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鉄とかけて犬と説く・・・そのこころは? 文化庁長官:宮田亮平さん

コシノジュンコ MASACA

2018年9月23日(日)放送

宮田亮平さん(part 1)
1945年、新潟県生まれ。東京藝術大学大学院修士課程修了。金工作家として活躍し、代表作にはイルカをモチーフにした「シュプリンゲン」シリーズとして、日本橋三越のエンブレム、東京駅の待ち合わせスポット「銀の鈴」などがあります。東京藝術大学の教授を経て、2005年から10年間東京藝術大学学長を務め、2016年に文化庁長官に就任。

JK:今日は素敵ですね、そのネクタイ。イルカですか? すごく爽やかでいいですよ。

宮田:今日だけね(笑)

JK:早速イルカの話をしないとね。銀の鈴みたいな目立つところにイルカがいるか!(笑)勢いがあるっていうか。金属って重たそうなのに水の中でのびやかに動いている。素晴らしいですよね。なんて軽やか!

宮田:金属は実際、重いです。でも金属の面白さっていうのもあるんですよね。それは何かって言うと、緊張感を維持する。コシノさんがご専門の布はその時その時で動くじゃないですか。でも金属は一つの形を作ったら、永遠とはいいいませんが、それを維持できる。そこに金属の面白さと躍動感を重ねているというかね。

出水:このイルカのシリーズを「シュプリンゲン」と命名したのは?

宮田:1989~1990年はドイツが大変革、東西の壁が壊れた時代、あの頃に僕はドイツに行ってるんですよ。1年間、ハンブルクの工芸美術館。シュプリンゲンとは「飛躍する」って言う意味なんです。

JK:し続けてますね! 飛び方に勢いがありますもん。ヒューッと軽やか、宙を飛んでるみたいな・・・

宮田:もうちょっといろんな表現があるんですけどね(^^;)そこには静寂もあり・・・全部飛んでると、飛んでるようには見えないんです。どこかに止まってモタついてるやつがいないと。

JK:でも、誰かが先頭を切っていくと、皆が後をついて行くっていうのはありますでしょ。

宮田:雁が行くようなね。あれだけじゃ面白くない。というのはなぜかと言うと、水という抵抗があるでしょ? 海という、波という抵抗。それをみんなでシェアして進んでいくのが楽しい!

出水:宮田さんの作品はすべて金属を使っていますけれど、金属にほれ込んだのはどうして?

宮田:たまたまなんですけど、我が家が金属工芸の家だったんです。佐渡金山の流れから来ている、蝋型鋳金という。じいさんもオヤジも、兄弟7人とも、みーんな金属やってるんです。兄とか姉とかも東京藝大入ってるんですよ。僕は末っ子なんですけどね。全部数えると9人。

JK:9人?! お嬢さんも含めて? スゴーイ!

宮田:自慢でもなんでもないんだけど、多分一番多いんじゃないかな??

JK:でも、二浪してるっていうのがチャーミング(^^)

宮田:でも二浪っていうのは早すぎた。ふつうは4~5浪ぐらいするから。娘がちょうど四浪です。だから、僕はいまだに娘にはかなわないところがある。娘のほうが徹底した基礎力があるから。

出水:先ほどお話に出てきた新潟県佐渡の蝋型鋳金とは、どういった技術なんですか?

宮田:蝋型って蜜蝋なんですよ。それから松脂を混ぜて、蝋を作って、自由に形を作る。それを型に入れて熱すると、蝋が溶ける。溶けた空間に金属を流す、という技術です。

出水:子供のころからそういう環境にいると、自然と身についてくるんですね。小さい時から何か作ったりしていたんですか?

宮田:全然作ってません(笑)だいっきらいだった。

JK:あら! でも、そういうものかもしれないわね、運命って。結果的に同じ道をたどる。私もそうだったから。逃げても逃げてもこの道なんです。

宮田:ですよね!

JK:子供のころってやんちゃでしょ? 今でもやんちゃだけど。

宮田:はい(笑)

JK:初めてお会いしたとき、向こうから自転車でパーっと走ってくるの! どこの少年かと思った(笑)

宮田:おっさんだった(笑)黒塗りが嫌いなんだよ。似合わない。でも黒塗りを辞めたら、学生たちが食堂で歓迎会をやってくれたの。ちょっと高めの会費をとってね。おかしいなと思ったら、自転車を買ってくれたんだよ!

JK:えっ、あの自転車、学生さんが買ってくれたの?! でも、学生と一緒にミカン箱みたいなのに座ってイッパイやるとか(笑)そういう先生だったのよ。学生に好かれるんですもの。

宮田:いやあ、学生はいいなぁ~

JK:いつも学生気分よね。文化って広いじゃないですか。「こうあるべき」っていうことではなく、「こうあるべきじゃないよ」っていうのが文化。それがどんどん変化していって、皆が共鳴して形になっていくわけでしょう。

宮田:そうそう。でも自転車に乗ってる理由はね、あれはオープンカーなんです(笑)風を感じるのと同時に、いろんな人の情報を仕入れる。よっ、どうだ! 今日はカッコいいね! とか。

出水:宮田さんご自身は、自動車のデザイナーになりたかった時期もあったとか?

宮田:高度成長期がちょうど私の学生時代でしたから、車に憧れて。デザイナーになりたかった。ケンとメリーのナントカとか(笑)藝大の中には鍛金というのがあった。世の中で俗にいう板金ですよね。せっかくだったら、鉛筆でデザインするだけじゃなく実際に作ってみたかった。ブルーカラーとホワイトカラーなんて言葉は今じゃもうなくなっちゃいましたけど、現場とデザイン、両方できる人になりたかった。デザインしたものが現場でうまくできなくても、俺が溶接して、ほらできただろ、ってね。

JK:実際作れないとね。言葉だけじゃね。

宮田:そう! ということで、鍛金というのをやりだしたら、まだ出来ない、まだ出来ない・・・って言ってるうちに、どんどんのめり込んでいって、そのうち助教授になれと言われ、学部長になれと言われ・・・

JK:それでついに学長! でも、音楽とアートと両方あるところの学長。音楽はわりと縁がないですよね? それが大変だなあと思います。

宮田:ね! だって僕、演歌しか知らなかったから。それがモーツァルトだの、チャイコフスキーだの(笑) 無理っすよ。

出水:でも作品を見ていると、どちらかというと洋風な音楽のほうが流れてきそうです。以前、金属を動物に例えておっしゃってましたよね?

宮田:あれはね、鉄と銅の違いなんです。鉄は犬。銅は猫なんです。

JK:どうして?

宮田:ほら、犬と猫って性格が全然違うでしょ? 猫は、徹底して自分が欲しいものがあるときは寄ってくるけど、それ以外はプイ。犬は最初はけっこう大変だけど、あとは従順に従ってくれる。鉄も最初はものすっごく硬くて、造るのが大変なんですよ。でもあるところから、自分がこうありたいと思う形に鉄のほうから勝手にその形になっていく。これは面白いね!!

JK:へぇ~!

宮田:銅は、柔らかいからすぐ形になってくれるんだけど、それ以外の厳しい恰好にしようとすると、ぷいっと逃げちゃう。柔らかいがゆえに。

JK:はは~ぁ! なるほど! 鉄は裏切らない(^^)


出水:宮田さんといえば、東京駅の待ち合わせの目印としてもおなじみ、「銀の鈴」ですよね。

JK:第四代でしょ? あれは何年前?

宮田:最初のは、ちょうど私が東京へ出てきた年、昭和39年東京オリンピックの時に出来たんです。その時まだ携帯なんてないじゃないですか。だから、はがきに「西郷さんの前で何時に会いましょう」とか書いてね・・・。

JK:今思えば、携帯なしでよくやってましたよね! だけど、それが行き違いになってついに会えないことがあるじゃない? でも銀の鈴があると、あそこに立ってれば会えるっていう安心感がありましたよね。

宮田:そうそう、そういう目印。渋谷のハチ公と上野の西郷さん。どっちも東京藝大の大先輩が作ってるんです。だから、いつかは私のところにも来る! と思い続けていたら・・・来たねぇ!!

JK:銀の鈴!そしてイルカ! 最初はかわいい紙かなんかで作ってたんでしょ?

宮田:竹かごに銀紙でね。駅員さんが作ってた。そのアイデアもとてもいいと思う。

出水:ご自身でも時々ご覧になるんですか?

宮田:あのね・・・電車の時間よりちょっと早めに行くのよ。なんとなく横で見てると、待ってても来なくて去っていく人がいたり・・・人間模様があるのよ!

JK:あっ、それいい!「銀の鈴」っていうタイトルで本書いたら?(笑)

宮田:ははは! その出会い、別れ・・・そういうものがいいのよ。東京という大都会に地方から来た人たちの、ひとつのキーワードみたいなものになってもらえると嬉しいですね。

=OA楽曲=
M1. Waiting On A Friend / Sun Soul Orchestra