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障害児が通う「放課後等デイサービス」報酬改定の問題点▼人権TODAY(2018年7月7日放送分)

人権TODAY

毎週土曜日「蓮見孝之 まとめて!土曜日」内で放送している「人権トゥデイ」。様々な人権をめぐるホットな話題をお伝えしています。

今回のテーマは・・・『障害児が通う「放課後等デイサービス」報酬改定の問題点』

「放課後等デイサービス」の活動とは?

障害のある児童を放課後や休日にあずかる「放課後等デイサービス」。今回は、自閉症やダウン症、発達障害といった知的障害の高校生10名ほどが通う、江東区の「まつぼっくり子ども教室」を取材しました。

月曜日は「みんなで夕飯を作る日」。レシピ本を見ながら、メインのおかずは何にする?それにに合うサラダは?スープは?など話し合って決め、スーパーに食材を買いに行き、調理を行うという流れです。

ただ、なかなか調理に集中できない子も。例えば包丁を持ちたくないという様子で床に寝転がってしまった子もいたのですが、スタッフさんがマンツーマンで面倒を見て、一緒に手を添えてきゅうりを切るなど、できる範囲でそれぞれ役割をこなしていました。

室内活動では工作もよく行われます。

水曜日の「みんなで遊ぶ日」は、みんなで何する?どこに行く?と話し合い、例えば歩いてスカイツリー方面まで行ったり、室内で工作をしたり。他には特別支援学校から徒歩やバスで一人で教室まで通う練習、近所のコンビニで買い物をして、カップラーメンを一人で食べる練習など活動は多岐にわたります。障害のある子供達は一人で何かをする機会がなかなか少ない中で、将来の社会的な自立に向けて「一人でできた」という体験を積み重ねることを重視しています。

放課後等デイサービスが、報酬改定で経営の危機に

「放課後等デイサービス」は全国におよそ1万1000か所、17万人の子供達が通っていますが、今年4月の報酬改定によって今、多くの事業所が経営の危機にあるそうです。

まつぼっくり子ども教室の所長で、「障害のある子どもの放課後保証全国連絡会(全国放課後連)」の事務局長・田中裕子さん
国からは「放デイは儲かっているんだからもうちょっとお金を下げてもいいんじゃないか」という。同時に、報酬単価を下げることで質の悪い所は撤退するかな、みたいな思惑も厚労省にはあったのかもしれないんですけど、ただ下がっただけじゃなくて、区分に分けられたんですね。障害の重い子を受け入れている所は区分1に。そうじゃない所は区分2に。全体の報酬単価が下がった上に、区分2になってしまうと前の年と比べて下手すれば300万ぐらい減収になってしまうんです。

区分1でも、100~150万円の減収になってしまうといいます。そもそもなぜ報酬を下げられたのか。事業所の中には、活動の質より利益を重視して、人件費を抑えようとしている所が少なくなく、全体的に、国からの給付金に対していっぱい儲けが出ているという数字が出てしまったのだそうです。しかし優良な事業所は、そのあおりを受けている状態です。全国放課後連では、今回の報酬改定の影響について各事業所にアンケートをとったところ、「事業廃止の危機」が20%、「人員の削減」が36%、「人件費の削減」が49%でした。

「2018年度報酬改定における報酬区分による事業所運営への影響についての緊急アンケート」より

「「区分1」「区分2」の指標がいいかげん

「全国放課後連」の田中さんは、今回の報酬改定の問題点をさらに指摘しています。

「全国放課後連」事務局長・田中裕子さん
指標による判定がすごくいいかげんだったんです。本当に地域によってやり方がバラバラで、時間が無い、人手が無いからとりあえず区分2でスタートしてくださいっていう自治体もあったんです、だからって新指標に基づいて判定をされた所がきちんと判定をされたかというと、ほとんどの子が該当にならなかったんですね。結果、8割を超える事業所が区分2になってしまうという結果が出たんですね。

全国放課後連では、きちんと判定をしなおしてほしいとして厚生労働省に要望を出しています。ただ、それは根本的解決ではなく、障害が軽くても、逆に一人で行動ができるからこそ、罪の意識がないまま犯罪に巻き込まれるケースもあるため、きちんと支援が必要として、区分で報酬に差をつける方法そのものにも疑問を示していました。現状、各事業所が今年の夏のボーナスをカットするなどしてなんとか耐えている中、このままでは人員削減、さらには事業を廃止してしまう所が出てきてしまうかもしれません。

放課後等デイサービスは、保護者にとっても必要な場所

「まつぼっくり子ども教室」に通う高校2年生・南波響くんの母、有美さん
ちょうど3つ下に中学2年生の女の子がいるんですけど、彼女は学校が終わった後部活に行って、土日はお友達とお出かけして、それは当たり前の生活だと思うんですけど、響に関してはそれがまったく一人でできない。ここに通うようになってから、子供が充実した余暇を過ごせるだけじゃなくて、家族に何かあった時、どんな時でも預かってくれる。まつぼっくりの人員が減ってしまったり、そういうことがこれから起きると、すごく不安はありますね。

お迎えに来た保護者一人一人に、お子さんの様子を伝えています

「まつぼっくり子ども教室」は、子供10人に大してスタッフ7人。ほぼマンツーマンのような形で響君に接してくれることが安心につながっているため、人員が減ってしまうと困るという有美さん。こういった現場の声にしっかりと耳を傾けてほしいですね。

(担当:中村友美)