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エンゼルス・大谷翔平選手も取り入れた「PRP療法」とは?

森本毅郎 スタンバイ!

PRP療法は、大谷選手や、ヤンキースの田中将大投手などが受けた治療でここ最近、話題となっていて、名前を聞いたことがあるという方もいると思います。ただ、あまり聞きなれないので、アメリカだけで行われている治療というイメージやスポーツ選手だけの治療というイメージを持っている方も多くいるかもしれません。

しかし、実は日本でもPRP療法は多く行われていて、国内で800くらいの医療施設でPRP療法が行われているというデータもあります。そこで、今日はこの「PRP療法」について、6月18 日(月)、松井宏夫の「日本全国8時です」(TBSラジオ、月曜あさ8時~)で解説しました。

★PRP療法とは

そもそもPRPとは何か、から説明します。PRPとは、血液の中にある血小板を多く含んでいる血漿のことで、日本語では、多血小板血漿(たけっしょうばんけっしょう)といい、英語の頭文字を取ってPRPといいます。血小板には、主に2つの働きがあります。1つは、「血液を固めるはたらき」。もう1つは「組織の修復を促す成長因子を出すはたらき」です。

みなさんも経験したことがあるかと思いますが、切り傷で出血した後、しばらくすると血が止まり、傷口は自然と塞がっていきます。その蓋をするのが血小板の塊で、いわゆるカサブタです。古いカサブタをはがしても血は出てきません。カサブタ=つまり血小板には新しい皮ふを作る働きがあるからです。

さらに血小板のこの作用は皮膚を修復するだけではなく、骨を修復したり、関節を修復したりする作用もあります。血小板のはたらきによって、自分の力で自分を治すことができます。

こうした血小板を多量に含んでいるPRPを傷んでいる部分に注入することで、自分自身がもともと持っている修復力をパワーアップできる治療がPRP療法なのです。

★どういった時にPRPが使えるのか?

PRP療法は、さまざまな怪我や病気の治療、また美容医療などにも用いられています。インプラント治療などの歯科治療や、肌再生治療などの美容医療に普及しています。また、PRPは傷口を早く閉じるはたらきもあることから、海外では手術後の傷口に対する治療にも一般的に使われています。

整形外科においても適応制限は特になく、変形性膝関節症、関節炎などの一般的な病気や、スポーツによる腱炎や靭帯損傷、肉離れなどに対してPRP療法を行います。

具体的なPRPの使い方についてみて行きます。肉離れや骨折などのスポーツ外傷に対するPRP療法の目的は早期復帰です。

たとえば、プロスポーツ選手などが全治3か月の怪我をした場合、1週間でも2週間でもできるだけ早く復帰したいですよね。このような怪我に対してPRP療法を行うことで、治療期間を少しでも短縮させ、怪我からの早期復帰を目指すことができます。

★変形性膝関節症や関節炎などにも使えるんですか?

変形性膝関節症、関節炎などに対してもPRP療法が使える可能性があります。変形性膝関節症の方に、従来の治療で効果のなかった人の中に、 この治療が有効だった人がいることがわかったのです。変形性膝関節症に対するPRP療法には、大きく2つの治療目的があります。

  1. 変形による関節炎に対する炎症を抑え、痛みを緩和するため
  2. 軟骨のすり減りなどによる変形の進行を抑えるため

関節炎に対してですが、関節内で炎症が続くと、慢性的な痛みを引き起こす原因にもなります。関節内にPRPを注入することで炎症を抑え、痛みを取り除くことを目指します。2つ目の軟骨のすり減りに対しては、血小板から出ている成長因子が作用することで、軟骨の組織を合成したり、軟骨細胞を増殖したりする効果が期待できます。

★どのように治療するのか?

おおきく「採血」「分離」「投与」の3つの手順になります。

まずは、「採血」です。PRPを作成するために血液を患者さんから採取します。採血量は病院によって異なりますが、およそ20ccくらいの血液です。

続いて「分離」です。採取した血液を遠心分離機にかけてPRPを2~3cc抽出します。

最後に、「投与」です。抽出されたPRPを患部に注入します。

治療の手順としては、以上ですが、痛みや腫れが生じることもあります。痛みは治療後から少しずつ強まり、翌日にピークを迎えます。徐々に治まっていきますが、3〜4日ほどは気になるかもしれません。

ただ、日常生活であれば、鎮痛薬を服用することでコントロールできる範囲です。1週間ほどで痛みは和らぎ、1ヵ月もすれば思い通り体を動かせるようになります。

★費用はどれくらい?

PRP療法は2018年現在、保険が適用されない自由診療の治療です。そのため費用は治療を受ける病院によって大きく異なり、数万円〜数十万円まで様々です。またPRPの注射を1回の治療あたり何本打つかによっても料金が変わってきます。

PRP療法を受けられる病院を探す際には、厚生労働省の再生医療等提供機関一覧を見ると医療機関が検索できます。目的別に3つに分類されていて、腱や靭帯、筋肉といった皮下への注入を目的とする場合は第三種。関節炎や半月板を対象とした関節内への注入なら第二種となります。

★なぜこうした表示をされているのか?

なぜこのような表示をされているかというと、PRP療法が4年前の2014年に施行された「再生医療等安全性確保法」という法律の対象になったからです。

PRP療法は自由診療ということで以前までは医師の裁量で扱うことが許されていましたが、2014年からは許可なくPRP療法を提供することが違法となったのです。専門委員会の審査を受け、厚生労働大臣の許可を得た病院のみに絞られたことで、安全性は確保されました。

ただ、まだまだ具体的な治療法とそれで得られる治療効果はまだ定まっていません。PRPの注入量や、投与する回数で結果が変わる可能性もあります。法律での安全性は確保されていますが、その効果については、やはりまだ医師の知識や経験に委ねらる治療法とだと思います。

患者さんにとってもっと身近な治療にするために、 PRP療法の精度を高めていってもらえればと思います。現時点では効果のある人、ない人と、その有効性に差があります。将来は保険適用という 声も聞かれます。それにはもっと有効性が大きく出てくる必要があると思います。

日本全国8時です(松井宏夫)

解説:医学ジャーナリスト松井宏夫

 

松井宏夫の日本全国8時です(リンクは1週間のみ有効)http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20180618080000

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