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20人に1人が悩む「甲状腺」の病気。その対処法

森本毅郎 スタンバイ!

日本人のおよそ500万人、計算するとおよそ20人に1人が、甲状腺に何らかの病気を持っているといわれています。ほとんどの場合は、命の危険性がないものではありますが、一方で、悪性のもの=甲状腺がんという場合もあります。

そこで、10月8日(月)、松井宏夫の「日本全国8時です」(TBSラジオ、月曜あさ8時~)で、甲状腺の病気について注目しました。

★甲状腺とは

甲状腺は、首の喉仏の下にあって、蝶々が羽を広げたように左右に広がった形をしていて、気管を前で包むように位置しています。大きさは、縦=4センチ~5センチ、横=2センチ~3センチ、厚みはおよそ1センチの臓器。甲状腺は、甲状腺ホルモンを作って、分泌しています。甲状腺ホルモンは、基礎代謝の亢進、脳や骨の成長、脂質や糖の代謝を促します。このほかに、血液中のカルシウム濃度の調節に関わるホルモンも分泌しています。全身の代謝を活発にすること、つまり元気の源が、甲状腺なのです。

★甲状腺の病気

そんな甲状腺の病気の1つに、甲状腺腫瘍があります。甲状腺腫瘍はその名の通り、甲状腺に腫瘍ができるもので、ぐりぐりとした固いしこりができる。腫瘍やしこり、と聞くと、少し不安に思う方も多いかもしれませんが、甲状腺腫瘍のうち、90%は良性です。良性の場合、ほとんどがしこり以外の症状は出ず、甲状腺の機能が損なわれる事もまれです。

一方で、問題となるのが悪性=甲状腺がんです。甲状腺がんは、女性のほうがかかりやすく、男性のおよそ3倍の患者さんがいます。良性に比べると10%と少ないですが、だからといって放置しておくと、周囲の組織を破壊してその中に入り込んでいったり、がんが転移したりします。そのためにも、甲状腺腫瘍=しこりがあった場合は、むやみに心配せず、まずは良性か悪性かしっかり検査して調べる必要があります。

★3つの検査法

大きく3つの検査がありますが、痛みの少ない検査でほとんどわかります。

まずは、触って検査をする触診です。良性の場合は、表面がつるつると柔らかく、指で押すと動くなどの特徴があります。一方、悪性の場合は、表面がデコボコで固く、指で押しても動かないなどの特徴がある。ある程度の大きさのしこりであれば、専門医が触診すれば良性か悪性がわかることが多いです。ただ、なかには良性か悪性か判別しにくいものもあります。

その場合、次に行う検査としては超音波検査です。超音波検査では、2ミリ程度の小さなしこりも発見できます。またしこりの個数や形、内部の様子までかなり正確に確認できます。良性の場合は、形が整っていて、周囲との境目がはっきりしています。悪性の場合は、形がデコボコで、周囲との境目が分かりづらく、なかに沈着物があります。

そこでも疑わしいと判断された場合は、細胞診という検査を行います。注射器でしこりに細い針を刺して細胞を採り、顕微鏡で観て良性か悪性かを判断します。しこりに注射するので、痛いのではないかと不安になる方もいるかもしれませんが、ごく細い針を使うので痛みはほとんどありません。こうした検査によって、良性か悪性かが判断されます。

★良性であれば大丈夫?

良性と診断されれば、ひとまずは安心です。しこりが小さければ、そのままにしておいても問題ありません。ただ、絶対に悪性ではないとは断言しにくいこともあります。半年に1回程度が受診して、専門医の検査を受けておくといいと思います。しこりが大きい場合は、注射器でしこりの中身を吸い出したり、アルコールの一種のエタノールを患部に注射して腫瘍を小さくしたりします。

★悪性の場合の治療は?

悪性、つまり甲状腺がんの場合の治療の基本は手術で、甲状腺を切除します。手術するだけで完治することの多いのが甲状腺がんの特徴です。

手術は、がんの範囲に応じて行います。甲状腺がんの手術は、できるだけ甲状腺を残して機能を保つことが基本です。一部でも甲状腺を残しておくことで、甲状腺ホルモンの自然な分泌が回復してくる可能性が高いからです。甲状腺は、蝶の羽のように左右に分かれているため、がんの部位や広がりなどによって、片側だけの切除で済むこともあります。

一方、がんが大きな場合や左右に広がっている場合は、甲状腺をすべて切除します。手術自体にかかる時間は1時間~2時間程度で、比較的安全なものです。

★手術をすれば大丈夫?

甲状腺がんは多くの場合、手術を受ければ、それ以上の治療は不要です。徐々に治療前の生活に戻れます。

ただ、手術後、再発や転移が絶対に起きないとも言い切れません。術後は定期的にチェックを受け続けるようにしましょう。再発した場合も、早く見つけることが出来れば、再度手術をして完治を目指す事もできます。また、再発や転移したがんを放射線の力をつかって破壊して治療する方法もあります。

一方、甲状腺をすべて摘出した人や、大きく切り取った人などは、甲状腺ホルモンの分泌がなくなったり、減少したりします。そのため、不足したホルモンを甲状腺ホルモン薬という薬を服用することで補います。

★美容にも配慮

甲状腺の良性腫瘍の内視鏡手術は、2016年4月に保険適用になりました。甲状腺がんについては、保険適用ではありません。ただ、今年度中に保険適用になることが決まりました。先進医療は終わろうとしています。

一方、甲状腺がんの手術では、近年、傷を目立たせないようにする手術が進んでいます。甲状腺の病気は女性に多く、首の常に見える場所に残る手術の傷は、美容上切実な問題となることがありました。そこで最近では、首の横じわのように、小さく切開し、さらに縫合も美容京成技術を取り入れ傷を目立たないようにしているようです。今後も、患者さんの負担を少しでも無くすような手術方法が進んでいくといいと思います。

日本全国8時です(松井宏夫)

解説:医学ジャーナリスト松井宏夫

 

松井宏夫の日本全国8時です(リンクは1週間のみ有効)http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20181008080130

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