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W杯はゴールネットにも注目!異分野で頑張る漁網メーカー!

森本毅郎 スタンバイ!

サッカーのワールドカップ、日本対ベルギーの熱戦!!多くの方が両チームのゴールシーンに一喜一憂だったかと思います。そんな中で、ゴールはゴールでも、ゴールのネット、つまり”網”に注目して観ていた方がいるというのです・・・。

「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)7時35分からは素朴な疑問、気になる現場にせまる「現場にアタック」!!7月3日(火)は、『W杯はゴールネットにも注目!異分野で頑張る漁網メーカー!』をテーマに近堂かおりがレポートしました。

★W杯ロシア大会。ゴールネットに不満あり!

ゴールネットを見ていたのは、愛知県豊橋市にある『福井ファイバーテック』という繊維加工メーカーの社長、福井英輔さん。実は福井さんの会社は、サッカーのゴールネットを作っているのです。

福井英輔さん
「よくキーパーの後ろ、カメラがネットの裏からフィールド全部を映すときがあるでしょう。あのときに、「目合い」という六角形の大きさが小さい、今度の網の目は。大きさと糸の太さね。今度のは六角形が小さい、太い。ネットだらけですよ。今度、日本の試合を見てください。Jリーグなんかネットが結構すっきりしてますから。そうやって比べると、よく見てちょうだい、きょう(W杯)見たら分かるよ。太いし、六角形だらけですよ。」

六角形というのは、ネットの網目のこと。福井さんが怒っているのは『六角形の網目(目合い)をもっと大きく、糸は細くしないと、ゴール裏からの映像になると網目がじゃまだよ!」ということなのです。なぜそこまで網目にこだわるのかというと、実は日本で初めて六角形のゴールネットを作ったのが福井さんの会社だからなのです。福井ファイバーテックのネットは、Jリーグの多くのスタジアムで使われていて、2002年日韓ワールドカップのときのゴールにも採用されていました。

★六角形のゴールネットだと、何が違うの?

しかし、ゴールネットの網目って、昔は四角形だったような・・・。でも大きな舞台ではかなり以前から六角形に変わっていていました。四角形の網目と六角形の網目では何が違うのか、福井英輔さんに教えていただきました。

福井英輔さん
「ぐーっとボールを包み込むようになるはずですよ、六角形のほうが。30~50センチぐらい後ろに伸びるんじゃないかな、六角形のほうが四角形のネットよりも。だからボールが入ったところでグーンて止まっていたらかっこいいじゃない、ぎゅーっとネットを突き上げるような勢いのある感じがね。四角形だとバンと跳ね返って下に落ちるね。ゴールに入って”ゴォォォォォォル!”っていうのと、パンと跳ね返ったら”ゴオル。”で終わっちゃうじゃない。”オォォォォォオ!”っていうのと”オ。”で終わるのとでは全然感動が違うでしょう。」

六角形の網目のほうが、ボールがゴールに突き刺さって、とどまっている時間が長い。つまりよりダイナミックなゴールシーンとなる。ということなのです。何を隠そう、福井さんは、元サッカー選手。慶応義塾大学のサッカー部で活躍して、実業団のヤマハ(今のジュビロ磐田の前身)でプレーした方だったのです。だからこそ、ゴールシーンにも、ネットが観戦の邪魔にならないことにも、こだわりがあるんです!!

★実は魚網メーカーがサッカーネットを作りました!!

福井さんは1989年、34歳でヤマハを退職して、実家の家業に入りました。それが福井ファイバーテックですが、元々この会社は、サッカーとは無縁。漁師が使う網『漁網』のメーカーなのです。それがどうして日本初の六角形のゴールネットを作ったのか? 福井さんのお話です。

福井英輔さん
「1990年のイタリア・ワールドカップをテレビで観ていたら、六角形になってたのよ。ちょうどそれが昼間、六角形の土木用のネットの開発会議をやってたの。それでテレビを観たら六角形のゴールネットになってるでしょ。イタリアにうちの漁網のライバル会社がいてね、ラッセル漁網の。そいつらが作ったなと思ってね。こりゃあなかなかイタリア人はセンスがいいなと思って。負けてはおられんなと。」

元サッカー選手だからワールドカップが気になって観ていたら、漁網メーカーだからゴールネットにも目が行った、というわけです。六角形のネットを編む技術には、魚網の技術が大いに活かされている。だから、きっとイタリアのライバル会社が開発したに違いない!これは負けてられないぞ!と意気込んだのです。

★拡大する魚網メーカーの活躍の場!!

調べてみると、いま、『漁網』というのが、海以外のところ、つまり私たちの身のまわりの様々な分野に進出しています。

例えばアメリカのメジャーリーグの球場では、今年からバックネット裏以外の観客席にもボール除けのネットを全30球場が拡大したのですが、そのうち20の球場で、日本の『ニチモウ』という漁網メーカーの技術が使われています。

また、多くのトップアスリートが愛用している『エアウィーヴ』というマットレス。これを製造している会社も、元々は漁網を編む機械のメーカー。

漁網業界というのは、もう30年ぐらい前から下り坂だと言われるなかで、ぞれぞれが別の分野に新しい展開を図っていったそうです。江戸末期に創業して220年あまりという、日本でいちばん古い漁網メーカー、三重県四日市市の『アミカン』の会長、伊藤勘作さんのお話です。

伊藤勘作さん
「まず漁業が、マグロとかカツオとか漁獲制限が出てきて、そういう規制もありますし、それからもうひとつは、やはり漁業の後継者がなかなか少なくなってきているということもありまして、水産用の網はだんだん需要が減ってきているんですね。それを埋め合わせているのが陸上用途の網ということで、量的には、海で使う網よりも陸で使う網のほうが目方は多くなっていますからね、今はもう。だから、これは日東製網という会社が試験的にやったんですけど、宇宙ゴミを集めるのにカネ(金属)の網を作りまして、それで回収しようかと、そういう分野もありますしね。」

伊藤さんの会社も、建築、土木、スポーツと分野を拡げており、どんどん多角的になっているそうです。これから「え?こんなところにも魚網の技術が?」ということが増えていくと思いますよ、と伊藤さんはおっしゃっていました。

また、福井さんの会社も、サッカーのゴールネット以外にも、下水道の補修工事や、クルマの運転席下に敷く滑らないシートなど様々に展開して頑張っています。ちなみに、国内シェアも高いというサッカーのゴールネットでは、さぞかし売上があるのかとお聞きしたら・・・

●「うちのネットは丈夫でずっと使えるから、買い替えなし。だから儲かりません!」

ということでした(笑)。

ワールドカップ、日本は残念ながら負けてしまいましたが、決勝戦までの残りの試合を観るときは、ぜひゴールのネットにも注目してみてください!!

「現場にアタック」近堂かおり

近堂かおりが「現場にアタック」で取材リポートしました。