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丹下健三に憧れた少年、東京2020のスタジアムを作る~建築家:隈研吾さん

コシノジュンコ MASACA

2018年6月17日(日)放送

隈研吾さん(part 1)
1954年横浜市生まれ。東京大学建築学科大学院を修了し、コロンビア大学客員研究員を経て、1990年に隈研吾建築設計事務所を設立。サントリー美術館や新歌舞伎座など国内外の建築を手がけ、さまざまな賞を受賞されていらっしゃいます。2020年東京オリンピックのメインスタジアムとなる新国立競技場の設計を手掛けたことでも話題になりました。

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JK:東京ステーションギャラリーでやっていた展覧会、観ましたよ! これまでの集大成。すごいですね!

隈:自分でも、自分のやってきたことがわかんなくなっちゃって(笑)ちょっとまとめてみようと思って。わりと建築の専門家だけじゃなくて、子どもも含めいろんな人が楽しんでくれているので。

JK:駅に併設されてるっていうのもあるけど、やっぱり隈研吾っていう名前をみんな知ってるってことじゃない? 子どもがああいう建築を見ると、影響されると思います。

隈:確かに。僕の建築っていろんな材料でできてるから、展覧会場でも子どもが興味を持って触りまくってたって言ってました(笑)

出水:展覧会では竹・木・紙・石など、建築に使われた様々なサンプルや、様々な素材で作られた建築の模型も展示されていて、ジュンコさんもお気に入りのものがあったんですよね?

JK:石のビクトリア・アルバート! スコットランドの。これがいっちばん好きでした! 追求するとここまで来るのかなって。

隈:ありがとうございます。結構ハードル高かった。場所も川の中に半分張り出すように立ってるので、工事も大変。水をせき止めて造らなきゃいけない。

JK:ああそうですか!! せき止める! これは湖ですか?

隈:河口なので、水の流れが弱くなってるところなのでせき止められたんです。

JK:スコットランドにとって最高の貢献ができましたね。

隈:いや、スコットランドの人も相当期待してて、観光の目玉にしたい、って。スコットランドには独立派と連邦派と両方いますが、どちらも応援してくれたのでうれしかったんです。

JK:ロンドンからみると羨ましいんじゃないですか? こんな新しいことをやれるって。シドニーのオペラハウスとか、そういうのを見ると行きたくなりますもんね。

隈:そうですね。スペインのビルバオのグッゲンハイムも、あれでビルバオのイメージががらっと変わったから、スコットランドの人もそういうものを作ってくれって。僕たちも想像以上に上手くできたので、造った連中もうわーっと喜んでました。

JK:実際に行って見てみたい!ってなりますよね。

隈:日本人ってまだそういう意識がないんだけど、ヨーロッパの人たちは、建築をうまく使えば町を変えられるっていうのをよくわかってますよね。

出水:素材へのこだわりはどういったところから来るんですか?

隈:建築家によっていろんなタイプがあって、同じ素材だけを追求するような人もいるんだけど、僕はある種飽きっぽいから(笑)たとえば竹を見つけたら、竹に挑戦してみようかなとか、一度竹をやったら、他にも面白いものがありそうだからそっちをやってみようかとか、好奇心がどんどん広がっていく。いろんな素材を自分自身が楽しみたいから。

JK:一つの素材だと、形だけになっちゃいますよね。素材の面白みは決まっているから。

隈:そうそう、まったくおっしゃる通り。形だけになると限界があって、敷地の制約もあるから、形で遊べることは少ないんだけど、素材が自分の道具になると、いろんな楽しみ方ができるんですよね。

JK:素材とは出会いですか?

隈:やっぱり現地に行ってみて、あれっ僕が見たこともないもので出来てる、という出会いがあると、今度はこれを使ってみよう、とかね。

出水:その土地土地でインスピレーションが湧いてくるんですね。

隈:そうですね。土地に教えられる、土地の人に教えられる、とかね。やっぱり、インターネットで検索してみてもわからなくて、行ってみて、その場所で素材を見るっていうのが重要ですね。

JK:そうよね。どれだけ量があるか、というのもあるし。本当にいいのか、とかね。私も一度竹を使っていろいろやったことがあるんだけど、スペインから竹を取り寄せたのよ。あとはデザインよね。

出水:そういった素材のこだわりというと、隈さんのお父さんも素材やデザイン、物質にこだわる方だったそうですね?

隈:うちのオヤジはサラリーマンだったんだけど、自分の家を手直しするのが趣味でね。外側は大工に作らせて、中は家族でやろうよ、って。僕が小学校の時からトントン(笑)それも、床とか天井とかも自分たちで作るんですよ。

出水:ええええ~??

JK:それ危ない!

隈:結構難しい! 上向きで作業するから力もいるし、大変だった(笑)

JK:2階なんか作ってしまって、落ちたら大変だもんね。

隈:でも、すごく明治生まれのガンコなオヤジだったんだけど、こと家のことになると、みんなで話し合いながら決めさせてくれたんだよね。

JK:それが家族の会話になって・・・どんな家に住みたいかっていうのが生活の理想ですもんね。

出水:最終的にはどんなおうちになったんですか?

隈:最終的には、木を使ってわりと落ち着いた家。でもなんか、その時の割と新しい材料のスレート板を天井に貼ってみたりね。わりと安くて、工場の外壁なんかに使ってた。今ではけっこう使うけど、当時は家の建築で使ってたところはあんまりないんじゃないかな。

JK:あたし、さっき新国立競技場の前を通ってきたんですよ! けっこうもう出来てる感じしますね。けっこうカッコいいですよね、建築の途中もいいですね。

隈:また中に入るとね、空間が広々としていて・・・いま面白いですよ!

出水:私たちは周りの壁に阻まれて見えませんが、ワクワクしますね。

JK:表に貼ってある布も、あれはあれでアートだなと思って。

隈:そうね、あのスケールで布で覆われていると、結構迫力ありますよね。

JK:あの通りはキラー通りていうんですよ。私が名付け役。1964年のオリンピック通りの時につけた名前なんです。2度目のオリンピックですね。

隈:1964年のときに、僕はちょうど小学校4年生で、オヤジが丹下健三さん設計の代々木体育館に連れてってくれた。その時あまりのカッコよさに圧倒されちゃって。誰が作ったのかってオヤジに聞いたら、丹下健三っていうすごい建築家だって言われて。えーっ!じゃ建築家になりたい!って、その時から建築家志望。

JK:よく子供のうちから建築家に憧れて・・・すごいわね、小学校4年生からもうルートは決まったのね。

隈:なんとなく、美術とか絵を描くのは好きだったんだけど、建築家は絵だけじゃない、もっと違う領域に行けそうな気がして、一生懸命勉強しようと思った。

JK:吊り天井っていうんですか? 代々木のあの空間はありえないですよね~。

隈:あれね、よくやったと思う。当時、吊り構造っていうのは土木の橋ではあったけど、建築で吊り構造なんてほとんど例がなかった時代。それに工期もすごく短くて、1年ちょっとで作っちゃった。

JK:え?! 1年で?!

隈:当時は24時間労働ができたから。働き方改革なんて時代じゃなかったから(笑) オリンピックに間に合わせるのに何交代もして仕事して・・・なにしろ初めての技術、それを短い工期のものによくやらせてもらえたな、と思って。

JK:あれは原理として、隈さんがいう「斜めの原理」なんですか?

隈:そう、丹下さんは斜めの原理をうまく使える人だった。単なる箱にはない象徴的な印象は斜めによって作られる。丹下さんはよくわかっていたと思います。

JK:でもいつも思いますか? 丹下さんを超える、って?

隈:超えるとは思ってなかったけど、ああいうものがいつかは作りたいな、という夢は思ってました。

出水:実際にご自身の手で、新国立競技場を手掛けることになって、競技場に込めた思いはありますか?

隈:やっぱり、丹下さんの建築はコンクリートと鉄の極致みたいなもの。今度、2020年はどういう時代かなと考えた時、環境の時代だから、やっぱり素材も木を使うことが日本全体をキレイにすることにもつながるから、よし、一番ぴったりな素材の木を主役にして作ろう、と。単純な思いを形にすることにしました。

JK:今回のオリンピック・パラリンピックは、復興のオリンピックですからね。

隈:そう。だから木も、基本的には47都道府県の木を全部使うんだけど、メインゲートの部分には被災した県の木を目立つところに使って、復興というものをちゃんとメッセージとして伝わるようにしていきたいですね。

JK:東日本と熊本ですね。それがずっと思い出されて、意味があって・・・

出水:東京オリンピックですけれども、日本全国から集めることによって、日本全体でオリンピックを支えるんだという気持ちになりますよね。

隈:そう。それでね、競技場の中の一番北のエリアは北海道の木。南側のエリアは翁粟野木。全部それで振り分けているんです。

JK:あらそう! 面白い! じゃあ上からみたら、日本の地図みたいね?

隈:だからね、「俺の県はこの辺かな~」ってわかる。そのわかりやすい見せ方をいま考えているところです。木の色がみんな違うんですよ。北と南では違うし、日本海側と太平洋側でも、同じ杉なのになぜか違う! それがすごく面白くてね。

JK:全部杉なんですか?

隈:やっぱり杉が一番日本全国どこでも手に入りやすいし、木目もきれいだから。屋根にはカラ松などを使ってるけど、一番目立つところは杉なんです。同じ杉でもこんなに違うなんて、大発見だった。

出水:今のお話を聞くと、一周ぐるっとしてみたいですね!

JK:聖火台はもう決まったんですか?

隈:聖火台はね、開会式の演出チームがベースに考えて、それが僕らのところに降りてくる感じなんだけど、まだこれからですね。でも聖火台はね、開会式の演出のキモじゃないですか。だからある種、演出チームとしては大事にしたいところなんでしょうね。

JK:でも、あの一体全部変わりますよね。2020年に向けて、いろんなビルが変わろうとしてますよね。オリンピックの意味が街を変えようとしている。でもまずは建築からですよね。

=OA楽曲=

M1. Fame / David Bowie