグループは大腸がんは、大腸がんにかかる患者数も大腸がんで亡くなる人数も減ったということなんです。

ただ、それでもなお、小さなポリープは切除しないで様子をみるという小さなポリープは、がんの可能性が低いのだからリスクを考慮して切除せずに「経過観察」にすべきという考え方です。ただ、最近、実はこのリスクを負わない切除方法が出てきたのです。

★コールドポリペクトミーとは

コールドポリペクトミーです。これまでの内視鏡治療と方法は大きく変わらずただ焼かないというところだけが違います。コールドポリペクトミーで使うワイアは、細く鋭利なものを使います。電気を通して焼く、という必要はありません。多少出血しますが、30秒から90秒で血のにじみは無くなります。焼かずに切ることで、出血や穴が開くといったリスクが極めて少なくなります。ほぼ無い、というのが現状です。10ミリ以下のポリープはコールドポリペクトミーで切除するというところが増えています。そのほかにもメリットがたくさんあるんです。

★ほかにもあるメリット

血液をさらさらにする薬=抗凝固薬を使っている患者さんに有用ということです。出血のリスクがある治療だと、抗凝固薬を使っている患者さんがもし出血した場合、血液がさらさらなために出血し続ける可能性があります。そのため、これまでは抗凝固薬の服用を一旦やめないといけませんでした。しかし、薬をやめて「焼き切る」治療を行うと、脳梗塞や心筋梗塞を起こすリスクが常にありました。一方、このコールドポリペクトミーは出血のリスクがほとんど無いので、抗凝固薬をやめる必要がないのです。また、電流を通さずに切除するので、心臓ペースメーカーを装着している方や、金属製のステントが体内にある方でも治療を受けることができることもメリットです。コールドポリペクトミー、今後、さらに普及していって欲しいと思います。

日本全国8時です(松井宏夫)

解説:医学ジャーナリスト松井宏夫

 

松井宏夫の日本全国8時です(リンクは1週間のみ有効)http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20180604080000

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