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「追悼~ソウルの女王、アレサ・フランクリン」(高橋芳朗の洋楽コラム)

ジェーン・スー 生活は踊る

音楽ジャーナリスト高橋芳朗さんによる音楽コラム

「追悼~ソウルの女王、アレサ・フランクリン」

ここにコメントを入力してくださいhttp://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20180817124126

radikoで放送をお聴きいただけます(放送後1週間まで/首都圏エリア無料)

【高橋芳朗】
本日のテーマはこちらになります。「追悼~ソウルの女王、アレサ・フランクリン」。ソウルシンガーのアレサ・フランクリンがガンで亡くなりました。76歳でした。番組の冒頭でスーさんが言っていましたが、アレサ・フランクリンはアメリカの権威あるカルチャー誌『Rolling Stone』が2013年に発表した「史上最も偉大なシンガー100人」のランキングで第1位に選ばれています。ちなみに2位がレイ・チャールズ、3位がエルヴィス・プレスリーという順位になっているんですけど、このふたりをも押さえてアレサが1位。これが世界の共通認識といっていいと思います。

でも、残念ながら日本におけるアレサの評価は海外のそれには遠く及ばなくて。海外と日本での人気格差が最も大きいビッグネームのひとりかもしれないですね。ただ、アレサを映画『ブルース・ブラザース』のダイナーのシーンで歌っていたシンガーとして記憶している方は多いと思いますし、安室奈美恵さんが2007年の「Rock Steady」でアレサの同名の曲を引用していたことでアレサに興味をもった方もいると思うんですね。今日の放送はそんな皆さんにとってアレサを知る助けになったら幸いです。

まず最初に紹介する曲は、1967年に全米1位を記録した代表曲の「Respect」。これはアレサがコロンビア・レコードからアトランティック・レコードに移籍して放ったごく初期のヒット曲です。当時大きなムーブメントに発展していた公民権運動やウーマンリブ運動のアンセム、運動を後押しする曲として人気を博した曲ですね。60年代後半の激動のアメリカを象徴する曲と言っていいと思います。このアレサの「Respect」は番組冒頭でスーさんも言っていましたがカバー曲になります。こちらも偉大なソウルシンガー、オーティス・レディングが1965年に発表した曲。ソングライティングもオーティスが自ら手掛けています。いまうしろで流れていますね。

(オーティス・レディング「Respect」が流れる)

先ほど話した通りアレサ版の「Respect」は公民権運動やウーマンリブ運動のアンセムになったわけで、「Respect」なんてタイトルからしてさぞ崇高な曲なんでしょうと思われるかもしれませんけが、この曲、もともとは妻にぞんざいな扱いを受けている夫の悲哀を歌った曲なんですよ。「ちゃんとお前のことも愛しているし、欲しいっていってたものも買い与えているんだから、もっと俺のことをリスペクトしてくれよ」という、わりと情けない内容の曲で。

アレサは「Respect」をカバーするにあたって、基本的にそれほど大きな歌詞の改変はしていないんですね。歌詞の大筋はちゃんとなぞったうえでのカバーなんですけど、これが男と女を反転しただけで歌の意味がガラリと変わってしまったんですね。夫が妻に家庭内での自分の扱いを要請する歌が、黒人女性が社会に向かって自由を要求する歌に変貌してしまったわけです。当時の時代背景を考えると、男女を反転するだけで意味が変わってくるのもまあ、納得はいくんです。ただ、これから実際に曲を聴いてもらえばわかると思うんですが、アレサの歌が力ずくで曲のメッセージを変えたようなところも確実にあるだろうと。

実際、リリースからもう50年以上たっているのに現在もなおフェミニズムのアンセムとしてこの曲が有効なのも、アレサの歌の力によるところが大きいんじゃないかなと思います。これはそんなアレサの歌のパワーを物語るおもしろいエピソードなんですけど、当時アレサのカバーバージョンを聴いた本家のオーティス・レディングは、聴き終えるとニコッと笑って「この曲はもうこのコに取られちまった。もう俺の曲じゃない。これから先、ずっと彼女のものだよ」と言ったそうです。

M1 Respect / Aretha Franklin

Respect

【高橋芳朗】
続いては、これぞソウルヴォーカル、これぞソウルミュージックの真髄といえるような曲を聴いてもらいたいと思います。こちらは1968年リリースのアレサ屈指の名盤『Lady Soul』に収録されているバラード「Ain’t No Way」。もうハートをえぐるような失恋ソングですね。これはもう聴き流せるような曲ではないから、皆さん4分間だけスピーカーに向き合ってじっくりアレサの歌を聴いてみてはいかがでしょう?

アメリカの著名なコラムニストのネルソン・ジョージは著書の『リズム&ブルースの死』でアレサについてこんなことを書いているんですよ。「もしソウルとはいったいなんなのかわからないというなら、どれでもいいからアトランティックから出たアレサ・フランクリンのアルバムを聴くことをおすすめする」と。つまり、アレサこそがソウル・ミュージックの最良の体現者である、ということだと思うんですけど、これはそれを証明するような曲になると思います。

M2 Ain’t No Way / Aretha Franklin

LADY SOUL

【ジェーン・スー】
ソウルミュージックにそんなに縁がない、興味がなかったという方も、いまの4分でなにか印象が変わっていたらいいなと思います。やっぱり、誰のなんの曲を歌おうがぜんぶ自分の曲になっちゃうんですよね。その力と優しさと切なさと苦さと甘さ……まあ、歌の包容力がすごい人でした。

【高橋芳朗】
ちなみにこれからアレサ・フランクリンを聴いてみたいという方におすすめのアルバムは、アトランティックの最初のアルバム『I Never Loved a Man the Way I Love You』、続く2枚目の『Lady Soul』。まずはこの2枚を手に入れてください。最高の音楽体験をお約束いたします!

―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ――
当ラジオ番組では「日々の生活に音楽を」をコンセプトに、音楽ジャーナリスト・高橋芳朗さんによる洋楽選曲を毎日オンエア。最新1週間のリストは以下です。

8/13(月)

(11:06)   Turn Your Love Around / George Benson
(11:20)   I Do Love You / Angela Bofill
(11:32)   Lonely Disco Dancer / Dee Dee Bridgewater
(11:39)   You Are My Heaven /  Roberta Flack & Donny Hathaway
(12:11)    Easy Street / Sister Sledge
(12:22)   Way Back When / Brenda Russell
(12:49)  クレッセント・ナイト / 南佳孝

8/14(火)

(11:06) Aretha Franklin/Until You Come Back to Me( That’s What I’m Gonna Do)
(11:35)  It’s a Miracle / Culture Club
(11:40)  Shy Boy / Bananarama
(12:14)  80’s Romance / The Belle Stars
(12:22)  Lifeline / Spandau Ballet
(12:49)  君に、胸キュン。-浮気なヴァカンス- / YELLOW MAGIC ORCHESTRA

8/15(水)

(11:09) Sunny / Georgie Fame
(11:35)  Sunny Afternoon / The Kinks
(12:14)  Black Brown and Gold / Peter & Gordon
(12:50)  Can’t Get Used to Losing You / Chad & Jeremy

8/16(木)

(11:05)  Dancing In The Street / Martha Reeves & The Vandellas
(11:24)   Love a Go Go  / Stevie Wonder
(11:41)   When the Lovelight Starts Shining Through His Eyes / The Supremes
(12:15)   Baby Don’t You Do It  / Marvin Gaye
(12:26)  Danger! Heartbreak Dead Ahead / The Marvelettes
(12:49)  Do the Boomerang / Jr. Walker & The All Stars

8/17(金)

(11:06)  (You Make Me Feel Like)A Natural Woman / Aretha Franklin
(11:38)   I Say a Littile prayer  / Aretha Franklin
(12:20)   Think / Aretha Franklin