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知られざるがん患者さんの悩み。その支援施設が続々

森本毅郎 スタンバイ!

9月19日、千葉県柏市の「国立がん研究センター東病院」が、がんの種類にかかわらず女性のがん患者さんを支援する拠点を設置しました。国内のがん専門病院にこうした拠点ができるのは初めてのことだということです。一方で、病院以外でもがんの患者さんを支援する施設が各地に出来てきています。こうした動きの背景には患者さんが増えているため、がんという病気だけでなく、日常的な悩みの支援も、必要とする人が増えている、ということがあります。

そこで、9月24日(月)、松井宏夫の「日本全国8時です」(TBSラジオ、月曜あさ8時~)で、がん患者さんが、どんな悩みを抱えているのか、そしてそれを支援する施設がどう広がっているのか、お話します。

★女性のがん羅患率は増加傾向

国立がん研究センターが2018年のがん罹患数予測を発表しました。全体での罹患数は、101万3600人。このうち男性は57万4800人。女性は、43万8700人。去年の予測数と比べて男性はおよそ900人減少したのですが、女性は、去年より600人増加しています。

こうした中、柏市の国立がん研究センター東病院が開設したのが、女性のがん患者さんに対応する「レディースセンター」です。このセンターは、診療科以外も含め、患者さんの情報を共有することでトータル的にサポートして、女性特有の悩みや不安を解決するのが狙いです。

★女性に特化した理由はどこにあるのか?

乳がんや子宮頚がんなどの婦人科腫瘍など女性特有のがんの罹患数は上昇しています。また、そのほかの悪性腫瘍についても女性のがん患者さんの比率は増加傾向にあります。

女性ががんになった場合、妊娠や授乳の可否、脱毛や乳房切除による外見の変化など、女性特有の不安を抱えることが多い、ということがあります。さらに、職場や育児、親の介護、子供へのがんの伝え方などに悩んだ結果、自分らしさを見失ってしまうケースもあります。

そのため、病気の治療だけでなく、さまざまな悩みに対してサポートが求められていることが背景にあるということです。

★具体的にはどういった支援をするのか?

レディースセンターは、主に2つの機能を持っています。

1つ目は、様々な診療科の連携です。センターを訪れた患者さんに対して、まずは、問診やアンケートなどから患者さんが持つ病気や、背景、問題点の把握を行います。その後、関連する診療科等と連携して、相談や支援の必要性などを検討して別の診療科など適切な部署につなげて問題の解決に向けて動きます。

2つ目は、診療科だけでなく、多角的なサポートです。スムーズに患者さんへの対応ができるように、看護師はもちろん、ソーシャルワーカー、薬剤師、理学療法士など診療科以外も含めた様々な職種のカンファレンスを定期的に開催して連携を強化。

★男性も利用できるサロン

さらに国立がん研究センター東病院では、レディー スセンター開設に合わせて病院内に、『柏の葉サロン~あなたらしさを支えます~』という患者サロンを開設しました。こちらのサロンでは、患者さんの外見をケアするために、カバーメイク教室、肌と爪のケア教室、薬教室などの各種教室や、患者さん同士やその家族が互いの体験について語り合う会も開催することにしています。こちらのサロンは、男性も利用することができるということなのです。

★病院外の支援施設

こうしたがん患者さんの支援をする施設は、病院内だけではありません。2年前の2016年10月に東京・豊洲に開設されたのが「マギーズ東京」という施設です。医療の進歩で入院期間が短くなり、外来中心に変わる中、患者さんが医療者と話す時間が減って、病気に対する疑問や不安を抱えたまま過ごすがん患者さんが少なくありません。こちらの施設は、そんながん患者さんの不安を和らげる相談支援施設として開設しました。

★マギーズ東京とは?

マギーズ東京は、イギリスにある「マギーズセンター」の初めての日本版施設として開設した。マギーズセンターとは、乳がんで亡くなった造園家のマギー・K・ジェンクスさんの遺志を継いで1996年にできたがん患者さんのための施設です。イギリス国内を中心に、世界20カ所以上に広がっています。

施設ではまず、がん患者さんの相談を受けています。平日は午前10時から午後4時まで開いていて、看護師や心理士らが相談に応じます。またがん専門の看護師らもボランティアを務めていて、治療や生活、仕事など幅広く相談に応じています。専門知識を持った看護師や心理士が友人のように同じ目線で話を聞いてくれます。予約は必要なく、料金もイギリスと同様に無料です。気軽に訪れることが出来ます。

相談支援だけでなく、参加型のプログラムもあります。例えば、月に3回ほど行なっているのが「食事のお話」です。「体重のコントロール」がテーマのときは、ホルモン療法などの影響で食欲が増す人に、食事の内容を吟味して正しく食べる方法を参加者とともに考えます。ほかにも1時間のリラクゼーションということで、心理士やヨガのインストラクターでもある看護師が講師をしたりしています。いずれのプログラムも参加は、やはり無料です。

★広がる支援施設

マギーズセンターに共感して活動しているところもあり、増えてきています。例えば、石川県金沢市の特定非営利活動法人・がんとむきあう会や、静岡県富士市には、「幸(さち)ハウス」というところもがん患者さんの支援をしています。この施設はがん患者さんが自分を取り戻せるような空間やサポートの必要性から始まっています。

病院の中では、雰囲気的にリラックスできにくいし、なかなか本音や本心も話しにくい、という方もいるかもしれませんが、そうしたがん患者さんを支援できるのが、病院外の支援施設。個室であることから、トイレの中で何時間も泣き続ける患者さんもいる。そうした患者さんの話を病院内外で支援できる施設がもっと増えていくといいと思う。

日本全国8時です(松井宏夫)

解説:医学ジャーナリスト松井宏夫

 

松井宏夫の日本全国8時です(リンクは1週間のみ有効)http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20180924080130

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