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MOTHER2のママと、ドラクエ5のパパス、犬山紙子さんが親になったからこそ気づいた深すぎる話

ライムスター宇多丸とマイゲーム・マイライフ

■MOTHER2のママの強さに学ぶ、母と子どもの関係性

「マイゲーム・マイライフ」、今回のゲストはエッセイスト犬山紙子さん。デジタル・アナログ問わずゲーム好きとして知られており、犬山さんの自宅でのインタビュー写真には、よく見ると大量のボードゲームが写り込んでいることもしばしばです。

今回は番組史上最も、深い話になった回でした。私、放送後記の執筆のためにラジオ音源を聞きながら、泣きました。目が、うるみました。
特に、MOTHER2とドラクエ5の、親目線だからこそわかる話が必聴です。MOTHER2のママについても、ドラクエ5のパパスについても、親になってみて改めてプレイしてみて、これまでとは違った感想を抱いたのだそう。


犬山「出産したタイミングで、“マザー”っていうくらいだから、(MOTHER2を)母目線でやったらどうなるんだろうって思って、またやったんですよ。全然やっぱり……深いですね!」

宇多丸「深い!」

犬山「(MOTHER2には)電話をかけるというのがあって、実家のママに電話をかけることができるんですね。で、ママに電話をすると、ママに実家の様子を聞けるんです。だけど、あまりママに電話をかけていないとホームシックになるんですよ。ホームシック状態になると、バトル中に『ママが恋しくなった』ってなって、敵にうまく攻撃できなくなります。で、それ(“ホームシック”という状態異常)を解除するために、お母さんに電話しに行く。そうすると、お母さんが、『ママの声でも恋しくなった?』とか言うんですけど、そのセリフがすんごくあっけらかんとしているんですよ」

宇多丸「ウェットじゃない感じの」

犬山「ウェットじゃないんです。そのほかも、(ホームシック状態じゃない通常のときに)ママに電話をするとだいたいあっけらかんとしていて、ああ…これって…、子どものこと信じてるんだ……! と結構強く思って」

宇多丸「ああ~。大変だったら帰っておいで、とかじゃなくて」

犬山「そうなんですよ。母親って、結構聞いちゃうじゃないですか。『あんた大丈夫?』とか」

宇多丸「世話を焼くとかね。あれ持った? これ持った? って」

犬山「でもそこで、子どものことを信じ切れるって、母親としての器のデカさをかなり感じまして」


宇多丸「かわいい子には旅をさせないといけないですし」

犬山「これってたぶん(将来)私が、(子どもの)思春期でぶち当たるであろう子どもとの問題で。良い例だなって」

宇多丸「あっ! なるほど! いずれ(子どもは)世の中に一人でふらふら出ていきたくなることもあるから」

犬山「はい。そのときも、これまで自分は愛情たっぷり育ててきたし、とか」

宇多丸「この子なら、変なことにはならない! って」

犬山「もちろん心配はするし、おかしい目に遭いそうだったら助けるけど、でも、基本信用するっていう、あの姿勢は素晴らしいなって」

子どもを持ったことのない自分は、あのMOTHER2のママについてそんなふうに考えたことがありませんでした。明るくてタフで、我が子が生きるか死ぬかの危険な旅をしているにも関わらず一切動じないママ。その姿が、MOTHER2の最大の個性でもあるシュールなおかしみの一端を担っているなぁ……、といった印象止まりでした。確かに「我が子を信じている」からこそのタフさ、と言われると納得がいきます。
子どもを信じる強さ、というのは、犬山さんも言うように、親子関係における問題の根幹ともなることですよね。子どもに対して厳しすぎたり、束縛してしまったりするのは、何よりも親自身が安心したいから、親が自分のエゴのために縛り付けてしまっている部分があるのではないか……。そう考えると、MOTHER2のママの“強さ”、そしてMOTHER2のタイトルが「母(マザー)」であることの意味を改めて感じます。

■パパスの人生の選択と、子ども時代の自分にかける言葉

そして、もうひとつ思い入れがあるソフトとしてドラクエ5を挙げた犬山さん。

犬山「(ドラクエで思い入れがあるのは)5ですね。これはもうネタバレしちゃっても……大丈夫ですかね?」

宇多丸「まあ(だいぶ昔の)5ですからね」


犬山「(主人公の父親の)パパスが死ぬんですよね。とある洞窟でパパスは命を落とすわけですけど、幼い主人公はそれを見てショックを受ける、と。で、主人公が大人になってから、子どもの頃の自分に会いに行けるイベントがあるんですよ。ここ(時を遡った世界)ではお父さんはまだ生きていて。で、このとき、大人になった主人公が子どもの頃の自分に、声を掛けるんです。そのときの内容が、『坊や お父さんを大切にしてあげるんだよ』。ちょっと、もしこれが自分だったら、その声を掛ける場面で、(パパスが死んでしまう原因となる)洞窟に行くのを止めるように言いたくなるところを、『お父さんを大事にしなさい』っていう言葉で。これもまぁ、深いなぁ~! って」

宇多丸「うんうん」

犬山「大人になってからまた、何周目かをやって」

宇多丸「すごいですよね。大人になってからまたやるのが」

犬山「気になっちゃって! あのシーンってどういう意味だっけ、って気になってもう一回プレイしたんですけど、逆に大人になってその深さに気づいたというか。お父さんのことを本当に考えたときに、たぶん洞窟に行かないっていう選択肢はお父さんにはないと思うんですよ。お父さんの気持ちを全部わかってるんですね、大人になった主人公っていうのは。そして、お父さんのその(洞窟へ行くという)行動は、お父さんの正義だから。それを考えたときに、このシーンで掛けるべき言葉は、『坊や お父さんを大切にしてあげるんだよ』以上のものってないよなって」

宇多丸「お父さんを大切にするんだよ、っていう言葉そのものはただの言葉でも、わかりますからね、プレイヤーはね、この後に何が起こるかを。作り手が考え抜いて、これしかないっていう言葉に落とし込んでいるというか」

犬山「…はい!」

宇多丸「言ってみればその、間違う権利、というか。お父さんのその、人生の選択を尊重した上での」

ここからさらに話は盛り上がり、人生とは、選択とは、そしてゲームとは、という話になっていきます。

宇多丸「過去に戻って、常に正しい選択肢を選び直すことができたとして、自分の過去の失敗を全部直して回ったとして、それって自分の固有の人生と言えるのだろうか……?」

犬山「本当にそうですよね」

宇多丸「後悔とか、ちょっとしたボタンの掛け違いもすべて込みで、自分の人生なのだから!」


犬山「それを教えてくれるのがゲーム!!!!!!(※こぶしの利いた声で)」

宇多丸「教えてくれたのがドラクエ5!!!!!」

犬山「はい!!!!!!!(※腹の底から魂を込めた声で)」

本当にRPGというのは小説やマンガと同じように人の心に影響を与える“物語”で、プレイヤーの置かれている環境や状況によって、受け取ることが違ってくる、というのをしみじみ感じた回でした。ちょっと、もう一回MOTHER2とドラクエ5をやってきます!!!! 人生を!!!! 教えてくれるから!!!!!(※犬山さんのようにこぶしの利いた声で叫んで締めたいと思います)

ライムスター宇多丸とマイゲーム・マイライフ

■今回のピックアップ・フレーズ

(ボンバーマンでは無闇に爆弾を置きまくってはいけない、という戦略話で)

犬山「でもみんなやっぱり嬉しいから、めっちゃ置きまくるんです。気持ちいいんですよ!(笑)」

宇多丸「花火的な、景気がいい感じもありますよね。十字に火がついてチェック柄みたくなるのを見たくて(笑)」

 

文/朝井麻由美(ライター、コラムニスト)

 

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【作品情報】
PlayStation®4(PlayStation®VR専用)用ソフトウェア『Knockout League』
©Grab Games, LLC
国内発売日:未定

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