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貨物船を描いた絵本が異例のヒット!背景に「人手不足」

森本毅郎 スタンバイ!

子供向けの絵本『かがくのとも3月号「かもつせんのいちにち」』が発行部数9万部の大ヒット!なぜ、こんなに売れているのか?6月26日(火)「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)「現場にアタック」で、レポーター真野淑實(まの よしみ)が『貨物船を描いた絵本が異例のヒット!背景に「内航船の人手不足」』をテーマに取材報告しました。

★「かもつせんのいちにち」で子供たちに内航船をPR

絵本「かもつせんのいちにち」の内容は、貨物船でコイルを運ぶ船長さんの一日を追う、というかなりマニアックなものですが、発行部数9万部とかなりの反響。この絵本の作者谷川夏樹さんになぜこの絵本を書こうと思ったのか、そしてどんな反響があるのか聞きました。

3年位前にツイッターを見ていて、面白いことをつぶやかれる現役の船長さんが「内航船」ということをよく言っていて、内航船というのは日本の港と港を結んで貨物や人を運ぶ船のことですが、その貨物船の船を操縦する船員さんが今すごく不足していて社会問題になっているということを聞いた。私なりに何かできることがないかと思ったのが今回の絵本。一番反響があったのが内航船の関連団体から。各地で地元の小学校や図書館に寄贈されるということで、ものすごくたくさん注文されると聞いています。

外国の港と日本の港を結ぶ「外航船」に対して、日本の港と港をむすぶ船を「内航船」といいます。石油製品や石灰石、セメントといった資材を運んでいて、国内貨物輸送の4割以上を担う、日本の産業には欠かせない存在なのですが、一般になかなか認知されにくいという現状もあり、若手の担い手が少なく、半分は50歳以上。高齢化が進んでいます。

★内航船の船員は5人。若手の育成まで手が回らず…

そういった業界内の声を聞いた船好きの谷川さんが、小さい子供達にもとっつきやすい絵本という形で、内航船の仕事の魅力を伝えたのがこの「かもつせんのいちにち」。実際に、内航船がどれくらい人手不足で困っているのか?関東地方船員対策協議会・会長・榎本成男さんのお話です。

小型船の1500~1600トン位積む船ですと、操船するのが3名。それからエンジンを扱う人間が2人。5名というのが最低の法的な人数。で、その5名で基本的には運行している。コスト的に5人以上だとなかなか合わない。本来だったら若手育てるためにはもう1人乗せたいところなんですがなかなかそういう訳にもいかないので、なんとか5人で運行してると。

榎本さんの会社「榎本回漕店」の内航船

「かもつせんのいちにち」の中でも、全長75mという大きな船を、やはり5人で運行している描写があります。内航船の仕事の認知度が低く、志望者が少ないだけでなく、内航業界は99.6%が中小企業で若手を受け入れる体力が各企業になかなかなく、また、耐用年数の14年を超え、老朽化した船が全体の70%以上。船の改修がまず第一優先で、若手の育成にまで手が回らないという現状もあるようです。

★旅客船より地味だけど、日本の経済を支える「内航船」

そんな中、関東地方船員対策協議会では数年前から、インターンシップという形で水産系の専門学校生を受け入れ、内航業界のPRとともに、即戦力となる若者を育成する取り組みを始めています。会長の榎本さんはその経験を踏まえて、内航船の必要性をこのように訴えています。

我々、水産高校の航海をやっている方も受け入れているんですけど、そういう人たちはやっぱり水産系の方にも行きますし、必ずしも全員が我々の所に来てくれる訳でもないですし、旅客船とかもありますからそっちの方に行く方もいらっしゃる。直接我々が手にとるようなものを運んでいないかもしれないけど、逆に言うと、一番基礎になる所のものを我々は運んでいる。もし我々の船が止まるようなことがあると、日本の工業、経済というのがものすごい打撃を受ける。そういった意味では我々が仕事をすることによってこの国自体も成り立っているという使命感はあると思うんで、我々の仲間に加わって、一緒に働いてくださればと思ってます。

関東地方船員対策協議会も「かもつせんのいちにち」を学校などに寄贈しています

内航船は、石油やセメント小型の船でも1500トン一気に運べます。一般的な10トントラックの150倍です。しかも、船は環境に対する負荷も少ないことから、陸上輸送から海上輸送に切り替えようという機運も高まっています。

★「内航船の日」に、船員たちの写真展を開催

若い内航船船員さんを増やしていくことも重要ですが、絵本の作者の谷川さんは、内航船の認知度をさらに高めるための活動を行っています。

7月15日を、ナイコーで語呂合わせなんですけど、「内航船の日」と呼びましょうというような働きかけをしたところかなり多くの方の賛同を得まして、墨田区の銭湯で7月15日~30日の間、現役の船員さん達が撮られた写真展が行われます。自然の中で美しい風景を見ながら働けるというのが私から見ると一番うらやましいなど思ったもので、夜が明けて、朝日が輝く中で入港していくシーンがあるんですけど、そういったシーンがよくツイッターでも上がっていて、いつか絵本を書くんだったらこの朝のシーンは絶対書きたいなと思ってました。

谷川さんお気に入り。朝日と内航船の風景

写真展は来月7月15日から墨田区の「大黒湯」で開かれます。ツイッターで「内航船の日」で検索すると既に、現役の船乗りさんたちが船の上から撮った写真がたくさん見られます。榎本さんのように業界内で盛り上げる動きもあれば、谷川さんのようにファン目線で内航船の魅力を発信する動きも生まれています。それぞれの活動が、人手不足の解消に結びつくといいですね。

 

真野淑實

真野淑實が「現場にアタック」でリポートしました!