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碓氷バイパスに現れた水玉模様とは?!

森本毅郎 スタンバイ!

群馬と長野の県境に近い碓氷峠を通る碓氷バイパス。この碓氷バイパスの道路上に、この夏【水玉模様】が現れたと聞いて取材してきました。道路に【水玉模様】と聞くと、夏休みのイベントか何かかと思ってしまいますが、そうではないのだそう。そこで・・・。

「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)7時35分からは素朴な疑問、気になる現場にせまる「現場にアタック」!!8月28日(火)は、レポーターの近堂かおりが『碓氷バイパスに現れた水玉模様とは!?』をテーマに調べてきました。

★水玉模様は速度抑制のための対策!

碓氷パイパスに水玉模様を出現させたは国土交通省の高崎河川国道事務所ということで、副所長の宮前雅明さんにお話を伺いました。

宮前雅明さん
「大きい水玉になるんですけど、【オプティカルドットシステム】といいます。延長1.4キロぐらい水玉模様を規則正しい感じで描いていっているんです。場所は国道18号の碓氷バイパス。登り坂なんですけど、登坂車線があって結構みなさんスピードが上がりすぎるぐらい上げて走行されるんです。そのために急カーブに入ると大型トラックなどがバランスを崩して転倒する事故が何件かあったんです。そこで速度を下げるための対策ということで、このオプティカルドットを試行的に取り組んでみたところなんです。」

水玉模様と聞いて比較的小さい丸、点々を思い浮かべたのですが、実際は結構大きくて、形もまん丸ではなく楕円形。長さはタテが90センチ、横幅が23センチ。これをクルマの運転席から見ると、遠くのドットはまん丸に見える。この水玉=ドットはオセロを敷き詰めたようではなく、間隔があいて並んでいる。ドットは1車線、自分の車線=白線と白線の間に横1列に4つ描かれていて、少し走るとまた4つのドットがある、という具合です。

碓氷バイパス 水玉作成中

★水玉でどうやってスピードを抑えるの?

このドットで、スピードオーバーを抑えるというのですが、いったいどうやって? 碓氷バイパスのオプティカルドットをデザインしたアーバン・スケープ・アーキテクト(都市景建築家)の 韓亜由美さんにお聞きしました。

韓亜由美(はん・あゆみ)さん
「ドット列の配置で適切な速度に導いていくような設計をしていくんです。基本的にはオプティカルドットというは、道路の形が登りなのか、下りなのか、曲がっているのか、どのくらい曲がっているかという、道路の形自体を可視化するシステムなんです。道路に見えないグリッド(罫線)を引いたとして、その罫線の交点を大きく分かるようにしたという考え方。その(罫線の)網目が縮まって見えたとすれば下り坂になっている、逆に伸びているように見えたら登り坂であるというような、いま走行している道路の先の形をいち早く感知できるという利点があります。」

碓氷峠はS字カーブがいくつも続く坂道。坂の勾配も急な坂と緩やかな坂が合わさり、カーブも緩いものときついものが混在しています。目で見ているだけでは、その度合いを把握しにくい。それが路面にドットを描くことによって道の形の変化が認識しやすくなる、ということなのです。例えば、ドットの距離が近く見えれば下り坂になっている、という具合に。また、自分の車の速度の変化も体感しやすくなるそうです。

★急に道路に水玉模様が! びっくりしないの?

でも道路に突然、水玉模様が出てきたら気になったり、びっくりしてしまうのでは? と思って、実際に走ってみることにしました。実は、首都高速道路・埼玉大宮線の美女木ジャンクション付近にこのオプティカルドットシステムがすでに施されているので(こちらも韓さんが手がけたものです)、きのう体験してみたんですが、走ってみると意外でした。

近堂かおりの走行レポート
「道の真ん中に水玉が4つあったら気になるかなと思ったんですけど、特に気にならない。うっかりすると見逃しそう。青い行先表示の看板とか速度表示とか気になると思うんですよね。でも、そういう注意を惹く感じとは違う・・・。」

実は、水玉模様が始まってしばらくするまで気がつかなかったんです! もちろん目には入って認識はしているのですが、【スピード落とせ!】とか【この先、急カーブ注意!】といった看板のようには、水玉に注意はいかない。不思議な感じがしました。

★気がつかなくて、いいんです!!

気がつかない、というのに、果たして、スピードの抑制や事故の防止につながるの? と思ってしまうのですが、実はそれこそがこのオプティカルドットシステムのねらいであり、実際に効果を上げている点だというんです。再び韓亜由美さんのお話です。

韓亜由美さん
「交通事故対策といったらずっと【注意喚起】一辺倒だったと思うんです。いまカーナビもありますから記号とか言語による情報提供というのが過多になっていると思うんです。新宿駅の構内、渋谷のスクランブル交差点でもいいですが、あんなに人がいるのにぶつからないですよね。それは一人一人が熟考して【ぼくはあの人とあの人の間をこういう角度で入ろう】なんて考えているわけではないですよね。それと同じように、その平常心で十分に知覚を働かせていただいて、それによって危険回避の行動を適切に取っていただく。」

これまで事故が多い場所には【スピード落とせ!】といった看板などがたくさん設置されてきました。もちろん碓氷バイパスも。でも看板、標識などによる【注意喚起】だけでは事故は防ぎきれていない・・・。

そこで韓さんは、注意喚起とは別のアプローチを考えたのです。デザインによってドライバーがほとんど自覚のないのないまま危険を回避するような運転行動をとるように導く。【急カーブに続いて、緩いカーブ】とか【目で分からないけど下り坂】と看板や標識で知らせるのではなく、オプティカルドットの配置で何気なく意識させる。するとドライバーは自然と危険を避ける行動(アクセルを緩めたり)をとるのだそうです。

実際、美女木ジャンクションでオプティカルドットシステム導入後の状況を検証した結果、スピード超過のクルマは大きく減ったそうです。しかも興味深いことに、その効果はドット施行後も長く持続しているのです。看板は設置当初は注意を惹く効果があっても、しばらくすると慣れられて効果が減衰してしまいますが、オプティカルドットは【慣れ】が少ない。

碓氷バイパスの事故の件数や走行スピードがこの先、どう変わっていくかも、今後検証していくとのことでした。無意識に働きかける、慣れのない、この新しいアプローチ。今後は増えていくかもしれませんね。

「現場にアタック」近堂かおり

近堂かおりが「現場にアタック」で取材リポートしました。