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成人の8人に1人が「慢性腎臓病」。動きだした医療業界

森本毅郎 スタンバイ!

腎臓病をめぐる動きが、ここ最近、活発になって来ています。去年、腎臓病の患者さんを医師だけでなく、より多くの人がケアできるように、新しい資格ができました。また、今月1日には、腎臓病の診療の向上を目指すため、NPO法人もできました。こうした動きの背景には、高齢化の影響で、腎臓病の患者さんが増えていることがあります。

慢性的な腎臓病=慢性腎臓病の患者さんは、日本では1300万人を超えると推算されます。これは、成人の8人に1人にあたる数で、もはや誰もがひと事ではない病気となっています。そこで、8月20日(月)、松井宏夫の「日本全国8時です」(TBSラジオ、月曜あさ8時~)で解説しました。

★腎臓病について

まずは、腎臓病についてお話しします。腎臓は、腰より少し上の背中側に、左右対称に1つずつある臓器で、大きさは、にぎりこぶし程度、形は、ソラマメのような形をしています。

この腎臓には、心臓が送り出す体内の血液の5分の1が集められます。そして、腎臓は、血液をろ過して尿を作り、老廃物を排出する、体内の水分量を一定に保ち、ナトリウム、カルシウムなどをコントロールする、そうして、体を弱アルカリ性に保ち、浸透圧を調整する、さらに、血圧、貧血、および、骨の代謝をコントロールするホルモンも作ります。腎臓は、血液を通すだけで、これだけの活躍をしている、というわけです。

こうした腎臓の働きが低下してしまうのが腎臓病で、特に、機能が6割未満に低下してしまった状態を「慢性腎臓病」と言います。こうなると、健康を保てなくなり、適切な治療を受けなければ腎不全となり、そして、人工透析が必要になったり、また、腎移植が必要な状態となってしまいます。さらに怖いのは、慢性腎臓病は、初期には、ほとんど自覚症状がないことです。

一応、腎臓が悪くなると、塩分や水分の調節ができなくなるので、むくみやめまい、動悸などが起きます。また、老廃物を取り除けなくなるので、それが体に溜まり、だるさや食欲不振となります。そして、ホルモンを作ることができなくなり、貧血が起きることもあります。しかし、これらの症状が現れた時には、かなり進行している状態なのです。

実際、貧血やむくみに気づいて受診した方が、そのまま人工透析になったケースもあります。そのため、慢性腎臓病の原因を理解し、予防するのに加え、定期的な検査が重要です。

★慢性腎臓病の原因は?

腎臓は血が集まる血管の塊なので、血管に悪い影響があるものが原因となります。高血圧や動脈硬化、肥満、そして、糖尿病など生活習慣病が、主な原因とされています。高血圧や動脈硬化で血管の機能が衰えると、そのまま腎臓の機能も衰えてしまいます。また、糖尿病になると、血液中の糖の濃度が高い状態が続きます。その影響で、血管が悪くなり、腎臓の中の血流が悪くなってしまいます。

血管の悪化で慢性腎臓病になりますが、慢性腎臓病になると、さらに動脈硬化が進みます。そのため、脳卒中や心筋梗塞を起こしやすくなるという悪循環になってしまいます。

こうしたことを防ぐため、特に糖尿病や高血圧、肥満の方はしっかり検査をする必要があります。

★どのような検査を受けるのか?

慢性腎臓病の検査は、血液検査と尿検査を毎年受けることが重要なポイントです。

血液検査では、まず、体内でできる老廃物の値を調べます。腎臓の働きが低下すると老廃物を十分に取り除けなくなるので、老廃物の値が高くなると慢性腎臓病が疑われます。これが疑われた場合には、腎臓が血液をろ過しているか、など、働き具合をチェックします。腎臓の働きが6割未満の場合、慢性腎臓病の疑いがあり3ヶ月以上続くと慢性腎臓病とされます。

もう1つの検査、尿検査では「たんぱく」を調べます。たんぱくの量が、一定以上となり、それが3か月以上続くと、慢性腎臓病とされます。慢性腎臓病は見逃されがちなので、この2つの検査を両方受けることが大切です。

★どのような治療を受けるのか?

まずは、「生活習慣病の改善」「食事療法」「運動療法」です。食事療法でどれだけ塩分を減らすのか、また、運動療法でどうするのか、これらは、それぞれ個人に合わせて、オーダーメイド医療で対応します。

ただ、食事や運動では改善できない場合は、「血液透析」「腹膜透析」「腎臓移植」となります。

血液透析は、専用の機械で全身の血液をきれいにする方法です。血液を腕から専用の機械に送り、老廃物や水分、塩分などを透析液できれいにして体内に戻す。基本的には専門の医療機関に週3回程度通い、1回に4〜5時間かけて血液透析を行います。ただ、この透析を受ける場合、事前に、腕の中の血管をつなぐ手術が必要なので、大変です。

そのほか、自分の腹膜を使って血液をきれいにする腹膜透析もあります。これは、腹部に埋め込んだカテーテルから、透析液をお腹の中に入れます。すると、その透析液が血液中の老廃物などをろ過するので、老廃物が溜まった透析液をカテーテルから出して、またきれいな透析液を入れる治療です。これを1日に、3〜5回、自分で行うということなので、かなり大変です。

そして、最後は、腎臓の提供を受けて移植する、腎臓移植となります。

★進行しないためにも

大変にならないためにも、慢性腎臓病が進行しないうちに、早期発見が重要となってきます。ただ、さきほども触れましたが、慢性腎臓病は、初期には自覚症状がない病気です。そのため、普段からのかかりつけ医で見逃すことなく、腎臓専門医につなぐことが重要です。

そこで今月、NPO法人「日本腎臓病協会」というのができました。かかりつけ医から腎臓の専門医の紹介、そして、連携をこれまで以上にスムーズにする仕組みを作りました。

また、医師だけでなく、ほかの医療従事者が連携して慢性腎臓病の重症化予防に取り組むために去年「腎臓病療養指導士」という資格ができました。これは、看護師、管理栄養士、薬剤師を対象にした資格で、それぞれの知識と経験を生かして治療ではなく、療養指導を慢性腎臓病の患者さんに継続的に行う、というものです。

患者さんの生活改善は、各患者さんに合わせた「完全オーダーメイド」なので、非常に手間がかかります。患者さんが増え、手が回らなくなるリスクがある中で、医師でなくてもサポートできる部分を資格として確立することで、慢性腎臓病の予防や改善を、フォローしていく狙いです。

NPOや専門の資格が出来ることによって、糖尿病、高血圧、肥満など生活習慣病のある人は、血液検査や尿検査がしっかり行われ、慢性腎臓病の疑いがあると、腎臓専門医が紹介されます。紹介された先の病院は専門の資格を持ったスタッフが対応し、コントロール出来るようになると、かかりつけ医に戻される、というチーム医療が出来るようになるのです。

日本全国8時です(松井宏夫)

解説:医学ジャーナリスト松井宏夫

 

松井宏夫の日本全国8時です(リンクは1週間のみ有効)http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20180820080130

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