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地震対策「家具転倒防止にはネジ止め」と言うけれど・・・

森本毅郎 スタンバイ!

大阪で大きな地震(震度6弱)がありましたが、その前の日には群馬県の渋川で震度5弱の地震があったばかり。そこで、防災対策の気になる話を取材しました。

「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)7時35分からは素朴な疑問、気になる現場にせまる「現場にアタック」!!

6月19日(火)は、『家具転倒防止はネジ止めが有効と言うけれど・・・』をテーマに近堂かおりがレポートしました。

★地震直後の渋川市のホームセンターでは・・・

渋川あたりの群馬県南部はとても地震の少ない地域で、防災対策に不安をおぼえた方も多いのではないかと思い、現地のホームセンターにお聞きしました。カインズ渋川有馬店の小茂田功さんのお話です。

小茂田功さん
「やはり防災グッズの問い合わせが非常に多くなっております。非常に多いのは飲料水ですね。きのう(17日)からきょう(18日)にかけて2リットルのペットボトルの飲料水が非常に動きが出ております。あと、きのうから多いのが、防災の突っ張りポールです。天井と家具や家電の間をボールで固定して転倒防止に使うものなんですけど、いきなり電話で聞かれたり、店内で『突っ張りポールはどこですか?』という声が非常に多く聞かれたりしています。」

とりあえず備蓄用の飲料水と、家具の転倒防止の突っ張り棒を買っておこうという動きがあったようです。やはり実際に大きな地震が起こると、きちんと用意しておかなければ、と思いますよね。

★転倒防止対策、何かしていますか?

しかし、先日、5割近くの人は家具の転倒防止対策をやっていないという国民生活センターの調査結果が、ニュースにありました。そこで今度は東京で、街の方に、家で家具や家電の転倒防止対策は何かやっているか聞いてみました。

●「家具の上に突っ張り棒。家具会社に勧められてやりました。キッチンの食器棚。衣類はプラスチックケースに入れているので、そこだけです。」
●「関西なのでやってますね。天井からのつっかえ棒とガラス防散シート。」
●「ジェルシートをやってます。テレビだけ。多分大丈夫だろうと思ってる。」
●「ひとつもやってないね。地盤補強でお金かけたから。食器棚はあるけど倒れないです。ドリルでコンクリかなにかを入れるんだよね。それをやったから大丈夫じゃないかな。」

実際には、きのう伺ったうち6割の方が『家具の転倒防止は何もなっていない』でした。

対策をやっている方の中でいちばん多かったのは、やはり突っ張り棒。でも突っ張り棒は、横揺れに弱いという弱点があるんです。特に高層マンションでは ”長周期地震動”といって、通常より大きな横揺れになりますからね。

東京都が3年前に都内の全家庭に『東京防災』という防災のガイドブックを配って話題になりましたが、その中にも、『家具類の転倒・落下・移動防止対策はネジ止めが基本』と書いてあります。

★”ネジ止めが基本”なのだけれど・・・

防災のガイドブックに書いてあるわけですから、本当はL字型の金具で家具の天井と壁をネジ止めするのがいいのです。

ところが、これをやろうと思ってもできない人もいるといいます。地震防災に取り組んでいる弁護士の中野明安さんのお話です。

中野明安さん
「『東京防災』では、ちゃんと転倒防止措置を取りましょうと言っていて、転倒・落下防止対策はネジ止めが基本と書いてあるんです。ではやろうかと思ったところ、問題となるのは借地借家契約だと、このアパートあるいはマンションではクギ打ち禁止とかですね。それから原状回復義務というものがあって、もし壁にネジなどで穴をあけてしまった場合は壁を修理するのにかかった費用を
払ってもらいますよという契約になっているんです。それを見てしまうと「いったいいくら払うのかも分からない。それじゃあこわくてネジ止めなんてできない」ということになってしまうんです。」

弁護士の中野明安さんにお話を伺いました!


賃貸のアパートやマンションに住んでいる人は、転倒防止のネジ止めをしてしまうと、引っ越しのときに壁の修理費を取られる可能性があるので、それで家具の転倒防止ネジ止めでなく突っ張り棒にしたり、なにも対策をやらないということになっているケースもあるということなのです。

実際に、昨日街でも、賃貸だから突っ張り棒にしています、という声がありました。

ところが、エアコンを壁に設置したときのネジ止めのあとは、原状回復義務がないんです!

なぜなら、今ではエアコンを設置するのが一般的になっているので、そのためのネジ穴は、キズや損傷でなく、畳の色があせるのと同様の『通常損耗』ということになっているんです!!

★エアコンのキズと同様に扱ってください!

それなら家具の転倒防止のネジ穴だってエアコンと同じでいいじゃないか、中野さんは東京の都営住宅でそうしてほしいと、かけあったそうです。

中野明安さん
「家具の転倒防止であけたネジ穴については通常損耗と同じ劣化、つまり経年劣化と同じ傷だと思ってくれればそれでいいんです。そのことを最大の家主である東京都にお願いしに行ったんです。そうしたところ、「難しい」と言われたんですよ。何でですかって言ったんですけど。”まあ中野さんたちの言いたいことも分かった。ただし、こうした運用について取り決めるのは5年に一度です。 だから次は4年後です”って言われたんです。そんなことで来るべき首都直下地震に間に合うのかって、ぼくらは心配したんです。」

東京都は腰が重い。大都市の防災意識としてこれでいいのかしら?と、なんだか不安になってしまうお話ですよね。

★港区が動いてくれました!!

中野さんはあきらめることはなく機会があるごとに、この件をアピールし続けたところ、なんと、行政側に動きがありました!!

中野明安さん
「くやしいからセミナーでいろいろ言ってたら、それを聞いてくれた人がいたんです。それが港区の防災担当の方だったんです。それで防災担当の方が「これはいい。どうですか?」と言ったら、区長さんが「それはいい」と言ってくれて、翌年に実施してくれたんです。港区の区営住宅は転倒防止措置のネジ止めについては原状回復義務は免除しますと書いてあるんです。しかも港区がすごいのは、そのネジ止めも専門家がお手伝いに行きますというんです。この港区方式をぜひどこの自治体でもやってもらいたいし、東京都もやってくださいよとお願いしているところなんです。」

東京都の港区は去年(2017年)4月から、港区の区営住宅・区立住宅などは、家具の転倒防止のための壁のネジ穴については、原状回復義務を免除。区内世帯を対象に、家具転倒防止器具を無償で支給。そして高齢者世帯、障害者を含む世帯、ひとり親世帯、妊産婦世帯は転倒防止器具 の取り付けを区側がやってくれる。

行政を動かして、民間の家主側の意識も変えていこうというのが中野さんの考えなのです。

防災器具を取り付けなさいと音頭をとるだけでなく、取り付けやすい環境を整えるのも行政の仕事ではないでしょうか。

より安全だと分かっている方法の防災を、安心して行えるようになって欲しいですね。

「現場にアタック」近堂かおり

近堂かおりが「現場にアタック」で取材リポートしました。