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アイヌとマオリ、日本とニュージーランドの先住民族の交流▼人権TODAY(2018年7月14日放送分)

人権TODAY

毎週土曜日「蓮見孝之 まとめて!土曜日」内で8時15分頃から放送している「人権トゥデイ」。様々な人権をめぐるホットな話題をお伝えしています。

今回のテーマは…2018年7月14日放送「アイヌとマオリ、先住民族同士の交流」

担当:崎山敏也

2018年6月16日、横浜市の新横浜駅近くの「スペース・オルタ」で、「アオテアロア・アイヌモシリ交流プログラム」の報告会が開かれ、崎山記者が取材しました。「アイヌモシリ」は、日本の先住民族「アイヌ(人間)の住む大地」のことです。そして「アオテアロア」はニュージーランドのことで、先住民族マオリの言葉で「白く長くたなびく雲」という意味だそうです。

ニュージーランドが1840年にイギリスの植民地となって以来、マオリの文化は衰退していましたが、70年代以降、マオリ語をはじめ、固有の伝統や文化が復興しています。そのマオリとアイヌの交流の一環として、今年の2月にニュージーランドを訪れた研修団の報告会だったんです。

参加したのは5人のアイヌとその家族です。北海道の人も、首都圏在住の人もいます。団長の島田あけみさんは「自分たちの居場所を自分たちで作ろう」という「チャシ・アン・カラの会」で、アイヌの文化を伝え、権利を守る「居場所」を首都圏に作ろうと活動しています。島田さんは10年ほど前、マオリの人たちに出会ったことが、アイヌとして誇りを持って生きられる、活動するきっかけになったということで、「若いアイヌを連れて行って、マオリの活き活きとした生き方を見せたい、学ばせたい」と考えて、交流を始めたんです。

研修団長の島田あけみさん(チャシ・アン・カラの会)

研修は10日間で、部族のコミュニティの中心となっていて、伝統的な価値観による行事が行なわれる「マラエ」という集会場や、マオリ語で教育が行なわれている学校や幼稚園。マオリとイギリス政府が条約を締結した日、「ワイタンギ・デー」のイベントなどを訪れました。

ワイタンギ・デーのイベント

参加者の一人、宇佐照代さんは、マオリの民族大学の前学長、ベンサム・オーヒアさんのワークショップで「10年後、20年後のアイヌのことを想像してみてください」と問われた時のことについて、「ベンサムさんたちも40年前は、結果を考えるというよりは、なっていたい、と思うこと、同じ思いの人たちと一緒に進むことが大事だったと。そんなの無理だ、できないよという人は無視しろというようなお話もしてました。私たちアイヌも、自分たち一人ひとりが、というよりは、多くのアイヌがこうなっていってほしいという思いをネガティブではなく、ポジティブに思える人と進んでいくと、また変わっていくんじゃないかという思いを私自身がその時、持つことができました」と報告会で話していました。宇佐さんは、新宿区内で北海道料理、アイヌ料理を出す「ハルコロ」という店を経営しています。このあとに、マオリのある部族が、イギリスとの和解でかえってきたお金を財源に、ショッピングモールや農場、ホテルなどビジネスに取り組んでいる話を聞き、自分もチャンスを作って、店を大きくしたいという思いが強まったそうです。

報告する宇佐照代さん(中)と沖津翼さん(右)

この日報告したもう一人、沖津翼さんは、一番インパクトがあった研修として「脱植民地化ワークショップ」をあげました。植民地化された側のマオリにも、殖民した側にも行なう、つまり痛みを受けた側、与えた側どちらも参加させるユニークなワークショップで、正しく過去の事実を知る必要性をわかりやすく理解させるためのものだそうです。沖津さんはアイヌとしてのどう受け止めたかについて、「歴史を語るときに、植民される側が被害者意識というものを持ってしまう中で、いま現在、様々な民族が土地を共有しているということ、正しく共有していくための知っておくべきルールというんですかね、それを知っておくことで、お互いに敬意を払いあって、社会をもう一度作り直していくというその基礎になるものなんだろうなと。痛みだけを語っていても、求めたい共感が実は求められなかったりするというのが、多々あるんですね。どこで人の関心を気付かせるのか、というその視点を分けてもらいました」と話します。もちろん、アイヌの文化を奪った側にとっても大事な話です。

マオリの伝統的なあいさつ

子供たち同士も言葉が通じなくてもすぐ仲良しに

研修ではこのほかにも、先祖とのつながりの持ち方、マオリの部族の情報管理のあり方など、すぐどう受け止めてよいのかわからないものも含め、アイヌの未来を開く可能性のあるもので盛りだくさんだったそうで、10日間の詳しい内容に興味がある方は、次の二つのブログを参考にしてください。http://aaexchange.blogspot.com/(アオテアロア・アイヌモシリ交流プログラム実行委員会) http://aaexchangeactivity.blogspot.com/(アイヌ・マオリ交流情報)

報告会の最後に、客席の参加者から「自分たちには何ができるのか」と質問が出て、島田さんは、交流を手伝うスタッフ、サポーターも欠かせないし、クラウドファンディングでの支援にも感謝しているとしたうえで、「自分ができることといったら、お金を集めて、若い子が外に出ることの手助けをする。参加者の方がきょうみたいに来てくれて、歌や踊りを踊ってくれる。そういうこともすごく大事だと思うので、そういうつながりをどんどん持っていくことが大事だと私は思っています。ここに来ているお客様も同じで、私とどこかつながっていていただいて、何かある時には来ていただく。そういうつながりを大切にしていくことから始めなくてはいけないかなあ、と思っています」と話していました。

最後は、マオリが伝統的な踊りを披露し(ラグビーのニュージーランド代表が踊ることでも有名ですよね)、アイヌの伝統的な踊りは、最後が輪になって踊るポロ・リムセ。出演者も参加者も私も一緒になって踊りました。先住民族アイヌにとっても、和人にとっても、日本という枠内に住む人全てにとって多様性が尊重される社会になるヒントがこれからさらに見えてくることを期待しています。