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誰も排除しない都市、東京を目指して、ボランティアが路上生活者の現状を調べるストリートカウント▼人権TODAY(2018年8月18日放送分)

人権TODAY

毎週土曜日「蓮見孝之 まとめて!土曜日」内で8時15分頃から放送している「人権トゥデイ」。様々な人権をめぐるホットな話題をお伝えしています。

今回のテーマは…2018年8月18日放送「誰も排除しない都市、東京を目指して、ボランティアが路上生活の現状を調べるストリートカウント」

担当:崎山敏也

東京工業大学で都市政策を研究する大学院生らが中心となっている市民団体「ARCH(アーチ)」が、8月の3日(金)の昼から5日(日)にかけて、東京都内で路上生活をしている人を数える「ストリートカウント」を行ない、崎山記者が調査に同行して、取材しました。

8日(金)の深夜12時過ぎ、JR中野駅近くに崎山記者が行くと、中野区内を調査するボランティアが集まっていました。中野担当、東工大院生の片田梨奈さんがまず、調査について、「過去のオリ・パラ開催都市では、ホームレスの排除や不当な逮捕もあるなど負のインパクトがあった部分もあるのですが、一方で、オリ・パラを機に、自分たちの都市のホームレス問題に取り組んで、レガシーを残した都市もあります。私たちはそういった後世に残るレガシーを東京でも残したいと考えて、今回のストリートカウントを実施します」と話しました。

ARCHが結成されたのは、東京オリンピック・パラリンピックがきっかけです。現状出もすでに新しい国立競技場の建設現場では、そこにあった公園から排除された路上生活者らが、都や国に損害賠償を求めて、裁判になっています。そういうことがこれ以上起きないためにも、支援のため政策提言をしたい、そのための調査です。

例えば、去年の夏は山手線沿線の11の区で「ストリートカウント」を行ないました。都は昼間の調査で500人ぐらいとしていた地域ですが、ARCHが夜調査したら、およそ1300人、2,6倍だったんです。正確な現状把握がないと、政策提言もできないということで、今回は17の区、7つの市、多摩川、荒川の河川敷とさらに範囲を広げ、3日間でのべ506人のボランティアが参加しました。

事前に説明会も何度かあって、ARCHの共同代表、東工大院生の北畠拓也さんはその時、参加希望者に対し、「ストリートカウントはただ、お祭り的に騒ぎたいということではなくて、そういう状態があるということをほっておく、見ないふりをする、とか見えないままでいるという、都市、東京。そういう見ないままにしておくということがたぶん問題なんじゃないかなと僕らは思うんですね。なので、実際に、みんなでちゃんと見ましょうというのがたぶん大事。調査なんだけど、同時に解決のプロセスなんだということです」と話していました。

事前の説明会。右がARCHの北畠共同代表

中野では、あいさつ、顔合わせのあと、具体的に調査方法などを説明し、参加者は6人前後の班に分かれ、午前1時頃、調査に出発しました。崎山記者もある班と一緒に歩き、道路や公園、駅やビルなど建物のそばなどを見て回ります。ダンボールを敷いて眠る人、布団のようなものにくるまる人、荷物を持って移動中の人。寝ている人は起こさないように注意しながら、所在を確認し、地図に場所を記入します。

午前3時半頃には出発点に戻ってきたので、初めて参加したという二人の大学生に感想を聴くと、一人の新入生という男性は「最後の授業だったんですけど、ストリートカウントのチラシを配られて衝動的に。あっ、行きたいなと思って。やっぱり東京を知りたいからだと。そういうところが大きかったと思います。東京を歩いてみて、東京を知りたいというか、そう思いました」と話します。大学で長いこと学んでいるという女性は「再開発が進めば進むほど、こういう人たちはどんどん追いやられていくんですけど、最後ってどうなるんだろうなとすごい思いました。街が明るくなればなるほど、追いやられていく人たちが確実にいるわけで、すでに高齢化していますけど、もっともっと高齢化が進んだときに、彼らってどうなってしまうのかなあと歩きながら考えました」と話していました。

最後は全ての参加者が中野区内のファミレスに集まり、データの整理をしました。そこで、これまでも参加したことがある人にも感想を聴きました。大学生の女性は「一回行ったら、もちろん活動自体も面白かったんですけれど、一緒に回っているかたにいろんな分野の方がいて。私は福祉系の大学に行っているんですけど、環境分野の方だったりとか、いろんな方といろんな視点でみながら歩けて、それが面白かったので、今回ももう一回参加しようと思いました」と話します。また40代の女性で、ホームレス支援のため大学で学びなおしているという方は「ホームレスの問題に取り組みたいという関心があったので。前回に続いて今回も。ホームレスというのは同じ人間で変わりはないので。自分もいつあっちに行くかわからないのでこれからも取り組みたいなと思っている課題なので」と話していました。

最後の集合場所でデータの整理

今回の調査結果はまもなくまとめられ、公表されると共に、政策提言のための基礎資料になります。また、参加者が書いたアンケートにもそれぞれが見た、これまでとは違った、東京の街の姿が含まれています。506人の参加者が、このことを家族、友人に話したり、SNSなどで発信して広めるのも大事な活動です。

路上で生活している人や、ネットカフェ難民、DVの被害者などホームレス状態にある人は、社会の様々なセーフティネットからこぼれてしまった人たちで、「見ようとしないとなかなか見えない問題」です。オリンピック・パラリンピックのような大規模イベントの中で、東京という都市が、路上生活の人を含め、多様な人々にとってのホームに変われるのか、ARCHの試みに今後も注目です。

ARCHのホームページ http://archcd.wixsite.com/arch

「東京ストリートカウント」の特設ページ https://streetcount.wixsite.com/arch-tsc