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ライムスター宇多丸さんと「低み」トーク! その深淵なる世界に久米宏も思わず唸った?!

久米宏 ラジオなんですけど

TBSラジオで毎週土曜日、午後1時から放送している「久米宏 ラジオなんですけど」。
10月6日(土)放送のゲストコーナー「今週のスポットライト」では、ヒップホップ・グループ「RHYMESTER」(ライムスター)の宇多丸さんをお迎えしました。

宇多丸さん

宇多丸さんは1969年、東京都生まれ。早稲田大学在学中にヒップホップグループ「RHYMESTER」を結成し、1993年にインディーズデビュー。その後、ラジオの世界にも進出し、2007年4月、『ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル』(略して『タマフル』)がスタート。サブカルチャーの特集や映画批評のコーナーが話題を集め、2008年度のギャラクシー賞で「DJパーソナリティ賞」を受賞。番組は11年続き、すっかりTBSラジオの土曜夜の顔となった宇多丸さんでしたが、今年4月から平日夕方に登場。午後6時から3時間のワイド番組『アフター6ジャンクション』(略して『アトロク』)のメインパーソナリティを務めています。

久米宏さん

『ラジオなんですけど』が始まったのが2006年10月(この日の放送で12周年を迎えました。ありがとうございます!)ですから、実は宇多丸さんと久米さんはほぼ同時期にTBSラジオで番組を始めていまに至るのですが、ちゃんとお話をするのはこの日が初めて。

スタジオ風景

「番組のスタートが私と半年しか違わないんですけど、ラジオの本質は分かりました?」(久米さん)

「ラジオの本質?! いやいや、そんな大それたことを考えながらやってるわけじゃないから…」(宇多丸さん)

「ぼくはテレビとラジオを行ったり来たりしてるんで、この2つはだいぶ違うというのはいつも思うんですよ」(久米さん)

「どう違うんですか?」(宇多丸さん)

「やっぱりラジオのほうは脳内のものだって気がしますね。放送するほうも聞くほうも、脳内の話ですよ、ラジオって。自分の脳内を見せるって感じがしますね、ラジオに出ていると」(久米さん)

「たしかに〝脳 to 脳〟で直(ちょく)につながっちゃう感じがあるかもしれないですね」(宇多丸さん)

「ぼくの脳内で見ている景色を聞いている人の脳内にどうテレポートするか、そんな感じですよ」(久米さん)

「よく分かります。ぼく、映画評をやってるんですけど、本来、映画って映像のついているものだから、絵を具体的に見せればいちばんいい説明になるかと思いきや、やっぱり町山智浩さんもそうですけど、ラジオの映画評が独特なのは、ぼくの脳内に再生されているその映画を言葉で伝えると向こう側により直で絵が浮かんでくるっていうか。それはその映画そのものとはちょっと違うかもしれないんだけど、だからラジオの映画評って面白いんだなって」(宇多丸さん)

「昔の映画のあまりにも有名なシーンで、女の子が草原に向かって『シェーン! カムバーック!』って叫ぶというのは、本当の映像を見るより言葉で聞いた方がはるかにリアリティがありますからね」(久米さん)

「女の子じゃないですよ、あれ男の子ですよ(笑)。でも本当、そうなんですよ」(宇多丸さん)

低み

今回、宇多丸さんに『ラジオなんですけど』にお越しいただくことになったのは、かつての『タマフル』の人気コーナーで『アトロク』でも復活した「低み」の単行本化がきっかけ。『アトロク』のなかで「大宅壮一の『政治を語るときは風俗を語るように、風俗を語るときは政治を語るように』という言葉を座右の銘とする久米さんなら、低みの面白さを分かってくれるだろう」という話をしていたので、それならばとお呼びしたのです。

初めは「ぼくはプロモーションは嫌い。プロモーションのために来るなら『低み』のひの字も言わない」と言っていた久米さんでしたが、いざ対談が始まってみると「低みトーク」で予想以上に盛り上がりました。

「この番組にはノーベル賞作家の大江健三郎さんも出ていただいて、何人も芥川賞作家の方に出ていただいてるんですよ。ほかにも作家の方が出て、出版関係の方も出て、この番組で本の話をするとすごい売れるんです。いまだかつてこの番組で本の話をして売れなかったというケースがほとんどない。だからぼくとしてはここで悪しき前例を作りたくない(笑)」

「ハードルの上げ方がさっきからびくっとするようなところがありますけど(笑)。『低み』といっても何の本やら分からないし、さらにタチの悪いことに、表紙を見ても何の本だかわからない。自己啓発本のパロディみたいな表紙になってて、これがまたわかりづらい。それで本当の自己啓発本の棚に並んでたりするんですよ。自己啓発されると思って買った人は間違いなく怒る本なんですよ(笑)」(宇多丸さん)

「でも、高みを目指すという言葉がありますが、その概念と正反対の言葉を考え出したこと自体が慧眼だと思います。低みって素晴らしいと思ったんです。いい目のつけどころだって。とっても面白いと思いました」(久米さん)

「嬉しいです! 迷惑はかけてないし、マナー違反でもないし、もちろん犯罪行為でもないんだけど、人としてなんか意識が低い感じがする振る舞いを『低み』と言ってやってみたら、すごく投稿が来て、いまだに読み切れていないメールが山ほどあったりして」(宇多丸さん)

『タマフル』『アトロク』をお聴きの方はご存じですが、具体的にはどんなことが「低み」になるのか。例えばこんなことです。

宇多丸さん

「塩分摂取を控えるために、カップ麺をすすり終えたあとスープを口の中に入れるだけ入れ、味を堪能したあとスープをカップに戻す。これなら余計な塩分の摂取を控えられるだけでなく、一度口に含んだ液体を戻すことにより二度とこのスープは飲まないぞという決意を自分自身に持たせることができる」

「有名なフグ料理店で働いていた友人がおいしい焼酎梅干し割の作り方を発見したというので見せてもらった。友人はおもむろに梅干し2粒を口に含むと数回かみ砕き、口からタネを取り出すと梅肉をグラスの中にはき出し、そこに焼酎と水を入れてかき回した。こうすれば梅がよくまざるでしょ、と言ってその焼酎梅干し割をおいしそうに飲んで見せてくれた」

「皿洗いをするのが面倒なので、ゆでた野菜を皿に移さずにそのままほおばる。そして醤油をぴゅっと口の中に垂らして食べる。地球にやさしい習慣だけれど醤油を入れすぎるとのどが焼けるような思いをするのが難点」

「〝いったん口に含む系〟というのが低みの真髄のひとつです。どれも理にはかなってるんですよ。でも目の前でそれを見たらきったねえ! と思いますよね。議論が分かれるあたりでもあります。あと、これエコでもありますよね。この『エコ』というのが非常に危険ワードです(笑)。エコ、もったいない、このあたりが低みを呼び寄せやすい」(宇多丸さん)

スタジオ風景

「ぼくがこの本を読んでいちばん気になったのは、自分が気づいていなくてやっている行為ですよ」(久米さん)。

「低いとも思っていない行為」(宇多丸さん)

「思ってない。だって習慣ですから。本人はまったく気がついてないけど、人が見たら腰を抜かすようなことを実はやってるのかもしれない。特にひとりだけのとき。ぼくはその恐怖感に襲われて、24時間監視システムを作らないといかんと思ったくらいです(笑)」(久米さん)

「そうなんですよ。人のことを低いな~なんて言ってゲラゲラ笑ってやってるうちに、ぽろっと自分の低みの話が出てきちゃうことがあって、これが怖ろしい。低みを見つめる者は低みからも見つめ返されている。あとよく聞くのが、トイレに行って手を洗って拭くものがないとき、女性は髪になすりつけているとか」(宇多丸さん)

「それは結構ありますよ。ハンカチを探すふりをしてバッグを触りながら出ていくとか。それは女性の低みですよね」(堀井さん)

「これね、かなりレベルの高い話なんですよ」(久米さん)

「レベル高いですか?」(宇多丸さん)

「何を低みとするかは人によって感覚が違うし、その人が生きてきた人生を全部かけて考えるような代物なんです、これ」(久米さん)

「低みのラインって人によって違うんですよね」(宇多丸さん)

「こういう本が絶大に売れまくるという(笑)」(久米さん)

「そうですよね、売れるんですよね?! いずれこれも文学的な評価を受ける可能性もゼロとは言えませんのでね(笑)」(宇多丸さん)

宇多丸さんのご感想

宇多丸さん

思いのほか「低み」の話を本当にたくさんしていただいて、めちゃめちゃ楽しかったです。まだ番組で読んでいない「低み」のメールを持ってきたんですけど、使おうかどうしようかと思ってたんです。でも、これはいけるなと思って読ませていただきました。お昼どきに申し訳ありませんでした。でも、前半ではラジオに関する話を意外とちゃんとしましたしね。ありがとうございました!

「今週のスポットライト」ゲスト:ライムスター宇多丸さん(ラッパー)を聴く

次回のゲストは、土壌学者・藤井一至さん

10月13日の「今週のスポットライト」には、森林総合研究所の主任研究員で、土壌学者の藤井一至(ふじい・かずみち)さんをお迎えします。世界の人口が100億人を突破しても全人類の食糧がまかなえるような「肥沃な土」を探して、世界を飛び回って調査いる方です。

2018年10月13日(土)放送「久米宏 ラジオなんですけど」http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20181013140000

radikoで放送をお聴きいただけます(放送後1週間まで/首都圏エリア無料)