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熱中症と間違いやすい”夏血栓”に注意!

森本毅郎 スタンバイ!

連日、猛暑が続いていて、熱中症への注意が呼びかけられています。外に出ていて「めまい」や「ふらつき」などを感じると、熱中症を疑う方も多いかと思います。ただ、この熱中症と似たような症状が出る「夏血栓」というものがあって、対処方法を間違ってしまうと、最悪、死に繋がることもあるのです。そこで「夏血栓」について、「熱中症」との違いや対処方法について7月23日(月)、松井宏夫の「日本全国8時です」(TBSラジオ、月曜あさ8時~)で解説しました。

★改めて、熱中症とは

熱中症とは、気温の高い環境にいることで体温の調節がうまくいかなくなったり、体内の水分や塩分のバランスが崩れたりすることで起こります。症状としては、「めまい」や「ふらつき」、「意識がぼーっと」したり、「体温が高い」「筋肉痛や筋肉のけいれん」などがあります。対処法としては、水分や、塩分を摂ったり、日陰などで休憩することが大切になってきます。

★熱中症と間違いやすい「夏血栓」

熱中症と間違いやすいのが、いわゆる「夏血栓」と呼ばれるものなんです。

「夏血栓」の原因は、汗をかくことで体から水分が奪われ、血液がドロドロになってしまうこと。その結果、血のかたまり=血栓ができて、血管をふさぎ、血流がとどこおるってしまいます。

また、夏は暑さで皮ふの表面の血管が拡張するので、血圧が低下します。これも原因で、血液がよどんで血栓ができやすくなります。

★注意が必要な「一過性脳虚血発作」

この夏血栓になるといろんな病気に繋がるんですが、なかでも熱中症と間違えやすいもので、一番注意が必要なのが「一過性脳虚血発作」という病気なんです。というのも、これを見過ごすと、一番怖い脳梗塞になる可能性が高いんです。

一過性脳虚血発作の場合、治療しないで放っておくと、3か月以内に15%から20%の方が脳梗塞を発症します。またそのうち半数は一過性脳虚血発作を起こしてから2日以内に脳梗塞を起こしてしまいます。

そうなる前に治療に結びつけるためにも、熱中症と一過性脳虚血発作の症状を見分けることが重要となってきます。

★熱中症と間違えると危険

熱中症と一過性脳虚血発作はその初期症状が似ていて、注意が必要です。熱中症のときも起こる「ふらふら」したり「意識がぼーっと」したりする症状が、この一過性脳虚血発作にもみられる症状なんです。

そのため、熱中症だと思って、涼しい場所などで、しばらく休憩するなどの対処をしてしまうのですが、それが、落とし穴になる可能性があります。

一過性脳虚血発作の場合、血栓によって血液の流れが一時的にとどこおるのですが、通常5分から10分程度で血栓が取れて血液の流れが元の状態に戻るのです。そのため熱中症かと思って少し休憩して、めまいや意識障害がおさまると、熱中症が治ったと思って安心してしまうのです。

ところが、体の中では、脳梗塞のリスクが高まっている、危険な状態、というわけです。

★一過性脳虚血発作と熱中症の見分け方

では、一過性脳虚血発作と熱中症は、どう見分ければいいのか?そのためには、一過性脳虚血発作特有の症状を知っておく必要があります。

熱中症にはない、一過性脳虚血発作の特徴的な症状で、最大のものは、「体の全体ではなく、左右のどちらかに悪い反応が出る」ということです。特に5つの症状が特徴的です。

  1. 「片側の手足の力が入らない」
  2. 「顔を含む半身がしびれる」
  3. 「急に片目が見えなくなる」
  4. 「視野の半分が見えなくなる」
  5. 「ろれつが回らない、言葉が出ない」

★4つのチェック方法

具体的なチェック方法もあります。それには、4つのポイントがあり、それぞれの頭文字をとって「FAST(ファスト)」というチェック方法があります。

1つ目のFは、フェイス=顔です。「イー」と言ったときに、左右の口角が上がって笑顔がつくれるかどうかを確認してください。一過性脳虚血発作や脳梗塞が起こっている場合、顔の片側半分に麻痺が起こるので、うまく笑顔をつくることができません。また、顔の片側半分がゆがんでいるようであれば、一過性脳虚血発作や脳梗塞を疑ってください。

2つ目は、A=これは「Arm」=腕です。目を閉じて手のひらを上に向けて、両腕を前に伸ばします。普通はその状態を保てます。ところが麻痺がある側の腕がだんだん下がってきたり、また、手のひらが内側に回ってきます。

3つ目は、S=これは「Speech」=言葉です。一過性脳虚血発作や脳梗塞が起こっている場合、口の筋肉が麻痺してろれつが回らなくなります。「きょうはとても暑いです」など、短い分を繰り返して言ってみて、うまく言うことができない場合は、一過性脳虚血発作や脳梗塞が疑われます。

4つ目は、T=これは「Time」時刻です。これは顔、腕、言葉のうち1つでも症状があれば、時刻を確認して、すぐに救急車を呼ぶこと。本人が気付いて確認できることもありますが、本人が確認出来ない場合は、周りの人が確認するようにしてください。

★どのような治療をうけるのか?

まず、一過性脳虚血発作が疑われた場合、それが10分程度で改善したとしても、そのままにしてはいけません。必ず救急車で運んでもらい、検査を受け、診療も受けてください。一過性脳虚血発作を放置すると脳梗塞のリスクがありますので、薬などでそのリスクを取り除く治療となります。

また、夏血栓になって、脳梗塞になると、今度は、できるだけ早く、血栓を取り除く治療を行うことが鍵となります。血栓を取り除けば、再び血が流れ、脳が壊死するのを食い止めることができます。

治療法は主に2つです。

1つは、t‐PAという薬です。t‐PAを静脈から点滴で投与すると、脳の血管に詰まった血栓を溶かす効果があり、脳の血流を早く再開させて、脳の組織の壊死を防ぐことにつながります。ただし、t‐PAの使用には難しい面もあります。t‐PAの副作用として、脳出血が起こる可能性があるため、脳梗塞発症から4時間半を過ぎると使うことができません。

4時間半を過ぎてしまった場合は2つ目の方法、血管内治療という方法になります。これは足の付け根の動脈からカテーテルを挿入して脳の血管まで送り込み、カテーテルの先端に付けた器具を使って、血栓を直接取り除く方法です。血管内治療は、脳梗塞の発症から8時間以内であれば行うことが可能です。

★予防の方法は?

夏血栓は血液がドロドロになって起こるので、水分補給をこまめに行うことや、高血圧や糖尿病にならないように注意するなどがあります。脳梗塞のほかにも心筋梗塞、肺塞栓症を引き起こすことがありますので注意が必要です。

日本全国8時です(松井宏夫)

解説:医学ジャーナリスト松井宏夫

 

松井宏夫の日本全国8時です(リンクは1週間のみ有効)http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20180723080000

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